よくある「クルマっつーか、ヘリじゃね?」的なのとはワケが違います

2020年に初飛行した「AirCar」

近い将来実用化の可能性がある次世代航空モビリティのひとつが、俗にいう「空飛ぶクルマ」です。国土交通省はこの「空飛ぶクルマ」について「明確な定義はないが、『電動」『自動(操縦)』『垂直離着陸』が一つのイメージ」とされています。

その一方で、「『クルマ』と称するものの、必ずしも道路を走行する機能を有するわけではない。個人が日常の移動のために利用するイメージを表している」とも。――つまり、このジャンルに相当するもののなかには、そのルックスや用途において、「クルマ」に例える要素が非常に少ないものも数多くあるわけです。事実、多くの「空飛ぶクルマ」のルックスは、自動車よりもヘリコプターに近い形状をしています。

そのようななか、それらのモビリティとは一線を画した、まさに限りなく“クルマっぽい「空飛ぶクルマ」”が、実用化に向け計画が進んでいます。スロバキアのKlein Vision社が手掛ける「AirCar」です。この機は2020年に初飛行し、2021年には初の都市間飛行に成功しました。

そのルックスは、まさに「翼のついたスポーツカー」。この機はどのようなスペックをもつのでしょうか。

「AirCar」はどんな乗りものなのか?

AirCar」は自動車のように地上走行することも、航空機のように飛ぶこともできます。地上を走るときの「AirCar」はほぼ“自動車”そのもの。なお、エンジンBMW製のもので、現段階では160馬力のものが採用されているとのことです。

そして飛行機モードとなると、車体後方に格納されていた主翼が展開され、スポーツカーの「リアウイング」がそのまま尾翼になるようなイメージで、車体後方が延長され、固定プロペラが出現します。なお、この変化はボタンのワンタッチ操作ででき、2~3分程度で完了するとのこと。

ちなみに、「AirCar」試験機の場合、垂直離着陸ではなく飛行機のように滑走路(スペック上は300mで離着陸可能)を用いて実施します。こういった部分も、多くの「空飛ぶクルマ」とは異なる点です。

飛行試験では、高度8200フィート(約2400m)、最高巡航速度190km/hも達成。45度の急旋回、安定性と機動性のテストを経たのち、2022年1月には、スロバキア当局から公式に、自動車の車検に相当する「耐空証明」を授与されました。証明取得のために「操縦装置に触れずに」実施されたものも含む200回以上の離着陸試験を含む、70時間以上のテスト飛行を完了したそうです。

なお、今回の飛行試験は初期型の試験機で実施されましたが、エンジン300馬力に上げ、可変ピッチプロペラを装備し、巡航速度300km/hを見込む、スペック向上版「プロトタイプ2」の試作も進んでいるとのことです。

Klein Visionの「AirCar」(画像:Klein Vision)。