プロローグ/ロシア軍のウクライナ侵攻報道

 昨今、日本のテレビロシア軍が今にでもウクライナに侵攻するかのごとき報道を毎日流しています。

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 日系各紙も同様です。

 テレビには識者や専門家と称する人たちが登場して、「ロシア軍ベラルーシ側から侵攻すれば、首都キエフはあっと言う間に占領されます」とか「ロシア軍が侵攻すれば、ウクライナ軍は半日ももたないでしょう」などと無責任な解説をしています。

 では、ロシア軍は本当にウクライナに侵攻して、首都キエフを占領するのでしょうか?

 結論から先に書きます。筆者は、ロシア軍ウクライナ侵攻はあり得ないと考えております。ロシア軍ウクライナに軍事侵攻する必要性も必然性も大義名分もありません。

 ロシア軍ウクライナ侵攻を煽っているのはむしろ米国と日本含む欧米マスコミであり、ロシア軍ウクライナ侵攻を望んでいるのはウクライナのO.ゼレンスキー大統領その人であると推測します。

 本稿ではウクライナ問題を巡る混乱の背景と本質、ウクライナ騒乱が近隣諸国にどのような影響を与えるのか、筆者の独断と偏見と想像を交えて仮説を展開したいと思います。

ウクライナ侵攻煽る日系マスコミと評論家

 日本の昼間の各局ワイドショーや夜の報道番組には、ウクライナ国境付近で軍事演習していると説明される、ロシア軍戦車の映像が毎日流れています。

 その際に流れる映像はロシア軍の戦車が戦車砲を撃っている場面で、毎日同じ映像です。

 日系各紙もテレビに負けじとばかり、ロシア軍によるウクライナ侵攻の可能性を大々的に報じています。

 例えば、英外務省1月22日、「ロシアウクライナに親ロシア政権樹立を画策している」と報じています。在ウクライナ米大使館が自国民にウクライナからの避難勧告を出したことも報じられています。

 このような映像や報道が毎日繰り返されると、≪今この瞬間にもロシア軍の戦車が露・ウクライナ国境を越えて、キエフに侵攻するのでは?≫との不安が拡がります。

 換言すれば、そのようなサブリミナル効果を狙って、毎日同じ映像・記事が報じられているのではないかと筆者は推測します。本件はのちほど考察したいと思います。

クラウゼヴィッツの戦争論

 プロイセンの軍人クラウヴィッツは『戦争論』(Vom Kriege)の中で、戦争を “Der Krieg ist eine blosse Fortsetzung der Politik mit anderen Mitteln.”(「戦争とは他の手段による政治の継続にほかならない」)と定義しました(第1部第1章)。

