今回のテーマは「Exchanging Ideas & Sharing Views」。
初日に、がんにまつわる18項目の具体的な課題「Cancer Agenda」を発表、がんに関する多様な課題を可視化し、その課題を解決するための議論を加速させました。問題提起のみで終えるのでなく、さまざまなアイデアを掛け合わせて、ひとりでは辿り着けない答えを見つけていくことを目指します。
それらのアジェンダを解決するために、各界の著名人や当事者とともにセッションや交流会などを行いました。約30のセッションが行われ、総勢102名の方にご登壇いただきました。
同時に、「がんに対する社会の意識」を可視化するために実施した「CancerX社会意識調査 2022(第2回)」の結果を発表しました。
1.セッション内容
セッションの内容は、今後、グラフィックレコーディングの手法を用いて発表しますが、一部をご紹介します。

1)オープニングでは、がんにまつわる18項目の具体的な課題「Cancer Agenda」と、「CancerX社会意識調査 2022(第2回)」の結果を発表しました。課題解決方法の一例として、天野 慎介(一般社団法人グループ・ネクサスジャパン 理事長)さんはアジェンダ番号13番の「最適な医療を選択できるようにする」に関し、今選べる選択肢(手持ちのカード)を理解することの重要性を、11番「誰もが必要な時に適切ながん情報を得られるようにする」に関しては課題の可視化と情報を届けることの重要性を、1番「がんのイメージをアップデートする」では情報が適切に「自分ごと」として届いていないケースが多いことの課題感について述べました。

中村 清吾(昭和大学医学部外科学講座乳腺外科部門 教授 / 日本乳癌学会 前理事長)さんは、リトアニアにおける国民医療情報の一括管理について紹介し、9番の「持続可能な医療のしくみを構築する」に関連して、電子カルテの統一化に力を入れるべきだと述べました。自身もがんサバイバーでもある三原 じゅん子(内閣府大臣補佐官 参議院議員)さんは、7番の「最期の話を話したい時にできる空気をつくる」を重要視しており、がん対策政策を推進する、がん教育実施に向けて力を尽くすと決意を示しました。

2)【CancerX 社会】 ~がんの社会課題にみえるギャップ。そして、エクイティの実現に向けて~では、がんの社会課題に潜む格差(ギャップ)について、秋山 正子(認定NPO法人マギーズ東京 センター長 / 看護師)さんは、コロナでオンラインが増えリテラシーの差が出ていると述べました。及川 美紀(株式会社ポーラ 代表取締役社長)さんはがん罹患者は全社員の2%とマイノリティであるため肩身の狭い思いをしていると課題を示し、安心してがんに向き合う環境を作る、経験を大切に学ぶなど、がん共生プログラムを用いることで、社会に還元したフレンドリーアクションに繋げる自社の取組を紹介しました。上野 直人(CancerX 共同代表理事 / テキサス大学MDアンダーソンがんセンター腫瘍内科教授)は、医療従事者の罹患者でがん経験を開示している人は少なく、また、自身の経験から「気を遣われる」ことと「自分らしく生きる」ことは違うと感じたことを示し、カミングアウトが受け入れられやすいカルチャーと、周囲が受け入れる必要性を述べました。
前村 聡(日本経済新聞 社会保障エディター)さんは、データ分析から地域における格差があること、公平ではないことがあぶりだされていることを提示しました。また、データ分析を行う際には、何をしたいのかを明確にした上で行うことが重要であり、その分析から現状と課題をあぶりだせると述べました。モデレーターの半澤 絵里奈(CancerX 共同代表理事 / (株)電通 プロデューサー / cococolor編集長)は、がんに関するアンメットニーズ(世の中に認知されていない潜在的なニーズ(欲求・要求・需要)のこと。それを求める人数が少ない)を可視化し、少しずつでも着手し、その過程も示していくことで社会全体に広げていくことが重要だとまとめました。
3)「【CancerX いのち】 ~コロナ禍の今、医療者はなにを感じているのか~」では、横山 太郎 (CancerX社員、医療法人社団晃徳会 横山医院在宅・緩和クリニック 院長)がモデレーターを務め、新城 拓也(しんじょう医院 院長)さんが登壇。総合病院でも働きながら、自身のクリニックで在宅医療を提供している二人の医師が、コロナ禍での課題について語り合いました。新城さんは、「面会制限がある中での入院は、家族に、終末期に離別と死別の両方を体験させてしまう。面会制限は、人権制限であるが、その意識がないことが問題である。コロナだから仕方がないと感じている一方で、この医療体制に心を引き裂かれる思いを持っている医療従事者も多いと感じている。」と述べました。
緩和ケアと医療の違いについては、医療は画一的なものであり誰がやってもムラがないもの、ケアは配慮でありその裏には愛があり、相手は配慮を求めており配慮をもって対応すること、を前提とし、ケアは相手の人間の深い理解をもって対応していく必要があることを述べました。
新城さんは
「ひとの闇 本気でその手で 掬うなら 自分の両手が 焼け焦げるまで」
と自身の気持ちを表現した短歌を紹介しました。
2.グローバルセッションも開催
2020年からUICCに加入したCancerXは昨年のイベントからグローバルセッションを行なっています。UICCの新たなスローガンである「Close the care gap」に合わせ、日本とアメリカをオンラインで結び、先進国での治療のギャップを解消する方法について議論されました。Julie Gralow(米国臨床腫瘍学会(ASCO)上級副会長兼最高医学責任者, ワシントン大学医学部 腫瘍内科名誉教授)さんや Jean-Christophe Barland(ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 代表取締役社長)さんが登壇し、収入や地域や情報による医療格差が生存率にも影響する問題や、いかにそのギャップ(格差)を解消するのかについて話し合いました。

