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 ミャンマーには世にも奇妙な仏塔(パゴダ)がある。ゴールデン・ロックとも呼ばれるチャイティーヨー・パゴダだ。

 パゴダを乗せた金箔に覆われた巨大な花崗岩は、今にも崖から転がり落ちそうなのに落ちない。まるで仏陀の力に守られ重力を否定しているかのようなのだ。

【画像】 仏陀の驚くべき奇跡の力?重力に逆らう仏塔

 チャイティーヨー・パゴダは、ミャンマー、モン州の有名な仏教徒の巡礼地にある仏塔だ。旧首都ヤンゴンの北東約210キロメートル、標高1100メートルの山頂部に位置する。

 その起源と物語は、観光客や巡礼者に神秘と神話を存分に堪能させてくれる。

 岩の高さは7.3メートル。なんともユニークなのは、そんな大きな岩が奈落の底に今にも落ちそうな断崖の端っこに絶妙なバランスで建っていることだ。

 人間の目には、まるで不可能なことのように見え、驚きでしかないが、熱心な信者にとっては、まさに神の御業の証拠だということになる。仏陀の驚くべき奇跡の力で、岩が留まっているとしか思えないのだ。

 伝説によると、岩と丘の間には、仏陀の遺髪が置かれているとされ、これが岩のバランスを保つのに役立っていると信じられている。

チャイティーヨー・パゴダ、ゴールデン・ロック

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 この岩がここに建てられた背景にある工学的な疑問をもつミャンマー人はほとんどいない。むしろ、皆、岩にまつわる神話に畏れ入っている。

 ここが神話と奇跡に包まれた場所であればあるほど、祈りを捧げることがますます重要になってくる。

 この岩の歴史と逸話は、スミソニアンチャンネルのドキュメンタリー番組「ビルマの驚異:黄金の寺院」でとりあげられ、調査された。

 番組の中でナレーターは、岩の"重力に逆う"性質に注目している。さまざまな神話によって神聖化された自然の驚異だというのだ。

The Burmese Monument That Appears to Defy Gravity

チャイティーヨー・パゴダにまつわる伝説

 伝説は、1000年前に奥地にあったアッパーモンと呼ばれる王国から始まった。

[もっと知りたい!→]18世紀のチベット仏教の本から学ぶ、美しいブッダ(仏陀)の描き方マニュアル

 あるとき、この国の王がひとりの仏教徒の隠者と出会った。隠者は帽子の中に仏陀のものとされる髪の束を持っていて、それを王に捧げた。

 その見返りとして、隠者は自分の頭の形をした岩の上に仏塔を建てて、そこに髪を祀るよう言った。

 王は、錬金術に長けた父ザウギと、蛇竜の姫である母ナーガから、超能力を受け継いでいた。

 王は、帝釈天であるタジャーミンの助けをかりて、海底でちょうど隠者の言うとおりの岩を見つけた。

 岩を海底から引き揚げ、船を使って運んで、やっとのことで山頂まで引き揚げた。

 岩をうまいこと固定すると、王はその上に仏塔を建て、中に仏陀の髪を祀った。

ミャンマーのゴールデン・ロック

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 岩を運んだ船もまた石になり、ゴールデン・ロックから300メートルほとのところに安置されて、巡礼者たちに崇められている。

 これは、"石の船"という意味をもつ、チャウクサンバンのパゴダ、あるいはストゥーパとして知られている。

 べつの神話では、岩は仏陀の髪の毛の上にあるので、これが岩が山から滑り落ちるのを防いでいるという。

 また、仏教徒の隠者の誇り高く禁欲的な姿に王は感銘を受け、王自らの力を使って、岩を現在の場所まで運んだという逸話もある。

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 いずれにせよ、仏教を信じる人にとってはゴールデン・ロックは神の奇跡であり、その力を信じることで救われるものがあるに違いない。

References:Archaeologists stunned by ancient Myanmar monument that 'defies gravity' / written by konohazuku / edited by parumo

 
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なぜ落ちない?重力に逆らっているように見えるミャンマーの岩の仏塔「ゴールデン・ロック」