シンガポール航空ショーで、2機の民間航空機がアクロバティックな展示飛行を実施しています。ボーイングの「777-9」と、エアバス「A350-1000」で、ともに各社の最大機。その内容は圧巻の一言でした。

世界最長記録になるか? 777-9

2022年2月18日(金)まで開催されている「シンガポール航空ショー」、このイベントは2年に一度のペースで実施され、軍民問わず各社の航空機が出揃います。なかでもショーの目玉のひとつが、アクロバティックな展示飛行でしょう。ここでは民間航空機も、普段の旅客便フライトからは想像もつかないようなデモフライトを見せます。

そして2022年のショーでは、2つの民間機による異例の“競演”が見られました。

その2機は、アメリカ・ボーイング社が開発を進めている新型シリーズ「777X」の試験機「777-9」と、欧州・エアバス社の主力大型旅客機シリーズ「A350WXB」の胴体延長タイプ「A350-1000」。それぞれ、自社史上最大の大型双発旅客機といえるものです。

777Xは同社のベストセラー旅客機777」をベースに、新しい炭素繊維複合翼と新エンジンのほか、「787」シリーズの技術などを取り入れており、試験機の「777-9」は、燃費や運用コストを競合機より10%抑制、「世界最大で、最も効率的な双発ジェット旅客機」を称します。777-9の全長は約77m。実用化されれば747-8(76.3m)を超え、世界最長の全長をもつ民間機となります。国内の航空会社では、ANA(全日空)が777-9を発注しています。

エアバスA350-1000、どんな機体?

一方エアバスA350WXBは、炭素繊維複合材を採用した新設計の胴体をもちます。同素材の採用により軽量化が図られているほか、最先端のエンジンを搭載し、競合機と比べ運航コスト25%減、かつ低燃費低騒音をうたいます。A350-1000の全長は73.79m。777-9に及ばないまでも、総2階建ての巨大機A380(72.7m)より長くなっています。国内航空会社では、JAL日本航空)がA350-1000を発注しています。

シンガポール航空ショーでは、これらの超ロングボディをもつ旅客機が、ロケットさながらの急上昇やバンク(左右の傾き)90度近い急旋回、超低空飛行での旋回などを実施しています。そのアクロバティックさは、そのまま背面飛行をしてしまうのでは……と考えてしまうほど。

16日の展示飛行では、777-9が展示飛行したすぐあとにA350-1000がフライトしました。つまり、ライバル関係の2社、そして2機による奇跡的な“異色のリレー”が実現したのです。

なお、シンガポール航空ショーの展示飛行は18日までで、日本時間のお昼12時20分から1時間ほど実施されます。この展示飛行は、特設サイト上からライブ中継で閲覧することが可能です。

ボーイング777-9(画像:ボーイング)。