アメリカで今年1月、女が自宅で元夫を殺害する事件が起きた。犯行は5人の子供たちが家にいる間に行われたという。現場に駆けつけた警察官は、偶然にも幼少期に自分の父親が家族によって殺害された経験を持っていた。当時のことを思い出し、子供たちのことが心配でその場を離れることができずにいた警察官はきょうだい5人の里親になることを決意した。『FOX5 Vegas』『KTNV』などが伝えている。

ネバダ州ノースラスベガス警察に所属する警察官ニコラス・キンタナさん(Nicholas Quintana)は1月14日、昼間の休憩中に殺人事件が発生したとの通報を受けた。

すでに他の警察官が対応にあたっていたにもかかわらず、突然の衝動に駆られたニコラスさんはすぐさま事件が起きたオーサカパール通りに向かった。現場ではその家に住むエミリー・エズラ(Emily Ezra、40)が元夫ポールさん(Paul)を射殺した疑いで逮捕されたところで、犯行は5人の子供たちが家にいる間に行われたという。エミリーはのちに凶器による殺人の容疑で起訴された。

ニコラスさんは当時の様子をこのように振り返った。

「事件現場に子供たちが居合わせたと知った時にはショックでした。私も幼い頃に父親を家族に殺害されて…その記憶が蘇りました。そして子供たちが児童保護局に連れて行かれると思うととても悲しくて、その場から離れられずにいました。するとどこからか『子供たちを引き取ったらいいじゃないか』という思いが浮かんできたのです。」

「家に帰ってそのことを妻のアマンダ(Amanda)に相談しましたが、彼女は思っていたとおり嫌がりました。それでも私は子供たちに会ってほしいとお願いしたのです。会うときっと彼らのことが好きになるから、会ってみてよと。そして3日後に児童養護施設『Child Haven』で子供たちと面会して、15分から20分ほど話したあと妻に『どうする? 子供たちに話す?』と聞きました。そして私たちは5人を引き取ることにしたのです。」

面会の日から2日後、夫妻は5人の子供たちを家族として自宅に迎えた。妻との2人暮らしから7人家族となったニコラスさんは新しい生活についてこう語っている。

「子供たちに『君たち全員を家族として迎えたい』と話した時、16歳の長男は『本当に? 5人一緒に?』と驚いていました。私は父親の存在を知らないまま育ちました。私は父に愛してほしかったし、父親になって自分の子供を愛したいといつも思っていたのです。この1か月は私たち7人全員にとって新しい環境に慣れるための調整期間でもありました。これは素晴らしい経験で、とても謙虚な気持ちになります。長男から末っ子までひとりひとりのことを考えるようになりました。何を決めるにも妻のことだけではなく、今は家族全員のことを考えています。」

そんな夫妻は現在、一時的な里親として認定されるための手続きを進めており、将来的には法的な手続きを行って正式に養子として受け入れることも考えているそうだ。

これを受け、ノースラスベガス警察官協会はクラウドファンディングサイト「GoFundMe」の募金ページを立ち上げた。同協会は里親の手続きが完了するまで様々な援助を受けられないニコラスさん夫妻が必要以上の苦労をしないよう経済的支援を呼びかけているという。

画像は『FOX5 Vegas 2022年2月16日付「North Las Vegas police officer takes in 5 children after father is fatally shot」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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