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高効率だが問題も? 2ストロークエンジンとは

マツダスーパーチャージャー付き2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)の特許を出願しているとのニュースがあり、2ストロークが再び話題になっている。

【画像】マツダ独自のエンジン技術【スカイアクティブX搭載車を写真で見る】 全69枚

2ストロークエンジンは、現在すべての市販車に搭載されている4ストロークエンジンと異なり、各気筒が同ストローク(往復)数で4ストロークエンジンの2倍のパワーを発生させるという特徴がある。カムシャフトやポペットバルブなど、エンジン上部に動く機械がないため、軽量、安価、シンプルで、重さあたりの出力が大きいのが特徴だ。

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マツダは、ガソリンエンジンで圧縮着火を制御する独自の燃焼方式「SPCCI」を採用したスカイアクティブXを2019年に発表し、注目を集めた。

そのため、二輪車に最適なエンジンとなっている(二輪車2ストロークも市販ではほとんど見られなくなったが)。最も基本的な2ストロークエンジンは、吸気と排気を行うバルブの代わりに、シリンダーバレルにトランスファーポートを設け、ピストン下の圧力を利用して空気と燃料をクランクケースから燃焼室へと送り込む仕組みになっている。

一般的な4ストロークのようにクランクケースにオイルを貯めないだけでなく、オイル潤滑のための独立したシステムを一切持たないのが特徴だ。2ストロークの園芸機械を持っている方ならおわかりのように、オイルをガソリンに混ぜて使わなければならない。そのため排気ガス中の有害物質が多く、現代の自動車では、ガソリンとオイル混合燃料を使用することは考えられない。

この問題を回避するために、4ストロークのメカニズムを2ストロークに応用する試みがなされている。オーストラリアのオービタル社は1990年代にこれを試み、フォードもこれを搭載したプロトタイプを走らせた。クライスラーの実験エンジン部門も、4ストロークと同じようにシリンダーヘッドにバルブ、サンプにオイルを備えたものを開発している。

マツダ流 スカイアクティブXの技術を応用

マツダの発想も、デザイン的には4ストロークに近く、現代の電子機器の高性能化を利用して、それら従来設計の限界を克服したものである。マツダ4ストロークエンジン「スカイアクティブX」と同様に、低・中出力では希薄燃焼の火花点火制御の圧縮着火(SCCI)、高出力では従来の火花点火(SI)を使用し、希薄燃焼を実現するためにガソリン直噴とベルト駆動のルーツブロワを採用している。

低中出力時にはSCCIモードで超低燃費を実現し、高出力時にはSIに切り替えるというものだ。

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マツダが特許出願した2ストロークエンジン

また、可変バルブタイミング(VVT)により、圧縮される前の空気の一部を逃がし、圧縮比を効果的に下げることができる。さらに、エンジンからの排気を掃気するために両方のバルブを開き、ブロワーからの圧力で排気ポートからガスを強制的に排出し、同時に吸気ポートへの流入を防ぐことができる。

そもそも燃焼系は単気筒エンジンで構想・試験されるのが常だが、この設計ならマツダが望むだけの気筒数を搭載することができる。マツダによると、この技術の具体的な使用計画はなく、製品ラインナップのどこに収まるかはわからないという。しかし、理論的には、例えばレンジエクステンダー用の発電機などに応用できるだろうし、それ自体で軽量パワートレインの基礎を形成することも可能だ。


マツダが作る超高効率な2ストロークエンジンとは? 高出力・低燃費・低排出ガス実現なるか