ライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」で行われた「あなたの音楽を発信しよう♪RealSound Techインタビュー出演権!」で、「Lino」が見事インタビュー権を獲得した。音楽ライバーとして活動する「Lino」は、難病をきっかけに歌手活動を開始。彼女が「Pococha」から得られたものや、音楽活動にかける熱い想いを聞いた。

――「Pococha」を始める以前の音楽活動について教えてください。

Lino:実は、若いころから歌手になるための活動をしてきたわけではないんです。36歳の時、頭を怪我したことがきっかけで脳の難病が見つかりました。その時に「自分は命を落とすのかな」と思って。人っていつ何があるか分からないんだと実感した時に、やりたいことをやって生きていきたいと思いました。いつ死ぬか分からないと実感した時、小さい頃から持っていたけど大人になるにつれて諦めていた「歌手になる」という夢を、また追いかけようと思ったんです。何かを習ってきたわけじゃないので、音楽の基礎もなく楽譜も読めないし、事務所にも所属していませんでしたが、とにかく「歌手になります」と宣言して、ちょうど2015年頃に音楽活動をはじめました。

――「いつ何が起きるのかわからない」という言葉がとても胸に響きます。それではそこからなぜライブ配信をはじめたのでしょう。

Lino山口県で歌手活動をしていても、なかなか県外の人に知ってもらえないと思っていた時に、たまたま東京の先輩から「こっちではライブ配信が流行っている」と教えていただいて。それがきっかけでやってみようとなりました。県外のファンを増やすことが「Pococha」を始めた最初の目的だったんです。

――今回「あなたの音楽を発信しよう♪RealSound Techインタビュー出演権!」に参加したと思うのですが、プライズを目指したきっかけとは?

Lino:「Pococha」以外でも、たくさんの人に自分のことを知ってもらいたいと思ったからです。そのためには、RealSound Techさんのような媒体で「こんな人もいるんだよ」と知ってもらうことだと思い、挑戦しました。

――さまざまなバックグラウンドがあるLinoさんですが、自身のライブ配信の強みを教えてください。

Lino:ギャップですかね。リスナーさん曰く、ポンコツらしくて……(笑)。天然とかポンコツとか言われています。強みはそんな内面と歌とのギャップですね。あとは、自分に難病が見つかったことで山あり谷ありの人生だったこともあって、悩んでいるリスナーさんたちの話を聞くことも多いんです。「菩薩」と呼ばれたりも(笑)。「私だったらこう考える」とアドバイスすることで、「元気が出たから頑張れる」と言ってくださったり、なかには私の一言を聞いてお仕事を独立された方もいて。誰かの人生の背中を押せているのかな。「何歳になっても諦めなければできるんだよ」ということを、自分の活動を通じてそう思ってもらえたら嬉しいです。

――音楽も聴かせてもらえて、背中も押してもらえたら、ダブルで元気をもらえますね。

Lino:自分が作る曲も、応援歌のように人に対する歌が多いです。過去には東京ヤクルトスワローズの30番、キャッチャー西田明央選手の登場曲を作って歌わせていただいたりもしました。

――ライブ配信をやっていて一番嬉しかったことは何でしょうか?

Lino:リスナーさんが「ありがとう」と言ってくれることです。応援してくださっているのはみなさんなのに、「ありがとう」と言ってもらえるのは嬉しいです。また、私が3時間配信をしたら丸々ずっといてくれる方もいて、人間は24時間しか与えられていないのに、そのなかの本当に貴重な時間を自分のために使ってくれているということが何よりありがたいです。家族よりも友達よりも一番私のことを知っていてくれているのが今のリスナーさんなんです。

――今までの音楽活動の中で壁にぶつかった経験はありますか?

Lino:いままで6年間歌手活動をしてきて、山あり谷ありでした。やめようと思うこともたくさんあったのですが、その度に「キーパーソン」が現れて辞めずにここまでこれています。

ーー「キーパーソン」とは?

Lino:ちょうど西日本豪雨災害があった年に、広島の庄原市夏祭りに呼ばれていたんです。一部災害にあわれた地域だったので、時期的にもやめようかとなったのですが、実行委員会の方から「こんなときだからこそ元気づけるために来てください」と声をかけていただき歌わせてもらいました。ステージが終わったら小学校5年生の女の子が3人来てくれて「Linoちゃんの歌、すごい良かった!またきてね」と言ってくれたんです。そして「またLinoちゃんに来てもらうにはどうしたらいいの?」と聞いてくれたので「もしお祭り担当の人がいたらこれを渡してみてよ」と冗談半分で自分のプロフィールを渡したんですよ。そしたら、何ヶ月もたたずにその子たちの親御さんからメッセージが来たんです。子どもたちが市役所のようなところに掛け合ってくれたみたいで、再度別のお祭りの出演の依頼をいただけました。

 その、お祭りで歌い終わった時に、お花と子どもたちのノートのコピーをいただいたのですが、それが「行動ノート」というものでして。「目標:Linoを呼ぶ、行動:校長先生に聞きに行く……」と全部やるべきことが書いてあったんですよ!実はちょうどそのとき、私自身もくじけそうな時期だったのですが、自分たちの目標を実現させた子どもたちのためにも、諦めきれないなと感じました。そんなことがあったので、みんなのためにも、もっと大きなステージに立たなければと思いますね。

――これまでもいろんな経験をされていると思いますが、「Pococha」で人生が変わったなと思った瞬間はありますか?

Lino:正直、歌手のお仕事が毎月コンスタントに入っていたわけではないんです。おまけにコロナ禍で仕事が全部なくなってしまった経験もしました。どうやって生きていこうか、という時に「Pococha」でコンスタントな収入が見込めるようになったことは大きかったですね。だからこそ、プラスアルファで挑戦したいこともやれるようになりました。いままでライブをしようと思っても、会場費やサポートアーティストのことを考えると赤字ですし、躊躇してしまう部分もありました。ですが、収入面での基盤があるからこそ、安心してライブをできるようになりましたね。ほかにも自費出版で本を出すことに挑戦して、前に進むきっかけを与えてもらいました。

――負担なく活動できるようになるのは、大切なことですよね。では、今後の音楽活動における目標はありますか?

Lino紅白歌合戦に出場したいです! 常に自分の中で柱として持っている想いは、歌をツールとして「生きていることは当たり前じゃない」、「夢は実現するんだよ」ということを多くの人に知ってもらうことなんです。それには、私という人間を知ってもらい、歌を聴いてもらうことで、より一層理解してもらえるのではないかと思っています。だから講演活動などを通して発信力をつけたいとも思っていました。紅白は影響力の強い場所だと思うので、歌手として紅白に出てみたいです。

――最後に、Linoさんにとっての「Pococha」とは?

Lino:家族というか、仲間というか、そんな大切な人たちと一緒にいられる場所であり、夢を実現できる場所でもあります。いろいろな地域にいる人たちと出会ったことで全国ツアーをしたいという気持ちも出てきて、更に夢が広がった場所かもしれません。リスナーさんを含め、みんなが自分のことを応援してくださっているので、ありがたい環境だと感じています。

(文=Nana Numoto)

Lino(写真=はぎひさこ)