1月29日、映画「前科者」の公開記念舞台あいさつが東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、主演の有村架純が共演者の森田剛、磯村勇斗、若葉竜也、監督を務める岸善幸と共に登壇した。

【写真】「緊張しやすい者」と書かれたフリップを出す有村架純

映画の公開を迎えた気持ちを聞かれると、有村は「撮影自体はちょうど1年ぐらい前に映画とドラマを撮影していて、忘れられな2カ月間でした。そんなギュッと凝縮した濃厚な時間が、試写をスクリーンで観た時にもブワッと感じるものがあったので、私的にはいろんな日々が走馬灯のように思い出しながら観させていただきました」と笑顔で答えた。

演じた“保護司”という仕事については、「保護司はそれぞれの保護観察対象者との距離感があって、あまり介入せずに見守ると言うのが正当なルールではありますが、やはり人と人なので、寄り添い方はいろいろあると思います。“佳代が思う保護司はどういうやり方だろう?”と考えて挑戦させていただきました」と役づくりも含めて、自身の考えを伝えた。

そして、「佳代は、突き動かされる衝動的なものがあって、人のために笑ったり、泣いたり、叫んだり、怒ったりできます。それは素晴らしいなと思いましたので、見返りを求めることなく、人に手を差し伸べることや寄り添うことを積極的にできたら」と言うことを、演じた“佳代”から学んだという。

■森田剛、有村架純からのビンタシーンを回顧

撮影において、ラーメンや牛丼などを食べるシーンもあって、森田が「監督が食べろと言えば、『いい』って言うまで食べる感じでした」と答えると、有村も「物理的に何テイクか撮りますから、その分、食べないといけないですよね」と撮影時を振り返った。

それを聞いた岸監督が「皆さんにたっぷりと食べていただいたんですが、有村さんは最後ムッとしてた気がします」と申し訳なさそうに話すと、有村は「いやいやいや、とんでもないです(笑)」と笑顔で答え、「ウワサによると、森田さんはラーメンをたんまり食べたあと、牛丼も食べなきゃいけない日があったみたいですね」と森田に話を振ると、「あったと思いますね。自分の中ではなかったことに」と大変だったシーンは記憶から消したと話し、場を和ませた。

劇中、有村が森田をビンタするシーンがあるが、それについて有村は「ビンタをした時の感情はあまり覚えてないんですけど、“森田さんにビンタをする”という任務のことしか考えてませんでした。とにかく気持ちを込めてやらないと、ただ痛いだけになってしまいますから、『本気でやるぞ!』って誓って、その日を迎えました」とそのシーンに臨んだ時の気持ちを話すと、森田は「すごくいいものを持ってましたね。重いやつでした(笑)」と、かなり効いたと明かした。

有村架純「常にドキドキしっぱなしです」

タイトルにちなんで、自分自身を「〇〇者」と発表するコーナーでは、有村は「緊張しやすい者」と回答。「小心者ですね。割と堂々としているように見られがちなんですけど、すごく手汗をかきますし、撮影は眠れないですし、常にドキドキしっぱなしです」とその理由を説明。

最後は、「この作品が多くの方に届いて欲しいとは思わないんですけど、観ていただいた方の心に残る作品になってほしいなと思います」と有村。

そのうえで、「緊張感のある状況の中、わざわざ映画館に足を運んでくださる方がいると言うことだけでも嬉しいですし、この作品を観て、人を救う、人に寄り添う、人をゆるすということを改めて向き合って考えてくださる方が増えたら幸せだなと思います」とし、「伝えたいことはたくさんありますが、あとは観ていただく皆さんに委ねたいと思います」とメッセージを送り、舞台あいさつを締めくくった。

本作は、原作・香川まさひと、作画・月島冬二による同名漫画を実写化したもの。昨年11月に連続ドラマとして放送・配信され、1月28日(金)に映画版が公開され、全国公開中。有村は、不器用なほど真っ直ぐで、お茶目なユーモアもあるが、実は過去に秘密を抱えている保護司・阿川佳代を演じている。

取材・文=田中隆信

有村架純/ ※ザテレビジョン撮影