血液・血

カンボジアで、暴力団が絡む「血の奴隷」事件が起きていたことがわかった。特に狙われたのは、世界的に見ても極めて珍しいRhマイナスの血液型を持つ人たちだった。

香港の『南華早報(South China Morning Post)』やアメリカの『NEW YORK POST』が報じ、そのような広告にだまされないよう警鐘を鳴らしている。


■ネット広告の応募者を誘拐

この事件の被害者は、「あなたの血液を売ってください」という詐欺のネット広告にだまされた人たちだった。広告は暴力団がからむアジアの人身売買組織によるもので、応募者は誘拐されるとカンボジア・シアヌークビル市のある家に集められ、監禁されていた。

そんな中で12日、中国国籍の李さんという31歳の被害者男性が脱走に成功。在カンボジア中国大使館に駆け込んで、事件は明るみに出た。


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■8人の被害者

李さんは2021年8月に拉致されてから半年間、毎月765~800ミリリットルの血液を抜き取られて衰弱しきっており、腕はひどく腫れ、いたるところに針の刺し傷や内出血のアザがあった。ただちに病院へ運ばれたが、多臓器不全を起こすなど瀕死の状態だった。

李さんはその家で自分以外に少なくとも7人の被害者とみられる男性を目撃しており、「珍しい血液型の場合、より頻繁に大量に抜き取られていた」と話しているという。

■血液がお金になると知り…

李さんは中国・江蘇省の孤児院で育ち、警備員として深セン市と北京で働くなか、血液がお金になると知り、思わずその広告に飛びついていた。

人身売買組織のメンバーに銃を突きつけられながら国境を越え、船でカンボジアへ。現地の暴力団は彼らに、日本円にして212万円ほどの報酬を支払っていたとみられている。「解放してほしければ身代金を支払え」とすごまれたが、李さんにはお金などなかった。


■「では臓器を抜き取るぞ」

こうして李さんは「血の奴隷」になることを余儀なくされたが、体が衰弱する恐怖に抵抗すると、「では臓器提供するか。抜き取る組織に売り飛ばすぞ」と脅されたという。

安全な献血のガイドラインとして、中国では全血献血は最大500ミリリットルまでと定めており、赤血球の完全な回復には数ヶ月を要する人もいるとしている。なお、李さんから抜き取られた血液は、第三者の個人に高値で販売されたとみられている。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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