幼い頃からの習い事は、園や学校では学べない貴重なことを学べたり、コンクールなどへの参加経験などが得られたりと、重要といわれます。

【子どもの習い事】人気上昇中!剣道、空手、柔道…「武道の習い事」たくさんのメリットをママたちに聞いた

我が子には有意義な習い事をさせたいけれど、どんなものがいいのかわからないと迷っているなら、ぜひ参考にしたいことがあります。

東大卒の人々の幼い頃の習い事についてのアンケート調査結果では、東大卒以外の人と大きく差があったのが「幼児教室」や「歌」でした。それぞれどんなことを学べるのか、また賢い子どもが育つ理由を、幼児教室と、歌も行うリトミックの教室に聞いてみました。

東大卒の習い事上位は「楽器演奏」「英語・英会話」「幼児教室」

株式会社コペルが2020年12月に、20代~60代の東大卒の男女と東大以外卒の男女を対象に、「幼少期の教育環境」に関する調査を実施しました。

幼少期にしていた習い事について、東大卒と東大以外卒それぞれに尋ねたところ、東大卒は、「楽器演奏」「英語・英会話」「幼児教室」がトップ3となり、東大卒以外では「楽器演奏」「英語・英会話」「通信教育」がトップ3でした。

概ね、上位の傾向は似ていますが、東大卒と東大卒以外とで大きく差があったのが「幼児教室」と「歌」でした。

この結果を踏まえると、東大卒のような賢い子に育てたい場合、幼児教室や歌の習い事を率先して行わせたくなってきますよね。

幼児教室や歌では、子どもにどんな学びをもたらすのでしょうか?

「幼児教室」で賢い子が育つワケ

「幼児教室」では何を学べる?賢い子が育つ理由

数ある幼児教室のうち、小学校受験に特化した幼児教室「どんちゃか幼児教室」を展開する理英会にインタビューを行いました。

幼児教室は学びの入口

理英会のチーフアドバイザー 原恵美さんは、幼児教室で学べることについて、次のように話します。

原恵美さん(以下、原)「体験にいらっしゃった方から、『もっとプリントをするところかと思っていました』という言葉がよく聞かれます。お勉強をするところ=幼児教室というイメージを持たれている方が多いようですが、幼児教室での学びはいわゆるお勉強とは違います。

お子様にはその年齢に合った必要な刺激をあたえ、お父様お母様には家庭での取り組みの指針をあたえるものが幼児教室です。

子どもにとって幼児教室はその子にとって長い学びの入り口です。学びの入り口が“やらされ感”満載の詰め込み、小手先のテクニック的な学びであっては、スタートに立った途端に『勉強は嫌!』となってしまうこともあります。

そこから大学を出るまで20年近く学びの時間は続きます。『楽しい!』『わかった!』『もっと知りたい!』そんな学びの入り口をつくることが理英会の役割だと思っています」

「?」をたくさん持つ子どもになってほしい

原「『なぜかな?』と思う経験をたくさんしてきた子は知りたいという心をいっぱい持つことができます。そして『わかった!』の喜びや楽しさは次の学びに繋がります。幼児教室ではそういった学びの時間を提供しています。

『これはこうだからだよ』と答えを明確に与えないこともあります。わけがわからないのに答えだけが与えられてしまってはその間の本当の『なぜ?』を考えることができない、答えだけを求める子になってしまうからです。

自ら知りたいという気持ちをたくさん持って、『どうしてかな?』の『?』をたくさん持って大きくなってほしいという思いを持っています。

『来週の授業はなにかな?』と子どもたちは楽しみに通ってきます。学ぶことが楽しいという気持ちを小さいころに持った子どもたちは学ぶことに貪欲になります」

考える力を養う

原「答えをあたえるのではなく、答えに達するためにどういう風にしようかと考えることができる子にしていくための授業方法を取っています。

出来上がった作品を見せ、材料と道具を自分で考え、作る工程を考え、試行錯誤して完成まで持って行く。そういった自分の頭の中でゴールを見据えて道筋を作っていくという制作の時間などがあります。

言われたとおりに何かをするのではない、こういった経験の積み重ねがいわゆる勉強といわれるものを解く場面でも役立っていきます」

言葉の引き出しの中にたくさんの言葉を増やす

原「日本語で生活し、学ぶ私たちは、物事を考えるのも、想像するのも、人に対しての気持ちもすべて日本語で行っています。

ゆえに、多くの言葉をもっているほど、たくさんのことを考え、想像し、気持ちを表すことができます。そのため教室では授業の中でも言葉を増やし、使うことを取り入れていますが、日々生活するご家庭に意識をもって言葉を使うことの大切さを伝えています。