 すなわち、「戦争とはその国の政治的意思を実現するための一つの手段にすぎない」と、戦争の本質を喝破しました。

 ウクライナ問題におけるロシアの政治的意思は「ウクライナNATO北大西洋条約機構)加盟阻止」です。

 一方、米国の政治的意思は「ロシア軍ウクライナ侵攻阻止」です。

 ロシア軍ウクライナに侵攻すれば、米国はウクライナNATO加盟を認めることになり、ロシアは自国の政治的意思を実現できないことになります。

 一方、米国がウクライナNATO加盟を認めればロシア軍ウクライナ侵攻を正当化することになり、米国は自国の政治的意思を実現できないことになります。

 上記より、両国の政治的意思を実現する手段は戦争ではないとの結論に至ります。

 これが今でも米露協議が継続しているゆえんであり、筆者は、米露はいつか・どこかで妥協すると予測しています。

油価動静

 ご参考までに、ここで油価がこの1年間でどのように推移しているのか概観したいと思います。

 米WTIと北海ブレント油価はスポット価格、露ウラル原油は露黒海ノヴォロシースク港出荷FOB価格です。

 米WTIと北海ブレントは軽質・スウィート(硫黄分含有量0.5%以下)原油、ウラル原油は中質・サワー(硫黄分含有量1%以上)です。

 通常、軽質油は中質油・重質油よりも、スウィート原油はサワーよりも油価は高くなります。

 ところが、今年に入り露ウラル原油は米WTIよりも高値となる油価水準が続いており、ロシアにとり有利な油価水準になっています(油価単位:米$/バレル)。

 ロシア2021年国家予算案の想定油価(ウラル原油)はバレル$45.3でしたが、実績は$69。2022年の国家予算案想定油価は$62.2です。

 ですから$80を超える現在の油価はロシアにとり望外の油価高水準になり、国庫は潤っていることでしょう。

ウクライナの悲劇と茶番劇

 1月24日朝の民放テレビ報道番組は「ウクライナでは10代の学童が武器を持って訓練しています」とのナレーションが入り、映像を流していました。

 この映像を観て、筆者は腰を抜かしました。

 ドイツではヒトラーが学童の「ヒトラー・ユーゲント」を組織して、戦況が不利になると、ヒトラー・ユーゲントを戦場に送り出しました。

 日本では「学徒動員」がありましたが、児童は「学童疎開」させています。しかし太平洋戦争末期の沖縄戦ではひめゆり学徒隊などが組織され、学童が地元の戦場に送り出されました。

 ウクライナでは、ロシア軍の侵攻に備えて最初から児童を戦場に送り出す訓練をしていることになります。

 このような状況下でウクライナ大統領がすべきことは、学童の武器訓練ではなく学童疎開です。

 ゼレンスキー大統領は世界の同情を買うためにこのような情報(偽情報?)を流していると思いますが、これでは逆効果です。

 大統領就任前の本人の職業は喜劇役者です。

 この喜劇役者は、テレビドラマ国民のしもべ」の中で高校教師から突然大統領になり、その後本物の大統領になりました。

 ウクライナにとり、この喜劇役者が大統領になったことは“悲劇”だと思います。

 そしてその喜劇役者が今やっていることは世界の同情を買うことですが、これは“茶番劇”と言えましょう。

ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の中でK.マルクス曰く、

Hegel bemerkte irgendwo, daß alle großen weltgeschichtlichen Tatsachen und Personen sich sozusagen zweimal ereignen. Er hat vergessen, hinzuzufügen: das eine Mal als Tragödie, das andere Mal als Farce.

「ヘーゲルはどこかで言った、すべての世界史上の大事件と巨人は二度現れる、と。しかしヘーゲルは次の言葉を付け加えることを忘れていた。最初は“悲劇”として、次は“茶番劇”として、と」(筆者拙訳)

 ヘーゲルは「大事件と巨人は二度現れる」と言いました。ここではもちろん、ナポレオンの家系を指します。

 現代風に訳すと、「喜劇役者が大統領になった。最初は悲劇を演じ、次は茶番劇を演じた」となりましょうか。

レッドラインを明示する米露首脳

 露プーチン大統領レッドラインを明示しています。

 ウクライナNATO加盟決定が露のレッドラインです。ですから、現状ではロシア正規軍のウクライナ侵攻はあり得ません。

 米国のレッドラインロシア軍ウクライナ侵攻です。ですから、ロシア軍ウクライナに侵攻しない限り、米国のレッドラインは順守されていることになります。

 米国はウクライナに武器供与を発表し、新聞報道では1月22日に武器弾薬90トンがウクライナに到着したと報じられています。

 この発表を受け、ではこれからロシアが何をするのかと申せば、ロシアは第2次キューバ危機を演出すると予測します。

 一方、ロシア軍ウクライナに軍事侵攻した場合、米国が厳しい対露経済制裁を実施するというのは理解できます。当然のことであり、ロシアも先刻承知と思います。

 民間銀行の世界ドル決済システムSWIFTからロシアを排除することも発表されています。このドル決済システムから排除されれば企業は貿易決済ができなくなるので、破産する企業が続出するでしょう。

