矢野阪神は2月3日か、5日に実戦形式のシート打撃か、紅白戦を行う予定だという。藤浪晋太郎は、ここで結果を出せなければ、ジ・エンドである。

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 1月26日、藤浪が二軍の鳴尾浜球場に現れ、ブルペン投球を行った。「変化」はいくつか見られた。

 まず、ブルペン捕手を座らせての投球練習だったこと。通常、この時期のピッチャーは捕手を立たせたままの投げ込みをする程度だ。巨人・菅野智之との合同自主トレがハードメニューだったのだろう。

 「今年はノーワインドアップか…。去年は大きく振りかぶるワインドアップでしたが。投球フォームを変えてばかり」

 そんな批判的な声も囁かれたが、けっこうイケるんじゃないか? 素人目に見た限りだが、投球そのものはまとまっていた。多少のばらつきはあったが、捕手が手を伸ばして捕る範囲だった。60球弱の投球で、いわゆる“スッポ抜け”というヤツはなかった。

 「菅野と同じ動作だね」

 関係者の一人がそう話していた。

 どういう意味かというと、藤浪はブルペン入りの前のキャッチボールで、右腕を真上に上げたまま左足を動かして投げていた。軸足となる右足に体重がしっかりと乗ったかどうかを確かめるためで、菅野が時折、見せる動作だ。“菅野カラー”に染まってきたようである。

 自主トレで色々と学んできたと好意的に捉えたいが、早くも“試練”に直面したようだ。

 「2月の3日か、5日に実戦形式のシート打撃か、紅白戦が行われる予定ですが、そこで、藤浪も投げさせるそうです。ここでブザマな結果となれば、即刻、二軍降格も十分に考えられます」(ベテラン記者)

 キャンプ早々にアピールしなければならない立場にあることは、藤浪も関西系メディアの囲み取材で口にしていた。

 「キャンプ序盤は投手の方が有利なんです。バッターよりも、ピッチャーの方が早く仕上がるので。藤浪は結果を出し、先発ローテーションを争っていけると思います」(在阪メディア)

 果たして、そうだろうか。同日、球団は岩崎優新型コロナウイルス検査で陽性反応が出た旨を伝えた。矢野燿大監督が最も信頼するリリーバーだ。また、守護神候補の新外国人投手、カイル・ケラーだが、大幅な来日遅延は避けられない。

 状況次第では、ペナントレース序盤戦は岩崎、ケラーの両方が不在となるだろう。

 「藤浪も救援候補に再浮上してくると思われます。新外国人選手とその家族の来日については、コロナ禍でメドが立っていません。本人は先発登板にこだわっていますが、『チームのため』ということも考えるべき」(前出・球界関係者)

 トラはケラー不在でリリーバーの頭数が不足する事態に陥る可能性も高い。

 藤浪は“頑固”であり、良くも悪くも「自分」を持っている。しかし、先発の西勇輝も陽性反応が出たという。先発枠を争う予定のピッチャーは多いが、救援が務まりそうなタイプは少ない。西の出遅れで藤浪が先発枠に入ってくる可能性も考えられるが…。

 いずれにせよ、矢野監督が藤浪を先発とリリーフのどちらで使うのか、両者の信頼関係がトラの命運を決めそうである。(スポーツライター・飯山満)

藤浪晋太郎