撮影=田中聖太郎

 KREVAが17日から19日にかけて、『908 FESTIVAL 2021+1』を開催した。『908 FESTIVAL』は、2012年より恒例となっているKREVA主催の“音楽の祭り”。2020年は無観客でのONLINE、そして2021年は新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大で新規感染者数が過去最高になり、開催発表を前に中止を決断したが、その後会場や日程の調整を行い、2022年2月に『908 FESTIVAL 2021+1』と題して有観客ライブで開催。初日となった2月17日東京国際フォーラムホールAにはZORN、日本武道館2DAYSにはKICK THE CAN CREW(18日)、三浦大知(19日)を迎え、最強のラインナップでの“ツーマン”フェスを行った。さらに20日にはKREVAによるアフタートークショーを開催し、計4日間ファンを楽しませた。MusicVoiceでは、三浦大知とのコラボで届けたフェス3日目の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

ここが居場所だと感じた

撮影=田中聖太郎

 高揚感を煽るオープニングVTRに続いてステージに登場したKREVA。この場所に集まったオーディエンスに感謝の言葉を投げかける。その想いを体現するかのように届けられた「Finally」。<やっとあえたな>という冒頭の歌詞からも伝わってくるパフォーマンス。そして、曲の最後に、客電がつく演出もドラマチックだった。

 先日MVが公開されたばかりの「クラフト」に続いて、三浦大知がステージに登場。銀テープが武道館のフロアに舞う中、「全速力 feat.三浦大知」を披露。ステージを駆け巡りながら、三浦の真っ直ぐな歌声とKREVAのアグレシッブなラップのコントラストで、オーディエンスのテンションもさらに上昇。

 ここからは三浦大知のセクションに突入。ダンサーと共にハイレベルなパフォーマンスを展開する三浦。「Le Penseur」、「Yours」とクールな世界観を持つナンバーでオーディエンスの耳と目を引き寄せていく。MCで三浦は「コロナ禍が始まって、僕とKREVAさんはツアーを無期限延期して、そこからオンラインだったり音楽制作で繋がれないかと頑張ってきた2年間でした。皆さんとのライブは2年ぶり、(気持ちが)フワフワしています。皆さんのパワーを借りながら、最後の最後まで気の済むまで楽しんでいけたら――」と、ライブに臨む想いを語った。

撮影=渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

 「どんな状況でもどんな場所でもいけるし、音楽の中で宇宙遊泳を楽しんでください」と投げかけ「Spacewalk」を届けた。“KREBand”の演奏に乗って、リズミックな歌を披露。オーディエンスも体を揺らし、心地よい空間に身を委ねた。想像力を働かせれば、どんな場所でもいける、それを体現しているようだった。

 ここでKREVAをステージに呼び寄せ「Your Love feat.三浦大知」をコラボ。レイドバックしたビートの中で、2人の声のマリアージュで至高の空間を紡ぎ出していた。「フィーチャリング曲はなかなかやる機会はないんですけど、毎年この曲は歌わせていただいています。なぜ毎年歌えているかと言うとこのフェスがあるからなんです。本当に嬉しく思っています」とフィーチャリング曲が一緒に歌えることへの喜びを述べた。

 それぞれの考えで今この場所にいる、それを強く感じさせてくれたのが「I’mHere」だ。オーディエンスもクラップリズムの一部となり、ライブならではの空間が広がる。それは、続けて届けられた「Blizzard」でより強固なものになっていく。ステージでは“Blizzard”という吹雪を吹き飛ばすかのようにフレイムボールが楽曲をプッシュアップ。パワフルな三浦の歌声で武道館を一つにした。

 毎回フェスではKREVAの楽曲をカバーしていると話す三浦。今回選んだ楽曲は「居場所」。三浦はこの楽曲を選んだ理由に「ここが居場所だと感じた」と、長年出演してきた『908 FESTIVAL』が、三浦にとってかけがえのないものになっていることが伝わってくる言葉だ。ピアノの美しい音色をバックに情感を込めた歌声でオーディエンスを扇情。ここが自分の居場所だ、という強い意志をステージに残し、KREVAバトンを繋いだ。

三浦大知なくして「908 FESTIVAL」はない

撮影=渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

 その想いを引き継いだKREVAが届けたのは「In the House」だ。レーザーライトが武道館を照らす中で、クールなフロウをぶつけていく。さらに「変えられるのは未来だけ」で未来を変えられるのは自分だけ、と熱い気持ちをステージから届けた。

