EFLカップ(カラバオカップ)決勝、リバプールvsチェルシーが27日にウェンブリー・スタジアムで行われ、0-0で120分の戦いが終了。その後、PK戦を11-10で制したリバプール2011–12シーズン以来、最多9度目の優勝を果たした。

なお、リバプールのFW南野拓実はベンチ入りも出場機会はなかった。

準決勝でアーセナルを破り2015–16シーズン以来のファイナルへ駒を進めたリバプール2011–12シーズン以来、最多9度目のタイトル獲得を目指すクロップ率いるチームは、直近の公式戦9連勝と最高の状態で聖地ウェンブリーに乗り込んだ。6-0で圧勝した直近のリーズ戦からは先発2人を変更。GKをアリソンからケレハーに入れ替えたほか、カーティス・ジョーンズに代えてキャプテンのヘンダーソンを復帰させた。なお、チアゴは当初スタメンに名を連ねたが、ウォームアップ中の負傷によってナビ・ケイタが急遽先発に入った。

一方、トッテナムとのダービーに完勝し、2018–19シーズン以来のファイナル進出となったチェルシー2014–15シーズン以来、6度目の優勝を目指す欧州王者にして世界王者は、UAEから凱旋した直近のクリスタル・パレス戦、チャンピオンズリーグ(CL)のリール戦をしぶとく勝ち切り、王者としての面目を保った。

試合前日にはロシアウクライナ侵攻を受け、20年近くクラブを経営してきたオーナーのロマン・アブラモビッチ氏からクラブ財団へ運営・管理の委譲がアナウンスされ、転換期を迎える中で今回の大一番に臨んだ。なお、リール戦からは先発2人を変更。負傷のクリステンセン、ツィエクに代えてチャロバー、マウントを起用した。

リーグカップのタイトルを懸けた運命のファイナルは、両チームがキックオフ直後から高いテンションでのプレーを見せる。開始6分にはボックス右に侵攻したアスピリクエタからの絶妙なワンタッチパスに反応したプリシッチビッグチャンスも、ゴール至近距離で放ったシュートはGKケレハーのビッグセーブに遭う。

以降、しばらくは行ったり来たりのオープンな展開が続くが、20分を過ぎた辺りからリバプールが試合の主導権を掌握する。チェルシーを押し込んで行く中、30分にはビッグチャンスが訪れる。

サイドのルイス・ディアスを起点にボックス内でマネがマイナスに落としたボールを、ナビ・ケイタが渾身のダイレクトシュート。だが、これはGKメンディが見事な反応ではじき出す。さらに、こぼれ球に詰めたマネの決定的なシュートもセネガル代表GKが驚異的なレスポンスでストップした。

守護神の圧巻の連続セーブでピンチを凌いだチェルシーは前半終盤にかけて盛り返す。39分にはプリシッチのミドルシュート、前半ラストプレーではハヴァーツのスルーパスに抜け出したマウントに絶好機が訪れるが、ここはシュートを枠の右に外してしまった。

互いにビッグチャンスを創出したものの、試合はゴールレスで後半に突入。前半同様に良い入りを見せたチェルシーは49分、右サイドから切り込んだプリシッチからの斜めのパスに完璧なタイミングで抜け出したマウントがボックス内でGKと一対一となるが、右足インサイドで放ったシュートは右ポストを叩いた。

後半開始早々の先制点を逃したチェルシーは直後にアクシデント発生。アスピリクエタが筋肉系のトラブルか、プレー続行不可能となり、57分に負傷明けのリース・ジェームズがピッチに送り込まれた。

一方、序盤の守勢を凌いだリバプールはここから攻勢を強める。64分にはGKメンディの不用意な縦パスを引っかけてショートカウンターを発動。ボックス左に抜け出したサラーがメンディの脇を抜くチップキックでゴールを狙うが、これはDFチアゴ・シウバの決死のゴールカバーに阻まれる。

さらに、67分にはボックス手前でサラーが得たFKの場面でアレクサンダー=アーノルドの浮き球のボールをボックス左に抜け出したマネが頭で折り返し、ファーに飛び込んだマティプが頭で押し込んでゴールネットを揺らす。しかし、先制点かに思われたこのプレーはオンフィールドレビューの結果、オフサイドポジションにいたファン・ダイクがマネの対応にあたろうとしていたリース・ジェームズを妨害したと判断され、ゴールは取り消しとなった。

VARに救われて失点を免れたチェルシーはプリシッチマウントを下げてルカクヴェルナーと2人のストライカーを同時投入。この交代直後にはルイス・ディアスの鋭い突破からボックス内への侵入を許してピンチを招くが、GKメンディが見事な飛び出しで阻止する。

一方、リバプールは80分にヘンダーソン、マネ、ナビ・ケイタを下げてエリオット、ジョタ、ミルナーと3枚替えを敢行。フレッシュな選手たちの投入で攻撃の活性化を図った。

後半終盤にかけては運動量の低下によって試合はオープンな展開に。その中でファン・ダイクルカクと互いに先制のチャンスが訪れたが、両GKのビッグセーブによってスコアは動かず。タイトルの行方は延長戦に委ねられることに。

延長に入ると、試合はチェルシーペースで進んでいく。これを受け、クロップ監督はマティプ、ディアスに代えてコナテ、オリジを投入し、攻守の立て直しを図る。

延長戦では互いに相手ゴールへ迫るシーンを作り出したが、チェルシーのゴールがオフサイドで取り消しとなるなど、最後まで均衡は破れず。PK戦を意識したトゥヘル監督は名手ジョルジーニョに加え、延長後半終了間際にはPKストッパーのケパを守護神メンディに代えて送り込んだ。

そのタイトルを懸けた運命のPK戦では両チームのフィールドプレーヤーが技術と強靭なメンタルを見せつけ、共に10人全員が成功する異例の事態に。そして、11人目のキッカーとなったケレハーとケパの両GKの間で明暗が分かれることに。先攻のケレハーが冷静に左上隅へ決めたのに対して、後攻のケパはシュートを大きく枠の上に外してしまい、壮絶なPK戦が決着を迎えた。

そして、チェルシーとの激闘を制したリバプールが、2011–12シーズン以来、最多9度目のEFLカップ制覇を成し遂げた。

なお、決勝で出番はなかったものの、今大会チーム最多の4ゴールを挙げた南野は、2019-20シーズンのプレミアリーグに続くリバプールでの2つ目のタイトルを手にしている。

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