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 諸事情により産んだ新生児を育てることができない親が、子供を託すことができる「赤ちゃんポスト」は日本でも熊本県に「「こうのとりゆりかご」があるが、世界各国に同様のシステムが存在する。

 アメリカのインディアナ州で、当時19歳だった若者は、赤ちゃんの命を救う為、1年以上にわたって、様々なアルバイトを行いながら、資金集めを行った。

 彼の尽力は報われ赤ちゃんポストが設置された。このポストで現在までに同州で15人の新生児の命を救ったという。

【画像】 インディアナ州に設置された赤ちゃんポスト

 アメリカのインディアナ州に拠点を置く非営利団体『Safe Haven Baby Boxes』では、諸事情により子供を育てられない母親が安全に子供を託す場所を提供することで、新生児の放棄を防ぐことを目的とした活動を続けている。

 現在、同団体は赤ちゃんポストに放棄される新生児の保護に取り組んでいる他、助けを必要とする母親のための24時間ホットラインを運営中だ。

 Safe Heaven Baby Boxesがインディアナ州で初の赤ちゃんポストを設置したのは、2016年のことだった。

 当時19歳の高校生だったハンター・ウォートさんは、赤ちゃんポストのために1万ドル(約115万円)を調達することを決意。

 1年以上にわたって、芝生を刈ったり金属くずを集めてスクラップにしたりして資金集めに奔走した。

 そして、ハンターさんが集めた資金で設置された赤ちゃんポストは、セイモア消防署に設置された。

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これまでに15人の新生児の命が救われる

 消防署に赤ちゃんポストが設置されてまもなく、新生児が中に残された。

 赤ちゃんは女の子で、生後1時間ほどと推定された。消防署員らによって保護された赤ちゃんは、病院へと搬送されて健康診断を受けた。幸い、健康に問題がなかった赤ちゃんは、その後州の児童福祉サービスに引き取られた。

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 2020年1月、この1件を知ったマット・ニコルソン市長は、新生児の命が救われたことへの喜びを語った。

 赤ちゃんポストが設置されるまでは、インディアナ州では毎年2~3人の遺棄された赤ちゃんが命を落としていたという。

 ゴミ箱に遺棄されたり、病院の前に放置されたままにされたりした新生児たちは凍死した。

 しかし、赤ちゃんポスト設置のおかげで、インディアナ州ではそうした赤ちゃん遺棄による新生児死亡がなくなった。

 赤ちゃんポスト設置に献身した1人であるハンターさんは、市から称賛され、感謝状が贈られただけでなく、この新生児に名前を付けることを依頼された。

 ハンターさんは、赤ちゃんを「ミア」と名付けた。

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pixabay

 インディアナ州ではこれまでに15人の赤ちゃんが、この赤ちゃんポストによって救われたことが報告されている。

 また、同州を拠点にこの活動を続けているSave Heaven Baby Boxesの全国ホットラインにも多くの助けを求める電話が寄せられ、今までに100人以上の赤ちゃんが救われているということだ。

 ちなみに、こちらが赤ちゃんポストの仕組みを説明した動画だ。

How the Safe Haven Baby Box Works

 消防署の壁に設置された赤ちゃんポストのドアが開けられると、消防署内部でそれを知らせるアラーム音が鳴り、更にポスト内に赤ちゃんが置かれると再びアラーム音で消防署員に知らせる仕組みになっている。

 一旦、外からポストのドアを閉めると自動ロックがかかり開けることができず、赤ちゃんは中で無事に保護される。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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赤ちゃんの命を救う為、19歳の若者が働いて資金を集めて赤ちゃんポストを設立