 「今日はここにいる皆さんと、三浦大知と、バンド、そして、スタッフと一緒に誰も経験したことのない時間を作るのでよろしくお願いします」と意気込みを話し、心振るわすロックナンバー「基準〜2019 Ver.〜」を投下。攻撃的なKREVAのラップが我々を鼓舞してくれる。<しぶとくやるヤツがサバイブ>という歌詞が印象的な「Paradigm」では、天井から降り注ぐ火花、ステージ両サイドから舞い上がった紙吹雪と多彩な演出が会場を盛り立てた。

 電話のベルが鳴り響き、そこから流れ込んだ「よ ゆ う」は、タイトルの通りまさに余裕しゃくしゃくといったKREVAの表情が頼もしい。そして、眩いライトが武道館を照らす中パフォーマンスした「人生」、田中義人(G)のギターカッティングが心地よい「って feat.SONOMI」と、幅広い曲調で楽しませた。

 これまでのフェスを振り返りながら、「三浦大知なくして“908 FESTIVAL”はない。いつも『908 FESTIVAL』全体のことを考えてくれている。何らかの形で恩返しをしたい。いつかはこのコロナ禍も終わる、いつかその日が来るまで俺は待ってる、密な『908 FESTIVAL』が出来るようにみんなで待ちながら、(三浦)大ちゃんも言っていたけど、音楽の中では自由というのを体現したい。みんなと一緒に盛り上がっていきたい」と、熱い想いを語るKREVA

 「大丈夫だと思うよ、だって大ちゃんもそう言ってるし」と告げ、「All Right」から「C'mon, Let's go」と展開。極上のグルーブに支配されていくような感覚を受ける中、「好きなように楽しむライブが俺には見えています」と、希望を感じさせたポジティブな言葉から「今夜はブギー・バック」、そして再び「All Right」に再び戻るという、3曲で一つ、三位一体といった鮮烈なパフォーマンスで魅了した。

 そして、シタールのサウンドがオリエンタルな雰囲気を醸し出した「アグレッシ部〜2019 Ver.〜」、トランスペアレントなKREVAのハイトーンボイスが響き渡った「音色〜2019 Ver.〜」と、ライブはクライマックスに向かっていく。

  KREVAは「この曲は俺のファンに届けたいです」と投げかけ、「LOOP END / LOOP START」を届けた。バンドメンバー紹介を兼ねたソロパートを間に挟み、丁寧にメッセージをファンに届けるKREVAの姿。「終わりが来れば始まりがある、まだやっていない曲があります――」と、再び三浦をステージに呼び込み、「Fall in Love Again feat. 三浦大知」を届けた。コロナ禍で生まれた極上のラブソングを、固い絆で結ばれた2人の声で武道館を満たし、会場は多幸感に溢れた。ここにいる全員、配信で観ている人たちを讃え、最後に三浦とKREVAが固い握手からハグをし、『908 FESTIVAL』は大団円を迎えた。

撮影=渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

 なお、【908 FESTIVAL 2021+1】の模様はPIA LIVE STREAM、U-NEXT、Streaming+で2月25日~2月27までアーカイブ配信。当日に足を運べなかった方もライブを堪能できる。

(おわり)

セットリスト

『908 FESTIVAL 2021+1

2月19日@東京・日本武道館

01.Finally
02.クラフト
03.全速力 feat.三浦大知

三浦大知

04.Le Penseur
05.Yours
06.Spacewalk
07.Your Love feat.三浦大知
08.I’mHere
09.Blizzard
10.居場所〜三浦大知 Ver.〜

KREVA

11.In the House
12.変えられるのは未来だけ
13.基準〜2019 Ver.〜
14.Paradigm
15.よ ゆ う
16.人生
17.って feat.SONOMI
18.FEVER
19.All Right〜C'mon, Let's go〜今夜はブギー・バック〜All Right
20.アグレッシ部〜2019 Ver.〜
21.音色〜2019 Ver.〜
22.LOOP END/LOOP START
23.Fall in Love Again feat.三浦大知

KREBand Member

白根佳尚(Dr)
柿崎洋一郎(Key)
田中義人(G)
大神田智彦(B)
熊井吾郎(MPC+DJ)
SONOMICho+Key)

配信情報

【908 FESTIVAL 2021+1

2022年2月25日(金)9時8分~2月27日(日)23時59分まで、PIA LIVE STREAM、U-NEXT、Streaming+で配信
配信チケット:5,908円
※再生開始時間は各配信メディアでご確認ください。