暴れ狂う大怪獣に、逃げ惑う人々。突如、ヒーローが現れて世界を救う。それは、子どもの頃に誰もが憧れた、特撮映画でお決まりの展開。しかし、倒された怪獣の死体処理は果たしてどうなっていたのか?

そんな「誰もが知る“巨大怪獣”の、誰も知らない“死んだ後”の物語」を描く“空想特撮エンターテイメント”映画『大怪獣のあとしまつ』が、2月4日に全国公開する。


松竹と東映が創立以来の初タッグを組み、共同幹事・配給作品として送るビッグプロジェクトの主演を務めるのは、Hey! Say! JUMP山田涼介。大怪獣の死体の“あとしまつ”を命じられた特務隊員・帯刀アラタとして、誰も経験したことのない難題に挑む。


そんな山田に本作の魅力を聞いていくと、アイドルとして、俳優として脚光を浴び続ける彼の思う“理想の主人公”像が浮かびあがる。


さらに今回のインタビューでは、ジャニーズ事務所としては異例だったYouTubeのゲーム実況チャンネル「LEOの遊び場【山田涼介】」の裏話も語ってくれた。

帯刀アラタは「絶対にブレちゃいけない存在」

──松竹と東映の初タッグという大型プロジェクトの主演というオファーをどのような気持ちで受け止めましたか?


プレッシャーはもちろんありましたが、「1つの作品を作る」というベクトル自体はいつもと変わりません。「大型プロジェクト」「主演」ということよりも、「自分の中でこの作品をどう捉えるか」の方が、演じる側としてはすごく大事なことだと思っているんです。


ただ今回は、台本をいただいて見てみても、字面だけだと「どうなるんだろう」という事が多すぎて(笑)。「大丈夫なのかな」とか「東映さんと松竹さんがタッグを組んでなぜこの題材にしたのか」とか、色々なことを考えました。


──普段から、主演でもそれ以外のポジションでのキャスティングであっても、あまり意識はされないんでしょうか。


そうですね。やっぱり、その本を見て自分の立ち位置を見たら、やることは大体決まってくるので。今回演じた帯刀アラタという役柄は「絶対にブレちゃいけない存在だな」と感じていました。他の役たちがとんでもなくブレてくれるので(笑)、芯をしっかり通しておかないといけないなと思いましたね。


──今回、特撮映画ならではの新しい経験ができたと感じていることはなにかありますか?


僕はありがたいことに、これまでVFXを使った作品に携わることがわりと多かったので、抵抗感はあまりなかったです。「だいたいこれぐらいの大きさです」「目線はこれぐらいです」と言われれば、なんとなく想像ができるという特殊能力があるんです(笑)。


──ヒロインとして出演する土屋太鳳さんの印象はいかがでしたか? 


すごく素直な子だなと。良い意味であまりギャップがないんです。テレビで見ていても「すごくいい子なんだろうな」と世間の方も思っていると思いますが、本当にそのままです。


土屋太鳳の口からこの言葉が出るか」っていう面白さは、やっぱり三木監督ならではなのかなと思います。あれだけきれいな女優さんの口からお下品な言葉を聞けるっていうのは、人間味を感じてちょっとうれしいような気もします(笑)。


『大怪獣のあとしまつ』は、山田涼介の俳優人生に「必要な作品」

──本作には「倒すよりムズくね?」というコピーがありますが、山田さんにとって「ムズくね?」と思うことはなにかありますか?


「仕事ってムズくね?」と思います。アイドルとしてライブをやっている期間に俳優としての仕事が重なったりすると、前日までは殺し屋だったのに次の日にはキラキラしてなきゃいけないとかもあって、役が抜き切れない部分もあるんです。


──プライベートではいかがでしょうか?


確定申告ですかね。初めて行った時は「ちょっと何言ってるかわかんない」と思ってしまいました(笑)。


──この作品の魅力はどんなところにあると思いますか?


もちろん映画がヒットすることは大事なんですが、今回の作品では直球勝負よりも変化球が求められているのかなと感じました。どんな作品が皆さんの心に刺さるか分からない時代の中で、こういう一風変わった角度で攻めたことは、自分のこれまでにはあまりないかもなと思ったんです。だから、僕の俳優人生はこれからも続くと思いますけど、その中で必要な作品になるんじゃないかなと。


──自分のキャリアの中で必要になるとは、具体的にはどのような点からそう感じたのでしょうか。


僕はコメディ作品もやりましたが“僕は一切ふざけてないんだけど状況がものすごくふざけてる”というような作品には今まで出たことがなかったんですよ。それを映画にした時に、どういうふうに面白さが伝わるのか、自分の出ている作品ではありますが、お客さんとして見てみたいなと思ったのが1番の理由になるかなと思います。


──帯刀アラタは「大怪獣のあとしまつ」というミッションを課されるわけですが、山田さんは日頃自身になにか課しているミッションのようなものはありますか? 


