RAV4似 XVの雰囲気も
昨年12月に発表されたトヨタの電動化戦略。
【画像】完成度高し【スバル・ソルテラとトヨタbZ4Xを比べる】 全138枚
豊田章男社長の後ろにずらりと勢ぞろいしたBEVのコンセプトカーの中で最初に量産化される1台がミドルサイズのクロスオーバーSUVであるbZ4Xだ。
一方今回、雪深い群馬サイクルスポーツセンターで試乗することができたスバル・ソルテラは、bZ4Xと基本設計を共有するスバル版である。
両社にとって初のBEVリリースとなる今回の2台は、GR 86とスバルBRZという兄弟車と同様にトヨタとスバルのアライアンス開発によって生み落とされているのである。
BEV専用開発のプラットフォームを採用しているというが、bZ4Xはガソリン車であるRAV4によく似たスタイリングであり、ソルテラにもその影響が感じられる。
イメージカラーであるハーバーミストグレーパールのソルテラはXVの流れを汲んだモデルという解釈もできそうだ。
今回は発売前ということもありプロトタイプということだったが、内外装を見る限りほぼ完成しているように見えた。
ツルッとしたパネルで塞がれたフロントグリルがEVらしさを強調し、一方無塗装のフェンダーアーチやサイドシルがSUVらしさを醸し出す。
スバルのエンジニアいわく「弊社のクルマはアウトドアのイメージが強いが、ソルテラは都会とアウトドアの中間を狙った」とのこと。
ではさっそく乗り込んでみよう。
BEVの美点、シームレス感強し
室内で最も印象的な個所はステアリングとメーターナセルの位置関係だ。
ダッシュボードから一段と奥まった場所、フロントガラスに近い位置にメーターが据えられ、ドライバーは小径気味のステアリングの上からメーターを視認するかたちになる。
つまりプジョーと同じスタイルなのだが、先達とは違い違和感はほとんどなかった。
床下電池パック+前後モーターによるAWDというBEVの王道レイアウト。
つまり車体中央にプロペラシャフトも排気管も通す必要がないのだが、シフト、ドリンクホルダー、ひじ掛けから成るセンタートンネルはまぁまぁ立派。非常に広いリアシートの足元は完全なフラットになっている。
今回の試乗ステージである山岳サーキット「群サイ」はクルマ1.5台分ほどのラインが除雪されている程度で、ペースを上げるのは難しかった。
圧雪路なので路面からの入力は小石が転がるダートに似ている。試乗時間も短かった。
だがそんな限られた状況下ではあったが、スバル初のBEVとしての完成度の高さはうかがえた。
そのドライビングフィールは「シームレス」ということ一言に集約できる。
操舵系や駆動系といった個々の動きがギクシャクしていないのはもちろんだが、操舵しながら加速、減速しながら切り返しといった一連の動きの機構的な連結感が非常に強く、スキがない。
BEVでは珍しいことではないが、変速機がなく、最初からフルパワーを発揮するモーターの美点が上手く表れていると感じた。
これまで以上 「上質さ」の片鱗
モーターの出力は前後総計で160kW(約218ps)、車重は2.3t弱もあるのでパワフルという感じはしない。
それでも「シームレス」なのでパワー不足も感じない。
ソルテラにはbZ4Xにないステアリングパドルがあり、減速特性を4段階で変更できる。
またSペダルドライブというモードを選ぶとワンペダル的な運転ができ、より繊細なドライビングが可能となる。
サスペンションは金属スプリングを用いた一般的なものだが、車重の重さも手伝って乗り心地はとても上質に感じられた。
今回は横Gが掛かるような走りを試せなかったのでハンドリングについて深く言及することはできないが、見た目と走りとも、これまでのスバル車以上の上質さの片鱗が感じられた。
圧雪路の印象は悪くなかったが、アスファルト路面ではどうかという点は大いに気になる。
というのも今回の試乗条件(圧雪路+スタッドレス)は車重が重く、結果として太いタイヤ幅が設定されている(前後235)車両に有利に働くからである。
この手の、見た目以上に重いクロスオーバーで一般道を走ってみると、圧雪路とは印象が違い、バタバタとした乗り心地を示した例は過去にもあった。
またGR 86/BRZとは逆で、スバルの方がスプリングが硬めという点ではbZ4Xとの比較も興味深い。
ともあれ、トヨタ・スバル・アライアンスのおかげで国産BEVが本当の意味で始動した! という感は強い。
これからの展開に大いに期待したい。
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