3.がんにまつわる社会意識調査を発表

2022年1月時点での「がんに対する社会の意識」を可視化。本調査によって明らかになった課題を共有し「がんと言われても動揺しない社会」を目指し、様々な立場の方が課題の解決に向けて利用できるようデータを収集・分析しました。
1)がんについて相談できるコミュニティがないと感じている人が9割
★この結果を受けて、告知された後に迷子のようにならないように、防がんMAPを作成。QRコードで然るべき場所を紹介し、相談できる場所や診断をされてからどういう道筋を辿れば良いのか詳しい情報についてはQRコードを示し、地図化しました。

詳しい調査結果はこちら→https://link.cancerx.jp/wcw2022-research-2nd

2)国民の2人に1人ががんになり、3人に1人の死亡率であるという認知は全体の6%にとどまった。2年前の同じ調査では8%が解答できているため、認知率は低下傾向にあることがわかりました。
CancerXでは、今後も継続的に調査を行い、異なる環境に生きる人々のがんに対する意識を高め、最終的にがんのイメージをかえていくためにも多様な立場の方々と議論を通じてアクションを促進していきます。

4.18項目のCancer Agendaを発表
がんにまつわる社会課題を具体的に18項目にまとめました。
詳細はこちら→https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000052557.html
5.無料アーカイブを配信。
チケットを購入済みの方は全セッションを視聴可能。
期間中無料で公開した4セッションはどなたでもご視聴頂けます。
※公開は2月28日まで
(チケット販売は終了しています)

6.お問い合わせ先
CancerX official website:https://cancerx.jp/
サミット関連 :event@cancerx.jp
広報関連   :press@cancerx.jp
協賛関連   :info@cancerx.jp

【一般社団法人CancerXとは】
CancerXは産学官民医といった多様な立場の人が力をかけ合わせ、がんの社会課題の解決に取り組む組織で、2020年よりUICC(国際対がん連合)に加盟して活動をしています。
【共同代表理事】
上野 直人 (テキサス大学MDアンダーソンがんセンター 乳腺腫瘍内科 教授)
半澤絵里奈(株式会社電通 プロデューサー / cococolor編集長)
【理事】
扇屋 りん(厚生労働省 医系技官)
糟谷 明範(株式会社シンクハピネス代表取締役 理学療法士)
加藤 容崇(慶応義塾大学医学部 腫瘍センター ゲノム医療ユニット 特任助教/北斗病院腫瘍医学研究所 医師)
北原 秀治(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 准教授)
鈴木 美慧(聖路加国際病院 遺伝診療センター 認定遺伝カウンセラー)
三嶋 雄太(筑波大学 医学医療系 助教 / 大学附属病院 再生医療推進室 副室長)
森内 倫子(株式会社電通名鉄コミュニケーションズ)
山上 睦実(東京大学医学部附属病院 看護師
【監事】
広中 秀俊 ( 育Qドットコム株式会社 代表取締役)
※上記を含む社員26名、ボランティア複数名が在籍

一般社団法人 CancerX
問い合わせ先:press@cancerx.jp 担当: 森内・岡崎

配信元企業:一般社団法人 CancerX

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