 露プーチン大統領は「レッドラインウクライナNATO加盟である」と明言しています。ですから、ウクライナNATOに加盟すれば、軍事侵攻はあり得るでしょう。

 逆も真なり。ウクライナNATOに加盟しなければ、ロシア軍ウクライナ侵攻はないということになります。

 米J.バイデン大統領も露プーチン大統領レッドラインを意図的に明確化することにより、戦争勃発を避けようとしています。為政者として当然の行為と言えましょう。

NATO東進はロシアのキューバ危機

 筆者は、ウクライナNATO加盟はロシアにとってのキューバ危機に相当すると考えます。

 1962年の第1次キューバ危機では、ソ連はキューバミサイル基地を建設しました。

 ミサイルを積んだソ連輸送船がキューバに近付いた時、若き米J.F.ケネディ大統領キューバ封鎖を断行してソ連輸送船を捕捉、攻撃態勢をとりました。

 米J.F.ケネディ大統領とソ連邦N.フルシチョフ第1書記の合意によりソ連はミサイル運搬輸送船を帰投させ、米国はトルコから軍隊を撤収しました。

 ところがトルコからの軍隊撤収は非公開としたため、ソ連側が一方的に譲歩した形で世界中のマスコミが報じました。

 この結果何が起こったのかと申せば、ソ連国内でフルシチョフは一方的に譲歩したと批判され、失脚してしまいました。

 米露外相会談が2022年1月21日スイスのジュネーブで開催され、ロシア側は改めて「NATO東進せず」を文書で確約するように求め、米国はロシア側の要求に対し1月30日までに文書で回答することを約束しました。

 これに対し、1月22日の露タス通信は「米WP(ワシントンポスト)紙によれば、米国はロシア側に米国の回答を非公開としてほしい」と要求したと伝えています。

 とすれば、まさに第1キューバ危機と同じ状況が出現して「歴史は繰り返す」ことになり、その結果も透けて見えてきます。

 露プーチン大統領は当然、第1次キューバ危機の経緯と結果を熟知しているはずで、ロシア側対応も注目されます。

 米国はウクライナに武器供与を発表。実際に、1月22日には武器弾薬をウクライナに搬入しました。

 この事態を受け、ではこれからロシアが何をするのかと申せば、ロシアは第2次キューバ危機を演出すると予測します。

 すなち、ラテンアメリカロシアミサイルを配備すると脅すことになるでしょう。

 ではどこに配備するかと申せば、キューバベネズエラになりましょう。

 ロシアミサイルを積んだ輸送船をキューバベネズエラに向かわせれば、米国はこの輸送船を拿捕するはずです。すなわち、1962年キューバ危機の再来になります。

 第1次キューバ危機ケネディーとフルシチョフの協議により、ソ連は輸送船を帰国させ、米軍はトルコから撤収しました。

 第2次キューバ危機は、プーチン大統領ミサイル運搬輸送船を帰国させ、バイデン大統領NATO東進せず(ウクライナの加盟阻止)を約束することで解決するでしょう(これは密約になるはずです)。

ロシア軍侵攻報道を垂れ流すマスコミ

 昨今、日本のテレビは毎日、ロシア軍が今にでもウクライナに侵攻するかのごとき報道を垂れ流しており、その際に流れる映像はロシア軍の戦車が戦車砲を撃っているお馴染みの映像です。

