SKE48が29thシングル『心にFlower』を3月9日に発売した。センターを務めるのは、前作で研究生ながら初選抜・初センターの大役を務め上げた中学一年生の林美澪。正規メンバーに昇格し、2作連続でのセンターポジションとなる今回の楽曲に「もっとパワーアップした姿をお見せできるように頑張りたい」と意欲を燃やす。


今作の魅力やMV撮影の裏側、今作が卒業前ラストシングルとなる大場美奈との思い出などを、鎌田菜月熊崎晴香髙畑結希、林の4人に語ってもらった。

 

──まずは率直に、今回はどんな楽曲となっていますか?

すごくメッセージ性のある楽曲になっていて、元気づけられる曲です。心が悲しい時に聞くと、勇気が出てくるというか、もっと頑張ろうと思える曲だと思います。


熊崎

久しぶりに恋愛がテーマじゃない曲だなという印象を受けました。今の時代にすごく合っていて、いろんな方に刺さるようなメッセージ性のある歌詞だと思うので、たくさんの方に聞いてもらって、自分らしく生きていってほしいなと思います。


鎌田

今の時代にすごく寄り添っているんじゃないかなと思います。もう嫌だ、という時に「頑張れ」と背中を押すだけじゃなくて寄り添ってくれる曲だと思うので、是非そばに置いてほしいです。


髙畑

歌詞を見て「こういう生き方ができたら、自分もすごく幸せに生きられるだろうな」と最初に思いました。自分の生きる意味だったり、背中を押してくれるものがあるよ、ということが歌詞からすごく伝わって、毎日聞きたいなと思える曲でした。


──MV撮影はいかがでしたか? 

本当に寒かったです。いつもベンチコートを着るんですけど、カイロを10個くらいペタペタ貼っていました。着込んでいたので、本番はそれを脱がなきゃいけない悲しみに浸りながら頑張りました(笑)。


熊崎

白い息が出るくらい寒かったんですけど、MVではその白い息がよりリアル感を演出していました。檻の中に入っているシーンでは特にその白い息がより一層味を出してくれていて面白いなと思います。


髙畑

私は靴の中にもカイロを入れていたんです。入れたまま踊っていたので、足の裏だけびっしょりでした(笑)。芯から温まるので、たぶん誰よりも暖かかったと思います。


──その技はみんなに教えてあげないんですか?

髙畑

みんなはダンスする時に暑いからカイロを取るんですよ。


鎌田

ダンスしにくいからジャケットの裏とかにベタベタ貼るんです。でもダンスシーンが始まると、進んでいくにつれてみんなカイロを剥がしていくんです(笑)。あのダンスはフルで踊ったら、一発で汗だくになれます。


熊崎

毎日踊ったらダイエットになるんじゃないかなっていうぐらい。


──akaneさんによる振り付けは難しいものですか?

“でらフラワーダンス”という手を花のように回転させる振りが、今回の曲にあるんですが、そこだけでも難しいんですよ。手をやるだけでもすごい苦戦していました。


鎌田

先生は「こう見せたい」とちゃんと伝えながら振りを入れてくださるので、正解はわかるんですけど、とにかく早いんです(笑)。


髙畑

ついていくのに必死。


熊崎

頭ではわかっているんですけど、体が全然ついてきてくれないくらい、本当に激しかったんです。でも撮ってもらった映像を全体で見たら花のようにふわっとみんなが一瞬で開いたりしていて、すごくきれいでした。


──MVはアクションシーンもすごく印象的でした。

髙畑

今回のアクションは稽古が事前にあったんですけど、稽古したアクションを本番にやろうと思っていたら、私はそのアクションが急きょ変わって、ちょっと難易度が高くなっちゃったんです。スタントマンの方が私を持ち上げて、空中で足を広げて悪者を倒すみたいな高度な技なんですが、それが急きょ決まったので、みんなが他のシーンを撮っている時にマンツーマンで教えていただいて、どうにかこうにか本番でやりました。終わった後は、普段ならないような場所が筋肉痛になってしまいました。


