「横浜環状鉄道」全通までは壮大な計画です。

「平成28年答申」に基づいて検討進める

横浜市は2022年1月28日に、2022年度の予算案を発表。その中で都市整備局は、「交通政策審議会答申をふまえた事業化検討」を行うとしています。具体的には、横浜市営地下鉄グリーンラインの延伸構想を指しています。

これは2016(平成28)年に国の諮問機関である交通政策審議会が答申した「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」において、位置付けられた構想です。

グリーンラインの延伸は、「横浜環状鉄道」として、日吉~鶴見、中山~二俣川~東戸塚~上大岡~根岸~元町・中華街というルートで、放射状に広がる鉄道各線をネットワーク化するものです。

ただし、実現には高い壁があります。答申では「事業性に課題があるため、横浜市等において事業性の確保に向けた取組等を進めた上で、事業計画について十分な検討が行われることを期待」としています。答申策定時に試算された事業費は7700億円。得られるであろう便益との比率である「費用便益比」は1以上であることが必須ですが、厳しい状況です。

この「事業性の確保に向けた取組」が今回の横浜市の検討となります。まちづくりや交通計画によって利用客を増加させ、この費用便益比を1より高くできるのか、区間ごとにより詳細な試算を行い、その可能性を調査するといいます。

2022年度の予算は300万円。都市整備局は「まずは隣接区間である中山~二俣川、あるいは日吉~鶴見に対し、検討業務の発注を行っていきたい」としています。

グリーンラインの延伸の事業化は実現するのか(恵 知仁撮影)。