北海道の深海で“怪魚”オオカミウオを釣り上げ! 人気釣りYouTuberマルコスが驚いた“爆釣”をもたらす意外なエサの正体とは? から続く

 チャンネル登録者数50万人超、総再生回数9000万回超。釣りYouTuberとして絶大な人気を誇るマルコス氏。

 そんな彼女の生い立ち、会社員時代、はじめての釣り、世界で釣りをするようになるまでをまとめた冒険譚エッセ『世界を釣る女』(KADOKAWA)がファンの間で大きな話題を呼んでいる。

 ここでは同書の一部を抜粋し、彼女が全身全霊をかける釣り、そして配信への思いについて紹介する。(全2回の2回目/前編を読む

◆◆◆

ありがたいリスナーさん、困ったリスナーさん

 生配信リスナーさんがリア凸のために集まってくれるのは、旅の最中の楽しみの1つだった。昼の生配信中にコメントを入れてくれて、夜のリア凸の際に会いに来てくれるのだから、本当にありがたい限りだ。

 全国各地でリア凸をしたが、ほとんどの場所で誰かが必ず来てくれた。

 場合によっては、夕方の5時ごろにやっと釣れて、急遽「夜の7時に〇〇駅にいます」と伝えることもあった。それでも、会いに来てくれる人がいる。

 リア凸は、釣りをした都府県を去る直前に行っていたので、バスが釣れないとできない。期待して待ってくれている人がいるのに、なかなか釣れず、リア凸ができなかった日もあった。それでも毎回、最低でも1人か2人は来てくれる。多い場合だと30名くらいの人が集まってくれたこともあった。

 その一方で、リア凸を終えようとしているのに、いつまで経っても帰ってくれない人や、私の車のあとを追いかけてくる人もいた。

 その様子を生配信で映していると、ほかのリスナーさんたちが心配してざわつくこともあった。よく、「1人で怖くないの?」と聞かれるが、配信しているときは、何百~何千人の人たちと一緒にいると錯覚してしまう。

 そのため、誰が来ようとも全然怖くない。たまに配信中に1人で大声で歌ったりもする。そんなときは、私からすると「皆と一緒だから、ちょっとパフォーマンス」という謎のモードに入っている。

 こうなってくると、怖い、恥ずかしいという感覚はなくなる。

 リスナーさんたちは私にとって心強い存在であり、私はしょっちゅう助けられている。

 配信中に来てくれるリスナーさんあるあるに、実際に会いに来てくれているのに、実物の私を見るのではなく、スマホの画面のなかの私を見てしまうというのがある。こちらが話しかけても、ずっと配信を見ている……。

「そんならわざわざ来なくてもええやん」と突っ込みたくなるくらい。

 もしかしたら、恥ずかしがっている人が多いのかもしれない(笑)

“変わり者”と言われる私

もしもツイキャスYouTubeをやっていなかったら、何をしていると思いますか?」

 こんな質問をたまに受ける。うーん、はたして何をしているだろうか……。

 自分自身のことを考えたとき、普通の会社で何年も働くことができない人間だと思うので、会社員をやっているとは思えない。

 やはり私は究極の飽き性なのだ。しかも、皆と同じことをするのが苦手な性格。

 そのせいで、小学生のころから「よう変わってるな」と言われ続けてきた。友だちと普通の会話をしているだけなのに、「あんた、変わり過ぎやろ」と言われるのだ。

 ところが、言われた本人は何が変わっているのかわからずに、キョトンとしてしまうだけなので、困ったものだ。

 自分ではあまり自覚していないため、具体的に何が変わっているのか私自身が説明するのは簡単ではない。それでも、よく周囲に言われることがあるのでそれをお伝えする。

 私には、皆がまったく気にしないことを気にしたり、ほかの人が絶対につまずかないところでなぜか自分だけがつまずいたりするところがあるらしい。

 そう言われてみれば、「皆がまったく気にしないことを気にする」という点については、昔からそうだったような気がする。

 高校時代、ホテル結婚式場で配膳のアルバイトをしていたことがあった。働き始めて最初の日、私はホテルの人に「コーヒーを入れて」と頼まれた。しかし、コーヒーを飲まない私は、入れ方がよくわからない。そのことですっかり動揺してしまった私は、何もできなくなってしまった。

 その直後、ホテルの人から「コーヒーの入れ方も知らんの?」と言われると、その一言で完全に心が折れ、泣いて帰ってしまったのだ。

 それをいとこに話したら、彼女は「そんなのありえへん。『すみません。知らないので教えてください』って言えば済む話やん」と言って不思議がっていた。こういうところに、私の“風変りな部分”があるのかもしれない。

 図太いところは図太いのに、そうしたところでめちゃくちゃ繊細になってしまう……。

 人前で歌うようなことはできるのに、大半の人が傷つかないようなところで傷ついてしまったりする。みんなが思いとどまるようなところで、自分だけがなぜか進んでいるといったこともあるので、やっぱり私って変わっているのかもしれない。

YouTuberになりたいわけではなかった……

 まあ、こんな性格なので、普通の会社で何年も仕事をするのはいずれにせよ向いていなかっただろう。それでも専門学校のあとに、アパレル会社で何年も働き続けられたのは、その会社が変わっていたからだと思う。

 そう考えてみると、遅かれ早かれ、YouTubeをやっていた可能性はある。

 そうは言っても、最初はYouTuberになりたくてYouTubeを始めたわけではない。魚釣りにハマり、自分の釣果記録として熱中しただけだった。言ってしまえば自己満足のようなもの。確かなのは、ツイキャスYouTubeを抜きにしても、釣りだけは続けているだろうということだ。