私は、ひとりで3時間の撮影があったんですけど、寒くて手が震えました。しかも持っていた銃が重いんですよ。私、重いものが苦手なんです。マイクをずっと持っていただけでも腱鞘炎になったくらい。震えながら頑張って撮影していたんですけど、なかなか手が思うように動かなかったですね。ケツバットで敵を倒すみたいなシーンもあるんですが、そこは特に印象に残っています(笑)。


──あのシーン、映像を拝見しましたがすごい音してましたよね。

本当にごめんなさいと思いました...。でも「力強くやってほしい」と言われていたので、申し訳ない気持ちもありながら思いっきりやりました(笑)。


──気持ち良くなかったですか?

いや、それよりも「ごめんなさい」という気持ちが勝ってしまいました。


一同

優しい(笑)。


熊崎

現場ではみんなの特技を見出してくれて、稽古の時に色々やらせていただいたんです。「側転できる?やってみようか」とか。色々なことを試した中で、プロの方が「あなたは飛んだほうがいい」とか「あなたは蹴ったほうがいい」「銃を使ってみたほうがいい」と見極めてくれたんです。だからこそ格好良く撮ってもらえたんじゃないかなと思います。


──熊崎さんはなにを見出されました?

私は銃で殴りかかって最終的に踏みつけました(笑)。そっちのほうが力強くていいね、みたいな。


──大変そうな撮影ですが、楽しい出来事はありましたか?

鎌田

今回のシングルがラストになる大場美奈さんが、1本30センチくらいのどでかいポッキーを配って歩いていました(笑)。「頑張ろうねー」「頑張ろうねー」って。「これも最後か」と思うと、ちょっとしんみりしました。


選抜に入ってからみなるん(大場)さんと関わる機会がすごく増えたんですけど、いつも「かわいいね」と言葉をかけてくださるんです。かわいい方にかわいいって言われると、心が幸せです。


髙畑

リップシーンをなっきぃ(鎌田)さんとみなるんさんと私で一緒に撮らせてもらったんです。檻の中に3人で入って震えながら歌っていたんですけど、最後っていう感じはしなかったですね。「寒い寒い」って言っていました。


鎌田

それがみなるんさんらしい。「この曲は私の卒業シングルという扱いじゃないから、私はこういう風だよ」というスタンスがみなるんさんの優しさだなと思いました。みなるんさんらしい気遣い、気配りを感じましたね。


熊崎

「最後まで楽しくみんなと一緒に」っていう感じ。ポッキーもそう。後になってポッキーの写真を見返して、思い出の一枚だなと思うんだと思います。


──実際の卒業まではまだ時間が残されていますが、卒業までに大場さんとしてみたいことなどはありますか? 

熊崎

2人でお出かけしたい。以前、二人でタピオカにハマっていた時期があったんですよ。その頃のようにまた一緒にご飯へ行ってみたいですね。チームが違うので、なかなかお仕事が一緒になることもないので、もっとじっくりしゃべってみたいです。


髙畑

私は選抜に入ってから、みなるんさんとお話しするようになったんですけど、まだ緊張しちゃうところもあったりするんです。卒業までにみなるんさんとの2ショットが撮りたいですね。


──すぐ近くのスタジオにいらっしゃったので、今パッと撮れそうですけど(笑)。

髙畑

それがなかなか照れくさいんです(笑)。自分から「みなるんさん写真撮りましょう」って密着したいなと思います。


鎌田

私はみなるんさんとはしゃべるお仕事で一緒になる機会が多いんです。だから撮影系のお仕事も一緒にやりたいですね。よく考えたらあんまりないんですよ。前回と今回のMVではリップシーンが一緒だったんですけど、身長差がすごいんですよ。みなるんさんが小さすぎるので、踏み台に乗ってもらって、私が靴を脱いで撮影していることが多いので、MVじゃない撮影だとその差がどうなるのかも気になります(笑)。


私はふたつあるんです。ひとつは、みなるんさんとユニットを一緒にやりたい。『ハートの独占権』とか。卒業までには出来ないかもしれないんですけど、夢です。もうひとつは、連絡先を交換したい。緊張しちゃうんですが、いつか言えるように頑張ります。


──ところで林さんは、今回で2作連続のセンターポジションですよね。はじめに聞いた時の心境はいかがでしたか?

