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’21年度から0.4%減額される’22年度の年金受給額。今後も減っていく未来しか見えないがどうすればいい? 節約の専門家がアドバイスーー!

1月21日、’22年度の年金受給額が’21年度比0.4%引き下げとなることを厚生労働省が発表しました。4月分から、国民年金(満額)は月額6万5,075円から259円減額、夫婦2人の厚生年金国民年金を含む)は、モデル世帯(平均的な給与で40年間働いた会社員夫と専業主婦という世帯)で22万496円から903円減額されます。厚生年金の場合、年間1万836円も減ってしまうのです」(生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん)

年金は、今後もマクロ経済スライドなどにより徐々に減っていく見通しだ。年金をまだ受け取っていない世代ならば、年金の繰下げ受給によって受給額を増やすなどの対応策がある。では、すでに受給している世代ではどのような対策がとれるのだろうか?

そこで今回、節約や制度に詳しい柏木さんに加え、節約アドバイザーの丸山晴美さん、同じく節約アドバイザーの和田由貴さんに、年金受給世代に向けた“年金大減額時代”への備えを教わった。

まずは、国が運用する制度を活用することから始めよう。制度の中には、“申請する”だけで、お金がもらえたり、払いすぎた税金などが返ってくるものがあるのだ。

■65歳以上の多くが当てはまる「10万円給付」

「年金生活に入っている人が必ず確認したほうがいいのが、コロナ禍の経済対策として行われている『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金』です。住民税は前年の収入によって決まります。’21年度の住民税が非課税だった世帯と、コロナの影響で’21年の収入が住民税非課税水準だった世帯を対象に、1月から3月を目安に現金10万円が支給されるのです」(柏木さん)

対象となる住民税非課税世帯は、世帯主が65歳以上の世帯で35%、75歳以上で43%もいるのだ。

都市圏の場合だと、妻を扶養している夫の年金額が約211万円以下の世帯などが該当する(この場合妻の年金額は155万円以下の必要がある)。

’21年度の住民税が非課税だった世帯には自治体から通知が来ますが、必要書類を定められた期限内に提出しなければ支給されません。すでに申請を開始している自治体もありますので、見落とさないようにしましょう」(柏木さん)

マイナンバーカードを使って受け取れる“マイナポイント”も、馬鹿にならない金額だ。

「現在、マイナンバーカードをキャッシュレス決済にひも付けると、その決済サービスで使える5,000円相当のマイナポイントが付与されます。同様のキャンペーンは以前にも行われましたが、その際にポイントを受け取っていない人や、新たにカードを作った人が対象。

さらに6月ごろからは保険証および銀行口座にカードをひも付けると、それぞれ7,500円相当のマイナポイントが付与されます。総じて一人2万円が受け取れるんです」(丸山さん)

年金生活では、サラリーマン時代にあった年末調整がないため、社会保険や地震保険、生命保険の費用の所得控除も自分で行わなければならない。10万円を超えた医療費なども含め、確定申告することで所得税や住民税が安くなったり、戻ってくることがある。

「市販薬やのどあめなども、セルフメディケーション税制によって、年間1万2,000円を超えた購入費用が控除対象となります」(柏木さん)

このほかにも、年金額が少ない世帯を対象とした「老齢年金生活者支援給付金」や、夫の年金受給時に妻が年下の場合にもらえる「加給年金」などの制度が用意されている。

■申請すればもらえる&還付される公的制度

※柏木さん、丸山さん、和田さんへの取材をもとに本誌作成

【住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金】対象世帯に10万円

’21年度の住民税が非課税であった世帯、またコロナの影響で’21年1月以降の収入が住民税非課税水準となった世帯に10万円が支給される。前者には自治体から確認書が送付されるが、期限内に返送しなければ支給されない。後者の場合は、自身で申請書や必要書類を市区町村に提出する必要がある。

【老齢年金生活者支援給付金】月5,030円程度

65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、同一世帯の全員が市町村民税非課税かつ前年の公的年金等の収入金額と、そのほかの所得の合計額が88万1,200円以下である場合が対象。申請すれば、月額5,030円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出された金額を年金に加算して受け取ることができる。

【高額療養費制度】月1万8,000円を超えた医療費 ※70歳以上

1カ月の医療費の一定額を超えた分が返金される。一定額の目安は、一般的な現役世代なら月約9万円、70歳以上のシニア世帯の場合、外来なら個人で月1万8,000円、入院なら世帯で5万7,600円を超えた分。

確定申告】支払い金額に応じ税金が還付

年間で10万円を超えた医療費、地震保険や生命保険の一部費用は税金の控除対象となり、確定申告することで所得税や住民税が安くなる場合がある。市販薬や、介護用オムツ、のどあめなどに対しても、セルフメディケーション税制によって、年間1万2,000円を超えた購入費用が控除対象となる。

【マイナポイント】最大2万円分のポイント

マイナンバーカードを発行して、キャッシュレス決済にひも付けるとその決済サービスで使える5,000円相当のマイナポイントが付与される。さらに今後、6月をめどに健康保険証および銀行口座へのひも付けを行うとそれぞれ7,500円相当のマイナポイントをもらうことができる。

【高年齢求職者給付金】過去の賃金の50~80%(最大50日分)

退職前に6カ月以上の雇用保険に加入していることなどを条件に、ハローワークで申請できる。定年退職などをして、その後も求職している人には、過去の賃金の50%から80%ほどの基本手当が、最大で50日分支給される。

【加給年金】年間約39万円

厚生年金に20年以上加入している夫が年金を受給開始した時点で65歳未満の妻がいる場合に、諸条件を満たしていれば支給される。年間約39万円が年金にプラスされて支払われるが、申請せずにもらい損ねている人も多いので、妻が年下の場合は申請できるかかならず確認を。

これを参考に、自分が受給対象になるかどうかチェックしてみよう。