自称「日本一大きな教習車」による教習所をバス会社が開設しました。その車両は高速バスなどに用いられる大型観光バスですが、“ありそうでなかった”着眼点かもしれません。

路線バス車両じゃなくて大型観光バスで教習

「日本一大きな教習車で教習できます」

高速バスVIPライナー」などを運行する平成エンタープライズ埼玉県志木市)が2022年2月から、バスドライバー向けの教習所「VIP DRIVING SCHOOL Pro」を開設しました。ここで教習車としているのが、冒頭の「日本一大きな教習車」です。

その車両は、高速バスなどで用いられる「フルサイズの大型観光バス」日野セレガとのこと。長さは約12mです。

教官を担当する平成エンタープライズ運行統括課の上田さんによると、「一般的に大型二種免許の教習車として用いられる車両は、全長約11mの路線バス車両です。大型観光バスで教習できるところは、まずないでしょう」といいます。

なお、「日本一大きい教習車」というのは“平成エンタープライズ調べ”だといいます。一般的な教習所で大型車教習に用いられる大型トラックも「約12m」というものが多いですが、具体的には最も大きいもので11.970m、対して大型観光バスは11.990mでした。なお、牽引免許の教習車であるトレーラーは、これより短いケースが多いようです。

教習所はどこ? なぜ開始?

VIP DRIVING SCHOOL Pro」は、埼玉県加須市にある平成エンタープライズの加須営業所に開設されました。同社は「弱点を克服したいバスドライバー」「勘を取り戻したいペーパーバスドライバー」「免許取り立てバスドライバー」向けの教習所としています。

教習コースは、教習所内での「車庫入れコース」2万円から、通行量も多いルートを通る「3時間国道コース」6万円まで5種類。教官とともに、運行前の車両点検や、アルコールチェックなど、実際のバス会社さながらのオペレーションで行います。

これら5コースは基礎コースで、全て修了した人は、好きなコースで教習できる「お出かけコース」が待っているそうです。

「バスドライバーが夢で、バス会社に入社したあとの実地試験に向けてスキルアップしたい方などのサポートができれば」と平成エンタープライズの上田さんは話しますが、もう一つのターゲットとして「バスマニアの方」も挙げました。

「バスを自家用でお持ちの方などもいますが、大型観光バスとなると、レンタカーにも絶対ありません。これを長距離運転できる機会は少ないはずです」(上田さん)

自称「日本一大きな教習車」(画像:平成エンタープライズ)。