 しかし、ロシア軍が本当にウクライナ国境に展開しているのかどうか、具体的地名は出てきません。

 2022年1月13日に配信されたロイター電(電子版)は不思議な記事を流しています。

ロシアウクライナ向けにエネルギー供給を停止した場合、米国はウクライナを支援する」と報じています。

 ロシアドルジュバ石油パイプラインウクライナに石油を供給していますが、天然ガスは供給していません。

 しかし、ロシアからの天然ガス輸入契約を一方的に破棄したのはウクライナ側です。

 2019年12月まで有効の天然ガス供給契約を破棄して、2015年11月からはロシアから天然ガスを輸入していません。

 しかし厳冬で困ったウクライナは、「ロシアからウクライナ経由欧州向けトランジット天然ガスを抜き取らざるを得ないことになるだろう」と堂々と発言しています。

 肥沃な黒土によりかつてはヨーロッパの穀倉地帯と呼ばれたウクライナは、いまや泥棒国家に成り下がった感じです。

 問題はむしろ、ウクライナゼレンスキー大統領です。

 米露協議が進展して困るのはゼレンスキー側です。情勢が正常化すれば、ウクライナ国民の目はゼレンスキー大統領の無能政策を批判するようになるでしょう。

 ですから、ゼレンスキー大統領ウクライナの盧溝橋を演出する可能性があります。これが一番懸念される事態です。

ロシア軍はどこに展開しているのか?

 ではここで、ロシア軍はどこに展開しているのか、各種報道を分析してみたいと思います。

 最初に、ロシア軍の戦車が戦車砲を撃っているお馴染みの場面を考察します。

 日系テレビ映像のナレーションは「ロシアウクライナとの国境付近に軍隊を配備しています」と説明しながらの映像ですから、我々視聴者ウクライナとの国境付近でロシア軍の戦車が実際に大砲をぶっぱなしていると思い込みます。

 この映像はロシア軍が撮影したロシア軍の演習風景ですが、このような演習は各国どの軍隊でも毎年やっています。

 余談ですが、日本の自衛隊も富士演習場に招待客を呼んで、戦車や榴弾砲の実弾射撃訓練を公開しています(最近はコロナ禍の関係で実施していませんが)。

 筆者の家族に御殿場に住んでいる者がいます。地元住民には招待状が来るので毎年参加しており、実弾射撃は迫力あると言っていました。

 ロシア軍戦車の演習風景は場所が特定されていません。これはロシア軍が撮影したロシア軍の演習風景であり、これがウクライナ国境付近であるとの証拠は何もありません。

 1か所のみ場所が特定されました。それはエリニャです。

 グーグル地図でエリニャを検索すると、場所がすぐでてきます。ベラルーシとの国境から150キロほど離れた場所で、ウクライナからは遠く離れています。

 ですからテレビでエリニャを示すと、「なんだ、ウクライナ国境ではないではないか」とばれてしまいます。

 そこでテレビでは、エリニャから下(南)の方向へ長い楕円形の地図を書いて、ウクライナ国境に近付けています。

 付言すれば、エリニャは交通の要所です。ナポレオン軍はベラルーシ側からエリニャを通り、モスクワに入城。退却時も同じルートで退却中にほぼ全滅しました。

 ドイツ機甲軍団もエリニャを通過して、モスクワを目指しました。

 筆者の推測ですが、エリニャ以外の地名を公表しないことが米国の国益に適うので公表しないのだと思います。

 米国の軍事偵察衛星ロシア軍がどこに展開しているのか、正確に把握しているはずです。実際にはロシア軍は通常駐屯地付近に展開しており、ウクライナ国境ではないのかもしれません。

 もし本当にロシア軍ウクライナ国境に展開して、戦車が国境を越える態勢を整えているとすれば、その映像を流すはずです。

 しかし、毎日流れる同じ映像はお馴染みの戦車の演習風景のみです。

ロシア軍ウクライナ侵攻は近い」とする説明が流れる中での演習風景ですから、(筆者含め)毎日同じ映像を繰り返し観ている人は、サブリミナル効果で≪これはウクライナ国境付近だ≫と思い込まされて映像を観ていることになります。