語彙力はすべてのことに関わっていきます。幼児期にたくさんの言葉を習得することは後の学びの受け皿を大きくする基礎となると考えます。そのことに気が付かずにお子さんと接しているご家庭とそうでない家庭では、長い時間を経て、その差は大きなものとなっていきます」

褒めて幼少期からの自己肯定感を育てる

原「先生たちは間違ってもいいからやってみようというスタンスで、子どもの小さいながらも持っているプライドを潰さないように授業を進めます。

間違ったことを細々と指摘せず、頑張ったり取り組んだりしたことを褒めたり、間違ってしまう直前までのことを褒めて、学ぶことを恐れないようにしていきます。気持ちを折らないことが、再チャレンジする心を育て、次の成功の道を開いていきます。

『みんなの前』で褒められることは子どもを大きくします。自信を持つことが褒められたこと以外の多くの学びにも良い影響を与えます。小さな心にたくさんの栄養が与えられ、大きな自信を持った心が育ちます」

そして、原さんは先のアンケート調査結果を受け、「幼児教室は子どもへの直接的な働きかけと共に、子どもを伸ばすための関わり方についての保護者の学びの場でもあります。こういった意識をお子様が小さいときに持たれたご家庭で育ったことが、東大合格までの学びにつながっているのではないでしょうか」と話してくれました。

「歌」の教室で子どもが伸びるワケ

「歌」の教室では何を学べる? 賢い子が育つ理由

続いては「歌」の習い事について。歌といっても、独唱から合唱まで、さまざまな教室がありますが、中でも、音楽教育法「リトミック」を教える教室を認定する特定非営利活動法人 リトミック研究センターにインタビューを行いました。

回答いただいたのは、本部研究室主任の向井育子さんです。

音楽を通じて多様な能力を育む

向井育子さん(以下、向井)「リトミックのレッスンでは、音楽(音)を通じて、子どもが個々に持っている能力を育むことを目的としています。リトミックにおける『うたう』ことは、活動・表現方法の一つです」

レッスンでは、リトミックを通じて具体的にどんなことを学べるのか教えていただきました。

向井「音楽(音)に合わせて歌いながら歩く。音楽(音)の速さ、強さ、高さ、リズム、拍子の変化などを感じ取り、身体で表現する。また音楽(音)によって決められた合図を、さまざまなタイミングで聴いて、“即座に反応”すること等、常に子ども自らが、感じて、考えて、表現することを通して、さまざまな能力を養っていきます。

“音楽(音)そのもの”を身体全体で感じ取り、身体で表現することにより、音楽の基礎能力が感覚として身につきます。『歌をうたう』ときも、音楽を大いに感じて表現できるようになります。

また、グループで共に学び、“人前で歌う”、“動く”などの表現活動を通して『協調性』『積極性』『自己表現力』が養われ、“自分で考え”“自信をもって”“自発的に表現する”力がついてきます」

非認知能力を伸ばすことが期待できる

向井「保護者によると『積極性』によって意欲的に自分で取り組むので勉強が好きになったり、『社会性』によってお友達とのコミュニケーションが上手く、もめごとをまとめたりする能力もついたとのことです。いわゆる“非認知能力を伸ばす”ことが期待できます」

年齢ごとに変わるレッスン内容

向井「レッスンは、1歳~5歳、小学生、大人、高齢者と幅広く行っており、年齢が上がるごとに行う内容も高度になります。

『うたう』ことを潜在的に取り組んでいるのが1、2歳。流れる音楽、楽しい遊び歌に親しみ、時にはマネをして歌うこともあります。

『うたう』ことを顕在的に取り組むのは3歳以降。『こんにちは』などの短い模唱(マネして歌うこと)や、短いメロディーを覚えて歌います。4歳からは『階名唱』に移行し、ドレミファソラシドの音を聴き取りながら『ハンドサイン』という身体表現をして歌い、音感を高めていきます。

5歳からは“音符を書く”ことや、“階名で歌うこと”、“リズムを分析してステップする”など、複雑な課題にも取り組むようになります」

歌といってもさまざまな学び方があり、たくさんの能力を養えるようですね。歌の習い事は、賢い子を目指すことができそうです。

東大卒の人が幼少の頃に学んでいた幼児教室と歌の習い事について探ってみました。どちらも東大にチャレンジし、合格するほど積極的な学びへの意欲を幼少期に培ったことが予想されます。子どもの習い事選びの際のヒントにしてみてください。

【取材協力】
理英会
どんちゃか幼児教室
リトミック研究センター