海辺の高校生

2022年4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げになります。これによって、私たちの身近な問題では、どういったトラブルが想定されるのでしょうか。


■成年年齢が18歳に引き下げ

2018年(平成30年)6月に、民法の定める成年年齢を18歳に引き下げることなどを内容とする「民法の一部を改正する法律」が成立。この改正法が、2022年4月1日から施行されます。

これにより、18歳に達すると一人で有効な契約をすることができ、また、父母の親権に服さなくなることになります。


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■女性の婚姻開始年齢は18歳に

また今回の法改正では、女性の婚姻開始年齢も見直され、これまで「男性18歳、女性16歳」とされていましたが、4月1日から女性の婚姻開始年齢も、男性と同じ18歳に引き上げられます。

■18歳で成人、注意したいトラブル

弁護士・齋藤健博先生

成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることで、何か増加が予想されるトラブルなどはあるのでしょうか。齋藤健博弁護士によると…

齋藤弁護士: 4月より施行される成年年齢の引き下げは、民法上成人、完全に大人と同等の能力をもって権利を動かすことができるというものです。


これは、成人、親権者の同意を得なくても、不動産などの大きい処理をすることができる、契約を締結することができる、お金のやりとりができるなどのメリットもある一方、リスクも負います。これまでは、20歳より低い年齢の未成年は制限行為能力者といって、契約関係等の権利義務を取り消すことができました。


しかし、18歳に至ると、確定的な意思表示をしたものとして、取り消す、意思表示に疑義があるのでなしにします、という主張ができなくなるのです。


■「契約」や「買い物」はお互い慎重に

大きなトラブルに発展することを防ぐためには、どういった点に注意が必要なのでしょうか。

齋藤弁護士:18歳を成人年齢であると法改正をすることは、社会の実態に合わせる形での法改正ではありますが、一方で高校卒業時点ではまだ大学生や予備校生のまま、すなわち学生です。そうすると、大きい買い物などをすることはあまり想定されないかもしれません。


しかし業者側等は、法定代理人の同意を得る必要がないことをいいことに高額な商品やサービスを提供している例も見受けられます。契約をなしにする、アリにするなどのトラブルに発展させることがないように、たとえば学生と見受けられる場合には「親御さんとはお話をされたのでしょうか?」と、口頭でもいいので確認してみるだけでも、大きいトラブルは回避できるのではないでしょうか。


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(企画・文/弁護士・齋藤 健博

4月1日から、成年年齢が18歳に これにより「注意したいトラブル」とは…