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 今年の初め、1頭のオランウータンが木をなぎ倒す掘削機に向かって挑むように進んでいく映像でがSNSで拡散された。森林破壊が進むインドネシアのボルネオ島で撮影されたものだ。

 この動画は本物で、実際にオランウータンは森を荒らすショベルカーと戦おうとしていたのだろうか?

 ファクトチェックサイト『Snopes』が検証した結果、真実の映像であることが判明したという。

【画像】 掘削機に立ち向かうオランウータンの動画が拡散

 1月3日、海外SNSRedditに投稿されていたのは。今まさに木を切り倒しているショベルカーに立ち向かっていくオランウータンの姿だ。

 オランウータンは素手で、ショベルカーを止めようとしており、アームにぶつかり転倒しまうが、また立ち上がり、掘削機の後ろからもう一度登ろうとする。

 自分の住処である森を破壊されたことに腹を立てたオランウータンが1頭で立ち向かったとして、話題となったが、その真偽を疑うユーザーもいたようだ。

Sadness As An Orangutan Tries To Fight The Digger Destroying Its Habitat

・合わせて読みたい→ボノボ、チンパンジー、オランウータンなどの類人猿は嘘か真実かを見抜くことができる(ドイツ研究)

オランウータンは本当にショベルカーを止めようとしていた

 そこで真偽を検証するファクトチェックサイト『Snopes』がこの映像の詳細を調べた。

 すると、2018年6月、英メディアIndependentが、インドネシアのボルネオ島のスンガイ・プトゥリ地域で行われている森林破壊の現状としてこの映像を報じていたことが明らかとなった。

 映像は新しいものではなく、2013年に撮影されたものだという。

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 オランウータンは森林破壊、森林火災、展示、ペット用に乱獲されたことでその個体数が激減している。

 BBCイギリス国営放送局)のドキュメンタリー番組「Red Ape: Saving the Orangutan」や、2019年ドキュメンタリー「Climate Change:The Facts」で、オランウータンに関する特集番組が放映され、イギリスの動物・植物学者デイビッド・アッテンボロー卿などが出演したことで、更なる注目を集めた。

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パーム油を採取する為、オランウータンの生息域が破壊されている

 当時、インドネシア、スンガイ・プトゥリ地区にあるオランウータンの生息地は、森林伐採によって次々と破壊されていた。

 アブラヤシの木の果実から得られる、パーム油を採取する為だ。

 アブラヤシは、湿気の多い熱帯気候でもうまく育つことができることから、インドネシアでおおく植林がなされた。

 その為、産業用植林を行う会社が、美しい森を切り裂くことでオランウータンを脅かし、更にまた成長したアブラヤシを伐採することで、個体数は急減した。

 現在、欧米で販売されているシャンプー歯磨き粉、洗剤などの家庭用品およびお菓子などの食品の50%にはパーム油が使用されている。

 だが、パーム油は環境に悪いだけでなく、気候変動の主要な原因であり、オランウータンを絶滅に導いている。

 「パーム油がオランウータン絶滅の主な原因だ」と、オランウータン財団インターナショナルは述べている。

 毎年、野生のオランウータンの個体数の大部分となる1,000~5,000頭が、パーム油の伐採地で命を落としていると推定されている。

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pixabay

 世界自然保護基金(WWF)も、このテーマに関してウェブサイトで、「パーム油のプランテーションによる森林伐採と違法伐採が大規模な森林破壊を引き起こしている」ことを明らかにしている。

 絶滅危惧種オランウータンは、わずかに残った森林地帯に追いやられる。行き場を失った彼らは飢えて死を待つだけだ。食べ物を探すため、ジャングルの外に出ると農園の従業員に見つかり殺されるケースも少なくない。

 更には、生まれて間もないオランウータンは捕獲されて母親と引き離され、違法ペットとして売られることもある。

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photo by iStock

このオランウータンはどうなったのか?

 この映像は現場にいた野生動物保全と保護活動を行っている非営利団体「International Animal Rescue」が撮影したものだ。

 当初、団体のメンバーは、このオランウータンを森林伐採現場から安全な場所へと連れていこうとした。

 ところが、メンバーたちが見ている目の前で、オランウータンは倒された木にしがみつき、それを伝ってショベルカーに立ち向かっていったのだ。

 そして、ショベルカーの先端部分を掴もうとし木から落ちた。メンバーは、機械を操作している人物にオランウータンを傷つけないように叫んでいる。

 落ちたオランウータンはもう一度挑もうとするが、操縦していた作業員はオランウータンショベル部分をオランウータンに向けたところ、茂みの奥の方にゆっくり移動した。

 ここで動画は終わっているが、オランウータンはその後メンバーに保護され、まだ伐採されていない森に戻されたという。

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 この動画を見たユーザーらからは、「なす術がないのに立ち向かおうとするオランウータンの姿が、ただただ痛ましい」「この原因は人間が生み出しているんだよね…」「オランウータンは、貴重な動物。守るために私たちは何かをするべきであって、生息地を奪うべきじゃない」「胸が痛い」「もし、自分たちの家がこんなふうに壊されたらどう思うか、ってことを考えるべきだよね」「これが違法にならないなんておかしい」「今まで見た動画の中で一番悲しい」などといったコメントが寄せられている。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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森を荒らすショベルカーと戦おうとしたオランウータンの映像は本当だった