たいしたことはないんですけど、朝は必ず床拭きと掃除機をかけています。日課になっちゃったんですよね、ホコリってどこから来るんだろうっていう疑問があるんですよ。1日で溜まるホコリってすごくないですか?「仕事に行って帰ってきて寝てるだけなのに、この子たちはどこから来てるんだ」と毎回思うのが、ちょっと楽しい(笑)。それを片付けるのが僕にとっての“あとしまつ”ですね。


──キレイにオチましたね(笑)。


たまたまです(笑)。


憧れはレオナルド・ディカプリオ 名シーンに「これだ!」

──山田さん自身は、特撮モノのヒーロー、主人公に憧れはありましたか?


小さい頃に特撮モノをあまり見てはいなかったんですが、『電磁戦隊メガレンジャー』っていうのがあって、メガイエローとメガピンクをかわいいと思っていました。他の人と比べて小さいところが、子どもだった自分のツボに刺さったんでしょうね。メガブラックもかっこいいと思っていましたが、真ん中にいる赤に憧れることはなかった。端にいるちょっと変わったようなキャラクターを好きになることが多かったんです。


──ちなみに、山田さんにとってヒーローと呼べる人物はどなたかいますか?


ヒーローとは違うかもしれませんが、僕はレオナルド・ディカプリオにすごく憧れているんです。僕が少し演技に悩んでいた時に『華麗なるギャツビー』を観たんですが、あの作品って冒頭の30分はギャツビーが出てこないんです。で、やっと主人公が出てきたと思ったら一言目が「I'm Gatsby」なんですよ。「これだ!」「こういうのを主人公っていうんだ!」と思いましたね。


でも僕は、いわゆる“かっこいい役”みたいな役はあまりやっていないんですよ。だからまだそのエッセンスを取り入れることができていないんですけど、今後そういう役があれば、あの「I'm Gatsby」からの花火ドカンをやってみたいですね。


──山田さんは「LEOの遊び場【山田涼介】」というチャンネル名でYouTubeも運営してらっしゃいますよね。ファンの方からもLEOさまと呼ばれていますが、それもレナルド・ディカプリオが由来なのでしょうか。


そうです。それはマジでそうです。実はチャンネルの中でも説明してるんですけど...。


──勉強不足で失礼しました。


全然。最初の方の動画の本当に冒頭で触れているだけなので。僕、小さい頃からずっとゲームが好きで、自分のアカウントは全部LEOでやっていたんです。だからその名前に愛着がものすごくあって、ゲームの中で知り合った友達にも、僕のことを僕とは知らず「LEO」として認識してる人がいっぱいいるんですよ。オンライン上で知り合うから。


それで事務所とも話して、山田涼介としてではなくLEOとしてゲームをやることになったんです。だから由来はそのレオナルド・ディカプリオです。


──では、山田さんをLEOと認識していた友人はチャンネルを開設したことで正体に気づいたかも...。


そういう人もいるんじゃないですかね。気付いてない人もいると思いますよ。


──チャンネルの開設に至るまでは苦労もあったのではないかと想像してしまいます。


ありましたね。開設するまでに一年ぐらいはかかりました。事務所が「プロと対等にやりあえるんだったらやってもいいんじゃないか」と実力を認めてくれたんです。もともと「ゲームの仕事はないですか」と話してはいたんですけど、ゲームの仕事なんてなかなか来ないじゃないですか。それで、ジャニーズの中ではたぶん誰も開拓したことがないところで先陣切って行きましょう、ということで、ゲームの大会とかにも出させてもらったり、のびのびとやらせてもらっています。


──貴重なお話をありがとうございました。最後に、映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。


難しい事は置いておいて、この『大怪獣のあとしまつ』という映画を素直に楽しんでほしいなという思いが一番強いです。誰もが知っている怪獣の、誰も知らない死んだ後の物語というテーマに「言われてみればそうだな」と誰もが思ったと思うんですよね。あの死体はどうなっているのか。この映画を観ていただければ、すべての点と点が繋がるんじゃないかなと思います。そして誰も予想できないラスト5分に、存分にツッコんでいただければと思います!


取材・文/山田健史


大怪獣のあとしまつ

2022年2月4日 全国ロードショー

企画・配給:松竹 東映

(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会




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