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フィラルフィア小児病院によると結合双生児は5万の出生に1組の割合で発生し、その多くは死産、または短命という。このほど生後11か月で分離された結合双生児の両親が『TODAY』などのインタビューに応じ、誕生前から1歳2か月になった現在までの道のり、医師らへの感謝、双子への愛などについて語った。

米イリノイ州シカゴに住むマギーアルトベッリさん(Maggie Altobelli、33)は、妊娠20週の時の超音波検査で結合双生児を妊娠していることを知った。双子であることさえも知らなかったマギーさんは「双子の胸が結合している。これから長い道のりになりますよ」と医師に忠告されたが、その深刻さを全く理解していなかった。

その後の検査の結果、双子はそれぞれが健康な心臓を持ち、横隔膜、胸壁、腹壁、そして2つに分けるに十分な大きさの肝臓をシェアした胸腹結合体であることが判明した。マギーさんと夫ドムさん(Dom、34)はリサーチを重ね、1957年以来28組以上の結合双生児の分離手術を手掛けているペンシルベニア州フィラルフィアの「フィラルフィア小児病院(Children’s Hospital of Philadelphia、以下CHOP)」で手術を行うことを決意した。

そして夫妻はマギーさんが妊娠31週の時にシカゴからフィラルフィアに移り住み、3週間後の2020年11月18日リリーちゃん(Lily)とアディちゃん(Addy)がそれぞれ体重1905グラム(4.2ポンド)で誕生した。分娩は帝王切開で慎重に行われ、双子は約11か月を新生児集中治療室と小児集中治療室で過ごし、手術に備えて力を蓄えた。一方で医師は、皮膚を伸展させたり、肝臓の3Dモデルを作るなど分離手術の準備を着々と進めていった。

ドムさんは「マギーも僕も先が見えずに本当に怖かったのです。私たちにとって全てが初めてのことで、とにかく一歩一歩進んでいくしかありませんでした」と不安でたまらなかったことを明かし、マギーさんは分離手術の数か月前に起きたこんなエピソードを披露した。

「横隔膜をシェアしていた2人は、気管切開をしていても呼吸に問題が起きることが度々ありました。リリーはアディよりも大きかったため、リリーが泣くとアディは呼吸をすることが難しくなるのです。実は一度、リリーが大泣きしてアディが心停止を起こしました。医師はアディがリリーの大きさまで成長するよう、多くの栄養を与えていました。」

こうして2021年10月13日、約10時間をかけて分離手術が行われた。その日の一家は朝5時に起床、絵本を読んだりおもちゃで遊ぶなどして4人の時間を過ごし、リリーちゃんとアディちゃんは笑顔で手術室に向かった。

マギーさんは手術の日のことを「午後2時38分に分離が終わると、私たちに連絡が入りました。現実ではなく夢でも見ているようで、感情が揺さぶられた一日でした」と明かしており、夫妻は手術を終え、病室に1人ずつ戻ってきた我が子を見ると思わず涙した。

そして約1か月半後の12月1日、一家はシカゴに飛び、約2週間を地元の病院で過ごすとクリスマス前には帰宅を果たした。マギーさんは「クリスマスを自宅で普通に過ごせたこと、そして医師たちが懸命に働き、娘たち2人のことを我が子のように思ってケアしてくれたことに心から感謝しています」と述べており、ドムさんもCHOPの医師らを次のように絶賛した。

「娘たちは素晴らしい医師、看護師、病院のスタッフに恵まれました。病室にやって来る誰もがエネルギーや喜びに満ち溢れ、娘たちはたくさんの人と出会い、幸せをもらったのです。病室ではいつも笑顔が絶えませんでした。」

退院して1か月以上が経ち1歳2か月になった2人は、まだ呼吸の補助が必要でチューブで栄養を摂っているものの食べる練習を始め、理学療法、作業療法、言語療法を受けている。

アディちゃんは社交的で物おじせずにおしゃべりで、リリーちゃんは人を良く観察しちょっぴり気難しいところがあるそうで、ドムさんは「同じように育てているのに、性格が全く違うんですよ」と笑い、このように続けた。

「2人はお互いを見つめ合い、笑い、よく遊びます。それに2人が近くにいる時は必ずと言っていいほどお互いの手を取ったり、顔や気管チューブなどに触っているんです。」

「私たち夫婦は2人にたくさんの愛をもらっています。私たちが望むのは、あの子たちが愛と幸せに満ちた人生を送り、将来何をするにしても情熱をもって欲しいということです。そして世界中に愛を広めて欲しいですね。」

一方で「娘たちと過ごしてきた時間は特別」と語るマギーさんは、「大手術を乗り越え、たくましく生きている娘たちは私たちをインスパイアする存在です。あの子たちは長生きし、健康な人生を送るでしょう。私は『娘たちと一緒に今、この人生を生きている』ということ自体が、奇跡的で信じ難いことだと思っています」と述べている。

なお分離手術チームを率いたホリー・ヘドリック医師(Dr. Holly Hedrick)は、アディちゃんとリリーちゃんの手術を終えてこう語った。

「分離手術はケース毎に状況が全く違います。そして何百人という人が関わる大仕事です。入念に計画を立てても何が起こるか分からず、一つ一つが“奇跡”なのです。」

「小児外科医の仕事の醍醐味は、問題があったらそれを治してあげることが可能だということ。そしてたくさんの人がチームになって目的を達成し、人の人生の一部に関わることができるということですね。」

画像は『TODAY 2022年1月21日付「These conjoined twins were separated in a 10-hour surgery – and they’re thriving」(Courtesy Altobelli Family)』のスクリーンショット、『The Children’s Hospital of Philadelphia 2022年1月21日公開 YouTube「The Separation of Conjoined Twins Lily and Addy Altobelli」』のサムネイル
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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