 これこそ、意図的偽情報を流す側の目論見となりましょう。

継続する米露高官協議

 予定通り2022年1月21日スイスのジュネーブにて米露外相会談が開催されました。

 筆者はNHK夜9時のニュースで会談冒頭部分を観ておりましたが、露S.ラブロフ外相の余裕ある態度と米A.ブリンケン外相の硬い姿勢が対照的でした。

 好対照の2人を観て、やはり役者が違うという印象を受けました。

 露ラブロフ外相は「米側の要求により米露外相会談が開催されることになった」と発表しましたので、露側ペースで交渉が進展していることが窺われます。

 1月21日付・露コメルサント紙に拠れば、ラブロフ外相は露側提案(NATO東進せず要求)に対する回答を求め、米側は来週1月30日までに文書で回答すると約束しました。

 この回答を受けて米露高官協議が継続され、既に再度の米露首脳会談開催も取り沙汰されています。

 米露首脳会談が開催され、米露外相会談が実施され、再度米露首脳会談の可能性が取り沙汰されている中で、ロシア軍ウクライナに侵攻することはあり得ません。

遅れているプーチン大統領年次教書発表

 このような米国の意図的偽情報(ディスインフォメーション)があふれる中、露プーチン大統領の年次教書発表が遅れています。

 前回の大統領年次教書発表は2021年4月21日でした。

 昨年末の段階では、プーチン大統領年次教書発表は2022年1月になるだろうとのことでした。

 今回の大統領年次教書は新生ロシア連邦誕生後28回目となり、プーチン大統領にとっては18回目の大統領年次教書になります。

 筆者は毎年、大統領年次教書発表を楽しみに待っています。プーチン大統領2000年7月8日の第1回大統領年次教書から、筆者は毎年実況中継を観てきました。

 1月22日の露大統領府ペスコフ報道官の発言では、コロナ禍により数週間は遅れるだろうとのことで、年次教書発表日は現状未定です。

 現在米露高官協議が断続的に進行中なので、この米露協議の結果を受け情勢を見極めた上で、今年の年次教書を発表するものと推測します。

ウクライナの盧溝橋

 米投資銀行は1月22日、今年後半には油価はバレル100ドルを超えるとの予測を発表しましたが、筆者は米投資銀行のこの種の油価高騰予測を信じておりません。

 米投資銀行が100ドル超え予測を発表したということは、逆に油価は今後下がることを見越していると考えます。多分、既に先物を売り抜けていることでしょう。

 過去に油価150ドルに近付いた時、米投資銀行は年内油価200ドル超えを発表しました。当方≪これは下がるな≫と思っておりましたら、その直後から油価は下落しました。

 米メディアロシア軍ウクライナ侵攻が今にも始まるかのごとく報道して、危機を煽っています。これも油価高騰の一因です。

 付言すれば、ロシア軍を中心とするCSTO軍が今年1月6日カザフスタンに派遣されたとき、欧米マスコミでは、ロシア軍カザフスタンに駐留するだろうとの観測も流れました。

 しかしCSTOは1月10日カザフスタンからの撤収開始、19日に撤収完了しました。

 ロシア軍ウクライナ軍事侵攻はロシアにとりメリットもなく、侵攻すれば第3次世界大戦になることは明白です。

 一つだけ不確定要素があります。それは上述のとおり、ウクライナ軍の動きです。

 米露が密約を結べば、困るのはウクライナゼレンスキー大統領です。2024年には大統領選挙が予定されています。

 既に野党の新露派P.ポロシェンコ氏も帰国して、大統領選挙に出馬予定です。ですから、ポロシェンコ氏は逮捕されるかもしれません。

 ロシア軍の軍事侵攻はあり得ませんが、ウクライナ軍が盧溝橋を仕掛ける可能性はあります。

 上記より、一番の注意点はウクライナ軍の動きと言えましょう。

カラー革命とは?

