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〈輸入品は先々の数量減少、今後の出回り量などで相場上昇へ〉
2月の鶏肉需給は、年末年始の需要期を経て、需要減退、相場下落が想定されたが、1月中旬以降の国内での新型コロナウイルス感染者数増加・高止まり、まん延防止等重点措置の発出などにより、量販店を中心に国産生鮮品需要が継続した。さらに2月は例年よりも気温の低い日が多く、鍋需要の高まりもあり堅調だった。国産品の生産面では、産地の増体不良などは見られず好調だったが、一部工場では人手不足から副産物生産に人手をかけられず、正肉を優先する動きも見られた。

国産ムネは、輸入品の高値、今後のさらなる高騰不安などもあり加工筋からの需要が継続している。在庫増加が懸念された凍結在庫は、各社一定水準を抱えているようだが、輸入品との兼ね合いで、それなりの需要が見込まれることもあり、年度内に無理して売り急ぐ気配はない。

一方で、輸入品の外食需要は変わらず、回復に至っていないが、中食や総菜需要のベースが伸びていることもあり一定の引き合いが見られる。今春以降の輸入量が前年同期に比べ減少が見込まれるなかで、一定数量を確保する動きから、仲間相場は強気で、相場を若干押し上げた。今後は実際の輸入量や、推定出回り量などの各指標に対応した相場展開が予想される。

2月の平均相場は、日経加重平均でモモが646円(前月649円)、ムネが322円(330円)と正肉合計968円、前月比11円安となった。前年同月比ではモモが55円安、ムネが17円高となり、正肉合計では38円安となった。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、3月の生体処理羽数は前年同月比1.4%増、処理重量は0.5%増とともに伸長を見込む。4月は処理羽数こそ1.1%増と引き続き増加見込みだが、重量は0.1%減とわずかな減少を見込む。それでも羽数・重量ともに、2022年も微増傾向で推移していくものと見られる。

3月の動向では、主要産地の北海道・東北では、羽数こそ0.2%減予測だが、重量は0.2%増を見込む。4月がいずれも微増に転じると予測している。南九州地区では、3月の羽数は2.5%増、重量は1.1%増を見込む。一方で4月は羽数0.5%減、重量は2.6%減と減少見通しとなっている。4月は南九州で重量減が全体の微減に影響するものと見られる。

農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によれば、3月に国産生産量は14.4万tと前年同月比2.0%増、前月比では1万t以上増加する見込みだ。2022年に入り昨対増で推移しており、3月は2022年で初めて14万tを超える見込み。

一方で、輸入品はタイからの輸入量が回復してきているが前年同月を下回る。ブラジル産は、国内輸入品在庫の減少などにより、前年同月を上回ると予測されるが、全体では大きく下回る、20.7%減の4.4万tと予測している。2022年1~2月は5万tを超える水準での輸入が続いていたが、3月は4万t台前半まで減少する見込みだ。

〈需要見通し〉
首都圏では春めいた気候になりつつあり、鍋需要はピークを過ぎたと思われる。ただし、葉物野菜の下落などを追い風に3月前半は一定需要が期待される。ムネは引き続き加工筋からの引き合いが想定される。輸入品は外食需要が回復していないが、中食・総菜需要が堅調、先々の調達コスト高への警戒心から在庫確保が進む可能性もある。

〈価格見通し〉
国産生鮮モモは生産が堅調の一方で、実需は量販店を中心に弱含んでおり、ジリ下げ、ムネは加工向け需要、輸入品の減少見込みによりもちあいと予測する。日経加重月間平均では、モモが630円前後、ムネは320円前後と見込む。農水省市況では、モモが640円前後、ムネが325円前後と予測する。

〈畜産日報2022年3月7日付〉