3月4日は「サッシの日」です。サッシは、窓枠としてガラス窓に使われる金属製の建具のことで、特にレール(溝)の部分は「掃除が面倒くさい場所」「掃除をつい後回しにしてしまう場所」としてもおなじみです。ネット上でも、サッシのレールの掃除に苦戦している人が多いようで、「大掃除のときにしか掃除しない…」「サッシの掃除の仕方がよく分かっていない」「汚れがたまらないようにできる?」などの声が上がっています。

 掃除がしづらく、汚れやすいイメージの強い「サッシ」の基本的な掃除術について、ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに聞きました。

汚れを放置するとカビ、サビの原因に

Q.そもそも、サッシのレールの部分にはなぜ汚れがたまりやすいのでしょうか。

有賀さん「原因はいくつか考えられます。まず、人や物が部屋の中を移動すると、ほこりや髪の毛、ペットの毛などの軽い汚れが浮き上がり、部屋の隅にたまりやすくなるため、部屋の端にある窓のサッシのレール部分にも必然的に汚れがたまってしまいます。また、土ぼこりや花粉、木の葉などが飛来したり、窓や網戸についた土ぼこりなどの汚れが雨や結露によってサッシのレール部分に流れ落ちてたまったりするケースも考えられます。

お住まいの地域の状況によって、汚れの種類が変わってくることも考えられます。例えば、交通量の多い場所に住んでいる場合は、黒いすすのような排ガスの粉じん、また、海の近くに住んでいる場合は塩害でサビなどがつきやすくなるケースもあるでしょう」

Q.サッシのレールの基本的な掃除方法(手順)を教えてください。

有賀さん「家によくある物を使って掃除をするなら、使い古した歯ブラシといったほこりなどを払える物、掃除機(ノズル)、雑巾があれば基本的なサッシの掃除は可能です。まずは歯ブラシで、サッシのレールについたほこりなどの汚れをかき出しながら、掃除機のノズルでゴミを吸い取ります。その後、雑巾で水拭きすれば、よりスッキリ仕上がります。

サッシのレールの構造上、歯ブラシが入らない凸凹部分の隅の汚れには、必要に応じてつまようじや竹串など、金属製以外の先がとがっている物があると、細かい部分まで掃除ができてよいでしょう。『キッチンのそばにあるサッシのレールで、油汚れがついている』などの事情がない限り、洗剤は特に使う必要はありません。また、メラミンスポンジは研磨剤としての働きをする物で、レールの素材によっては傷をつけてしまうことになるため、普段のレール掃除で使う際は注意が必要です。

私たち家事のプロも使っているお勧めの掃除道具は『サッシブラシ』です。ブラシ部分に弾力性があるので、窓のサッシのゴミを払いやすく、また、ブラシの反対側がヘラ状の形をしているので、レールが傷つかないように雑巾をかぶせながらこびりついた汚れを取り除くのに使えます。ブラシが入りにくい部分の汚れを払うのに、パソコンのキーボード掃除などに使うエアーダスターを使うのもお勧めです」

Q.基本の掃除方法以外で、特にしつこい汚れがついてしまった場合にお勧めの掃除方法はありますか。

有賀さん「乾いた状態で、ある程度ほこりなどを払った後に、レールに直接水を流してブラシでこすり、きれいに汚れを洗い流して、最後に雑巾で水分を拭き上げる方法があります。水を流しても問題の少ないベランダなどに接しているレールで行えるとよいのですが、少量でも水を流すと垂れて下層階に迷惑がかかったり、外壁が汚れてしまったりする可能性のあるレールもあると思います。その場合は、使用する水量に気を付けながら、水が流れ出さないよう、レール脇を古布や使い古したタオルなどを使って養生してください。

結露などが原因でカビが生えてしまったケースでは、アルミ製のサッシレールの場合が多いと思うので、消毒用エタノールをつけた雑巾で拭き上げましょう。仕上げに、消毒用エタノールスプレーして、カビを予防しておくとなおよいでしょう。もし、サビてしまった場合は、研磨したり、サビ取り剤を使ったりしてサビを落とし、サビ止め剤を塗布するようにします」

Q.サッシのレールは、どのくらいの頻度で掃除するのがよいでしょうか。全く掃除をせず、汚れを放置した際に考えられる弊害はありますか。

有賀さん「お住まいの地域や天候の状況などによっても変わってくるので、ひとくくりにすることは難しいですが、1〜2カ月に1回程度は基本的な掃除ができると、比較的きれいな状態を保てると思います。窓や網戸の掃除をするときには、サッシのレール掃除も含めて行うようにしましょう。

レールの材質や性能面がよくなってきているので、お手入れもしやすくなっていると思いますが、全く掃除をせずに汚れを放置した場合は汚れがたまってこびりつき、カビが生えたり、素材が傷んだり、サビたりする原因にもなります。さらに、汚れが原因で窓や網戸がスムーズに開閉できなくなることも十分考えられるので、汚れを長い間放置しないようにすることが大切です」

Q.サッシのレールに汚れが一切たまらないようにすることは可能ですか。また、サッシのレールの掃除を楽にするためのポイントがあれば教えてください。

有賀さん「残念ながら、汚れが一切たまらないようにすることは不可能に近いと思います。汚れをためずに、定期的に掃除することが一番ですが、普段の床の掃除機がけのついでに、サッシのレール部分もノズルでサッとゴミを吸い取るだけでも、汚れ具合がずいぶん違ってくるので、掃除の頻度を減らすことができると思います。

他に、はっ水・防汚効果がある住居用のコーティング剤や、無溶剤タイプのシリコンスプレーは、窓や網戸の滑りをよくしてくれるだけではなく、レール素材の表面に薄く皮膜を作って汚れをつきにくくしてくれる効果が期待できるので、使ってみるのも一案です。また、窓やサッシ、レールに結露ができた際、それを放置するとしつこい汚れになりやすく、掃除に手間がかかってしまうので、結露対策をしっかりすることもポイントです」

オトナンサー編集部

サッシはどうやって掃除する?