 昨今、ロシア軍ウクライナで特殊工作をするだろうとの情報が盛んに発せられていますが、これは意図的偽情報と考えます。恐らく、特殊工作はウクライナ特殊部隊がやるでしょう。

 1月24日には、ロシアウクライナ政権の転覆を狙っているとの報道が流れました。

 筆者はこれも第2次キューバ危機演出作戦の一環と理解します。しかしこれは、米国が旧ソ連邦諸国で作戦実行した過去3回の「カラー革命」のロシア版にほかなりません。

 過去3回のカラー革命とは、グルジアジョージア)「バラ革命」(2003年)、ウクライナオレンジ革命」(2004年)、キルギスチューリップ革命」(2005年)です。

 これは親欧米派政府を樹立すべく、米国情報機関が仕組んだ政権転覆作戦であり、「革命」と称していますが、実態は「クーデター」です。

 米国はクーデターで樹立された政権は支援できないことになっているので、革命と称しているのです。

 米国のカラー革命に対し、欧米マスコミは批判・非難したでしょうか?

 もし批判・非難したのであれば、ロシアウクライナ第2次オレンジ革命作戦を批判・非難する資格はあります。

 しかしもし今回の「第2次オレンジ革命作戦」のみを批判・非難するとすれば、それは二重規範になります。マスコミは自分で自分の姿を鏡に映してほしいものです。

キエフはロシア人の故郷

 人は皆、心の内に故郷の原風景を持っています。

 ロシア人もウクライナ人も同じスラブ民族の同胞であり、キエフロシアにとり魂の故郷です。

 ロシア古事記「過ぎし歳月の物語」(「原初年代記」/露語“Повесть временных лет”)には不思議ロシア建国物語が記されています。

ノルマン人に支配されたスラブ民族はヴァリャ―ギを追放した(筆者註:ロシア革命第1号?)。その後国が乱れたので、またヴァリャーギに統治を願い出た」

 ルーシ族は862年、ノーヴゴロドにリューリック朝ルーシを建国。882年にキエフ・ルーシを建国。その後ルーシ族はスラブ民族に同化して、ロシアは発展していきました。

 なお、ルーシ族とはヴァリャーギ(バイキング)ルーシ族のことですが、ロシア人歴史家の中にはこの建国物語を否定する人もいます。ロシア人の誇りが許さないのでしょうね。

エピローグ/ウクライナ問題暫定総括

 最後に今回のウクライナ問題を総括します。

 現在進行中の国際問題ですので、あくまでも2022年1月24日現在の暫定総括である点を明記しておきます。

 筆者の描くウクライナ問題を巡る現状と近未来予測の輪郭は以下のとおりです。

結論:ロシア軍ウクライナ侵攻はあり得ない。

理由:米国もロシアレッドラインを明示しており、両首脳はレッドラインを越えることが自国の国益を毀損することを理解している。

背景:欧米マスコミは2か月以上にわたりロシア軍ウクライナ侵攻を報じているが、ロシア軍が侵攻準備として配備されている部隊位置を特定したことはない(唯一の例外がエリニャ)。

展開:米露の欺瞞作戦は続く。特に、ウクライナ軍の動きに要注意。

 故エリツィン大統領の時代、国庫は空となり、企業では労働者への賃金未払いが続きました。

 このときモスクワで流行ったアネクドートロシア小噺)を一つご紹介させていただきます

「労働者は働いたフリをする。企業は賃金を払ったフリをする」

 フェイクニュース満載のウクライナ報道、これから流行るであろうアネクドートを一つご紹介させていただきます

ウクライナロシア軍が攻めてくるフリをする。ロシアウクライナを攻めるフリをする。米国はウクライナ侵攻を信じるフリをする」

 ウクライナ不穏情勢が続けば、選挙を控えたゼレンスキー大統領プーチン大統領バイデン大統領も愛国心に訴えるフリフリ作戦で安泰となることでしょう。

 油価は実需以上の高水準で推移することになり、世界最大の原油生産国たる米国も世界第2位の産油国ロシアも油価高値を享受できます。

 フリフリ作戦に振り回されている独自取材の少ない日系マスコミは、これで視聴率を稼げます。

 とすれば、誰にとっても急いでウクライナ問題を解決する必要性もなくなってしまいます。

 欺瞞満載のウクライナ報道、そろそろ冷静・客観的な報道を期待したいものです。

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