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 地球はこれまで、5度の大規模な大量絶滅(ビッグファイブ)に見舞われたとされている。これは、特定の時期に多種の生物が同時に絶滅するイベントだ。

 現在、世界各地でさまざまな動植物が絶滅し、生物多様性の危機が叫ばれている。科学者らは数年前から、6度目の大量絶滅の徴候があることを警告していたが、はたしてこれが6度目の大量絶滅に当たるのかどうか、議論のあるところだ。

 だが『Biological Reviews』(2022年1月10日付)に掲載された最新の研究では、「6度目の大量絶滅はおそらく始まった」と述べられている。

 特に陸(島)と淡水で、大量絶滅が進行している可能性が高いという。

【画像】 6度目の大量絶滅は本当に始まっているのか?無脊椎動物で調査

 大量絶滅は、より具体的には、たとえば「短期間のうちに75%以上の種が絶滅すること」といった定義がある。

 今回の研究において、ハワイ大学のロバート・H・カーウィ氏らは、さまざまな種の絶滅データに触れて、現在がその大量絶滅に当たるのかどうか議論している。

 この研究で特徴的なのは、ナメクジ・二枚貝カタツムリといった無脊椎動物が主に取り上げられていることだ。そして、それには理由がある。

 じつはこの類の研究では、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに取り上げらている脊椎動物にばかり注目が集まる傾向がある。データに偏りがあるのだ。

[もっと知りたい!→]次は83年後。6度目の大量絶滅が2100年までに発生する恐れ(米研究)

 「IUCNが公表している鳥類や哺乳類の絶滅に関する情報は、おそらくかなり正確でしょう」と、コーウィ氏はVice誌で語っている。

 「ですが、それは動物の95%を占める昆虫・ナメクジ・クモ・甲殻類といった無脊椎動物については、ごくごく一部しか評価していません。」

6度目の大量絶滅を無脊椎動物で調査

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陸地と淡水で顕著な生物多様性の喪失

 6度目の大量絶滅に懐疑的な意見は、しばしばIUCNのデータに基づいている。

 しかし、そこに含まれない陸上のカタツムリやナメクジのデータもあわせて考えると、1500年以降、7.5~13%の種がすでに絶滅した可能性がある。

 この数字は、破滅的な生物多様性の喪失が起きていることを示唆するほかの推定値と一致するという。

[もっと知りたい!→]6度目の大量絶滅はいつ起こるのか?地球は今、大量絶滅に向かっているのか?科学者が試算(英研究)

 「要するに、こうしたこれまでの推定は、過去よりも今の方がずっと絶滅率が高いということを示しているわけです。」

 こうした絶滅は、海よりも陸で顕著であるという(もちろん海でも絶滅は進んでいる)。また大陸よりも、ハワイのような島の生態系の方が絶滅スピードが速い。

島で進む生態系の損失

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博物館に絶滅前の標本を集めるしかないのか??

 種の絶滅がこれまで過小評価されてきたと主張する研究は、ほかにもある。たとえば2020年の研究は、自然に起きる絶滅速度の「100倍の速さで種が姿を消している」と、現状に警鐘を鳴らしている。

 コーウィ氏は、地球上の生物の行く末についてかなり悲観的であるようだ。

 同氏は、現在行われている保全の取り組みが、あまりにも大きな問題の前では無駄に感じられるだろうことを認めつつも、まだ生き残っている生物の標本収集に力を割くよう提案している。

ハッピーエンドが待っているとは思えません。これは一種の災害です。未来へ向けてできる一番重要なことは、博物館にできるだけたくさんの標本を集めることです。今から200年後か、500年後か、昔の地球はこんな感じだったんだよとみんなが言えるようにね

References:The Sixth Mass Extinction: fact, fiction or speculation? - Cowie - - Biological Reviews - Wiley Online Library / Scientists Warn that Sixth Mass Extinction Has ‘Probably Started’ / written by hiroching / edited by parumo

 
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やはり6度目の大量絶滅は始まっているようだ。特に島と淡水で進行している