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氷上で試す日産車

久しぶりに、日産が長野県女神湖(めがみこ)でメディア向け氷上試乗体感会を実施した。

【画像】日産を支える【ノートシリーズ5モデルを比較】 全218枚

日産の恒例行事なのだが、近年は暖冬で厚い氷が張らなかったり、コロナ禍での緊急事態宣言発令などにより開催が見送られることが多かった。

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女神湖の試乗会で使用された日産ノートニスモ    桃田健史

なお、今回は日産側と参加者側が新型コロナ感染症の予防をしっかりとおこなっている。

用意されたクルマは、「ノート」と「ノート・オーラ」がメインだ。

2021~2022年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、国内販売も好調で2022年1~12月の販売台数は9万177台に達した。

これは、トヨタヤリス」(21万2927台)、同「ルーミー」(13万4801台)、同「カローラ」(11万865台)、同「アルファード」(9万5049台)に次ぐ第6位だ(一般社団法人日本自動車販売協会連合会調べ)。

試乗車を詳しく見ると、ノートは「X-FOUR」、「オーテック・クロスオーバーFOUR」、「ニスモ」。

ノート・オーラでは「G」と「G FOURレザーエディション」があり、FF(前輪駆動車)と4WD四輪駆動車)の違い、またクロスオーバーやニスモによるセッティングの違いを検証できる貴重な機会となった。

その他「リーフe+」、「キックス」、そして「GT-RプレミアムエディションTスペック」にも乗る機会があり、EV、eパワー、そしてハイパワーな機械式四輪駆動車の体感の差も味わうことができた。

しっかり分かる「一体感」

まずはクルマの基本的な性能を知るために、定常旋回、八の字、そしてパイロンスラロームから体験した。

路面状況はまさに、氷上そのものでかなり滑る。

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女神湖の試乗会の様子    桃田健史

タイヤは、ブリヂストンスタッドレスタイヤのブリザックを履く。

今回の試乗会で最大のポイントは、ノート、およびオーラでeパワー4WDの走りの良さを感じ取ることだ。

順を追って見ていくと、定常旋回と八の字では、クルマの骨格であるプラットフォームの良さが分かる。動き全体がカッシリしているのだ。

FFと4WDのそれぞれで重量バランスを最適化し、サスペンションセッティングをしており、氷上でかなり滑っているのだが、ドライバーとクルマとの一体感がある。

そのうえで、eパワー4WDでは、旋回する際の四輪へのトルク配分が適切化されているのだが、アクセルのオンとオフでリアモーターの出力が上がってり下がったり、といった感じの唐突な反応ではない。

ステアリングとアクセルの操作とクルマ全体の荷重移動をリアルタイムでクルマ側が把握して、四輪それぞれのトルク配分を算出しているイメージでもないのだ。

ドライバーがいちどアクションを起こすと、クルマがこれから起こることを先読みしているような感じだ……。

先読み感と楽しさ

この先読み感こそ、コンピュータにおけるフィードフォワード制御という設計の考え方だ。

一般的に、物事が起こったことから次のアクションに結びつけることを、フィードバックという言葉で表現することがある。

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日産ノート    桃田健史

一方、フィードフォワードは情報を得てから動くのではなく、さまざまな実証で得たデータを基に動きの先読みをする。

極端に路面が滑る状態の氷上になると、フィードフォワードの効果がハッキリ出るといえるだろう。

定常旋回と八の字で、筆者のカラダと頭をを温めてから、パイロンスラロームを試した。

まずは、発進時にeパワー4WDの力強い加速感に驚いた。

発進時のタイヤの空まわりを抑えながら、システムのトータル駆動力を大きく高めて一気に加速する。

パイロンスラロームでは、走る度に進入車速や進入ラインを変えてみた。

アクセルを大きくオフしてから、ステアリング操作量をかなり大きくとっても、クルマがしっかり動きを先読みしてくれるので、楽しくて安心な走りに結びつく。

こうした先読み感がある楽しい走りは、加速時やコーナーリングでのトラクション限界値では4WDに多少劣るものの、FFのeパワーでも体感できた。

とくに、ニスモには4WDのモデル設定がないが、スポーツモードでの走りは「クルマ全体をもっともっとコントロールしてみたくなる」気持ち良さ感があった。

リーフやGT-Rと比べると……

次に、一般道路を模擬した外周路を走った。路面は氷上に薄い圧雪がある状態だ。

スタート地点から一気に加速しながら、ステアリングを浅い操舵角度で左右へ小刻みを振ってみると、eパワー4WDの安定感をはっきり実感できた。

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筆者が試乗したクルマ    桃田健史

コーナーリングでは、明らかにFFより4WDが描く円弧は小さく、ここでも先読み感がしっかりあって運転が楽しい。

これは、少し背の高いノート・オーテック・クロスオーバーFOURでも同じで、動き全体がまったりすることはなく、こちらもクルマ全体の一体感がしっかり出ている。

一方で、リーフe+の場合、電池容量が62kWhで車重が大きいが、動き全体としては重ったる感はない。

また、横滑りに対してリアブレーキを制御していることを実感することで、あらためてeパワー4WDによる後輪への積極的な介入との違いが分かる。

最後に、GT-Rに乗ったが、想像以上にコントラブルだ。

システムとしてフィードフォワード制御という観点も多少あるものの、機械式四輪駆動ダイレクト感が実に楽しい。

このように、さまざまな日産モデルを氷上という状況で一気に乗り比べて最新技術を肌感覚で理解することができた。 

各メーカーの多彩な最新モデルでも是非、氷上試乗を体験してみたいものだ。


日産ノート/オーラ氷上試乗 eパワー4WDの実力は? GT-Rとも比較