 最初は自分のための記録として撮影をしていたYouTubeだったが、幸い、多くの方たちに見ていただけるようになり、登録者数が10万人を超えたあたりからは、活動の幅も広がっていった。

 動画で私を見ている人たちからは、「マルコスは人見知りしないね」とよく言われる。

 動画を撮るときは、皆の前に出る前提なので、自然とテンションが上がってしまう。

 ところが、私はめちゃくちゃ人見知りなのだ。

 しかし、引っ込み思案では動画は撮れない。

 生配信YouTubeの撮影をする際には、カメラスイッチを押すのと同時に、自分のなかのスイッチも入り、人見知りの自分から社交的な自分に変わっていく。これを繰り返しているうちに、人見知りで引っ込み思案の性格も少しずつ変わっていったような気がする。

 今でもまだ、私のなかには人見知りの部分が残っているのは確かだ。それでも「スイッチを切り替える」ことが以前よりも上手になったせいで、人見知りを乗り越えて、初対面の人とも落ち着いて話ができるようになってきた。

 バンドをやっているときに、人前で歌うことにプレッシャーを感じてしまったのも、「人見知り」という自分の性格が大きく影響していたのだと思う。

 バンド時代は意図的に、スイッチを入れて普段とは違う自分を表に出していたので、今思うとそれが練習になっていたのかもしれない。そして徐々に、勢いに乗じて自分をさらけ出すことの楽しさに目覚めていったのではないだろうか。そのおかげで、人見知りの側面はだいぶ弱くなってきた。

メイク」というもう1つのスイッチ

 カメラスイッチ以外にも、実は私にはもう1つのスイッチがある。それはメイクだ。

 マルコスとして動画に登場するときは、メイクをし、カラーコンタクトを装着して、心の準備を整えていく。このときにも私のスイッチは徐々にオンになっていく。

 実際、以前から私のことをよく知る人たちからは、「マルちゃんって、すっぴんのときのしゃべり方と、メイクしたあとのしゃべり方が違うよね」と言われる。

 自分では特に意識的に使い分けをしているつもりはない。しかし、メイクをしたときのマルコスと、普段の自分はまるっきり一緒ではないようだ。

 確かに、すっぴんの顔と化粧したときの顔の2つをうまく使い分けて、それをちょっとした自分の武器にしたいという考えはある。また、メイクアップをして外見を変えたいという願望もある。

 自分の顔にコンプレックスを持っている私には、メイクアップによってそのコンプレックスカバーしたいという気持ちも存在するのだ。

 メイクアップのせいで、海外旅行ではちょっとしたトラブル(?)に遭遇した経験もああった。

 私のパスポートには、メイクアップをしたときの顔写真が貼ってある。

 これが“トラブル”の元になった。

 アメリカへ釣り旅に行ったとき、ノーメイクのままイミグレーションを通ろうすると、入国審査官に止められて、「これ、本当にあなたなの?」という怪訝な顔をされてしまったのだ。

 アメリカには、日本のように誰かわからないくらい変化する“ギャルメイク”をする人はあまりいない。そのせいか、入国審査官はピンとこなかったようだ。

「これが私の素顔なの! これ、これ!」

 そういいながら、自分の顔を指さして、自分であることをアピールした。

 必死にアピールをしても納得はしてくれず、証拠としてスマホに入っている普段の私の写真を見せろと言われた。結局、それを見せるまでは納得してくれなかった(笑)

 どうにか入国審査官を納得させることには成功したが、すごく恥ずかしかったのも事実だ。

私が釣りとYouTubeを辞めるとき

 釣りを始めたとき、最初のころは1人でやっていても面白いなと思った。ところが次第に、面白いけど、何か物足りないなと感じるようになった。

 それが何なのかを考えていくうちに、他人とその面白さを分かち合えないことが物足りなさの原因だとわかった。私は、魚が釣れたときの興奮や喜びを誰かと共有したかったのだ。さらに、見ている人たちからも、「すごい!」と言ってほしかったのかもしれない。

 そこで思いついたのが、皮肉なことに、バンド活動中にはプレッシャーになっていたツイキャスでの生配信だった。

ツイキャスをすれば、釣りの興奮や喜びを共有できるし、コメントももらえる!)

 もともと人前に出たり、歌ったりするのは好きではなく、私はそれが嫌でバンド活動も途中で辞めていた。ところが、バンド時代に培った生配信の経験が、その後、思わぬ形で生かされていく。

 釣りの動画を始めてみてわかったのは、私は基本的には目立ちたがり屋であり、歌う姿を人に見せるのは苦手な一方で、好きなことをしている姿を見せるのは好きという事実だった。この発見は、これからの自分の人生にとって大きな羅針盤のようになってくれると思う。

 今は釣りのことで頭がいっぱいだ。だがこの先、釣り以外で何かやりたいことが見つかったら、釣りから離れてそっちにのめり込んでしまう可能性だってある。

 YouTubeに関しても同じで、今はすごく楽しいし、好きなのでこれからも続けていく。ただし、ほかに熱中できるものが見つかったら、おそらくすぐにそっちに移っていくだろう。自分を変化させなければならないときに、釣りとYouTubeに縛られて、変化できないという状況だけは避けたいと考えているのだ。

 とは言っても、今すぐに何かを大きく変える予定はない。当分の間は、怪魚釣りを含めた釣り、そしてYouTubeに全力を傾けていく。

撮影=澤村洋兵

【前編を読む】北海道の深海で“怪魚”オオカミウオを釣り上げ! 人気釣りYouTuberマルコスが驚いた“爆釣”をもたらす意外なエサの正体とは?

マルコス)

マルコス氏