今年で「757=日本では珍旅客機」の図式が崩れるかも?

767が好まれた日本

1982(昭和57)年2月19日は、米・ボーイング社が開発した単通路旅客機「757」が初飛行した日です。世界的には累計1000機以上と好調な売上を記録したヒット機ですが、日本の航空会社では導入ゼロ。そのため757は、日本の航空ファンにはある意味で”印象深い”モデルとして知られています。

1970年代後半、ボーイング社は2つの新型旅客機の開発を計画していました。のちに767となる複通路機の「7X7」と、757となる単通路機の「7N7」です。この2機種は共通の操縦システムが導入されており、一定の訓練を積めば同じ資格で乗務できる、いわゆる”姉妹機”として開発されました。航空会社での就航は767が1982年、757は翌1983年からで、ともにヒット機となっています。

757シリーズは、全長約47mで200席クラスの標準型「757-200」と、全長約54mで250席クラスの胴体延長タイプ「757-300」の2タイプに大別できます。標準的な座席の配置はともに横3-3列です。そもそもが短距離向けに開発された機体であるため、海外でも国内線での就航が多く、これが日本で見ない一因でもあります。また、姉妹機767のように、航続距離延長タイプの「ER」型も存在しません。

一方で、当時の日本ではJAL日本航空)、ANA(全日空)ともに767を導入。これは発着枠に制限をもつ羽田空港などを抱える日本市場では、757より1便あたりの席数を多くできる767が好まれた――というのが定説です。一方で地方路線では、757よりも小さなボーイング737が好んで使用される傾向にありました。

こういった経緯から、757は日本人にとっては珍しい旅客機になったのです。

2022年は日本で757目撃大幅増の可能性?

ボーイング757は順調に生産機数を伸ばしたものの、2005(平成17)年に生産終了となりました。この理由のひとつは、ボーイング屈指のロングセラー機「737」の大型化です。

当初100席から150席の旅客機として開発された737は、時代が進むにつれキャパシティの大きい胴体延長タイプを世に出すことになります。とくに2022年現在も日本で主力となっている737-800などに代表される「737NG」シリーズでは、200席を超えるようなサブタイプも生み出されるようになりました。このことで競合をさけるべく、757が生産終了となったのです。

日本で757は、かつてデルタ航空による成田~グアム線投入などもあったものの、2022年現在は、新型コロナの影響もあり、海外航空会社の貨物便がときたま見られる程度といった状態です。

ただ一方で、2022年は、日本でも757の遭遇率が大幅に上がる可能性もあります。

2021年に立ち上がったアラスカ・アンカレッジ拠点のLCC格安航空会社)、ノーザンパシフィック航空は、アジアの就航先のひとつとして日本を挙げています。同社は立ち上げにあたり、まずは757-200を主力機に。すでに初号機の納入や塗装は完了しました。

同社の最速の就航は2022年。アンカレッジ経由で、日本と、ロサンゼルスサンフランシスコニューヨーク、ラスベガスなどを結ぶ計画です。なお、日本の就航地は東京、大阪、名古屋が予定されています。

ユナイテッド航空のボーイング757(乗りものニュース編集部撮影)。