衝撃的でした。「自分で大丈夫かな」という不安な気持ちもありましたが、「正規メンバーとしてセンターに立てる」といううれしい気持ちもあって。もっとパワーアップした姿をお見せできるように頑張りたいなと思いました。


──前回は研究生だったんですよね。

研究生で初選抜の初センターだったので、不安なことしかなかったんですけど、今回は正規メンバーとしてなので、もっとしっかりしなきゃなと思いました。リップシーンをもっと極めたい。すぐに疲れてしまって表情が硬くなってしまうことが多いので、もっと体力をつけて頑張りたいなと思います。

 

──今は中学生なんですよね。

 林

はい。今は1年生で、今年の4月から2年生です。


鎌田

小学生の頃に加入するメンバーは美澪ちゃんのほかにもいましたが、美澪ちゃんは特に完成形で入ってきてくれたんですよ。今までの子はこれからが楽しみというか、楽屋でうるさくて注意されるみたいなこともあったんです。元気過ぎて(笑)。それも子どもだしかわいかったんですけど、美澪ちゃんはお弁当で騒ぐ私たちを微笑ましいような目で見ている(笑)。


──林さんにはそんな先輩たちがどう見えてるんですか?

楽しいなと思いながら見てます(笑)。グループは、中学校とは違った明るさがあるんです。中学校は子どもっぽい明るさなんですけど、SKE48はほんわかした明るさ。くすっと笑えちゃう感じが充満していていつもいいなと思ってます。


──年上のメンバーと過ごしていることが多いと、同年代の友達を幼く感じてしまったりすることはないですか? 

男の子とかは「子どもだな」と思うこともあります(笑)。でも中学校に行くと「やっぱり自分は中学1年生なんだな」ということに気付かされるんですよ。グループにいる時の私と学校の私は結構違うんです。普段、オタクで騒いでる時の私みたいなテンションがずっと続いてるのが学校。学校では笑いの中心みたいな、しゃべる系の女子です。


──落ち着いて見えますが、学校では周りを盛り上げるタイプなんですね。

うるさいかなと思うくらいしゃべってます(笑)。


──お仕事ではそれを抑えていた、と。

そうですね。たまに発動してしまうんですけど、抑え気味で頑張ってます(笑)。


──ありがとうございました。では最後に、今作のアピールを改めてそれぞれの言葉でいただけますでしょうか。

髙畑

今回は衣装がすごくかわいいんです。この春トレンドのデニムの生地やレースが使われたすごい繊細なデザインになっています。靴も今まではヒールで踊ることが多かったんですけど、今回はスニーカーなのでガッツリ踊れて、でもかわいい。すごいお気に入りなので、衣装もチェックしてもらいたいなと思います。


鎌田

私、ジャケット写真がすごく気に入っています。たぶんシングルの中では初めてだと思うんですが、ジャケットに個人の名前が入ってるんですよ。なので店頭で見かけた際に「かわいい」と思ったら、是非その子の名前を調べてもらえたらうれしいなと思います。


熊崎

本当にダンスが激しいんです。SKE48のがむしゃらさを取り戻すというより、がむしゃらさを超えるくらい。SKE48らしさを超えるSKE48らしさなんじゃないかなと思うくらい迫力のあるダンスだと思うので、ぜひそこも楽しんでいただけたらいいなと思います。


歌詞がとても良いです。1回聞いたら、頭に歌詞が入るような素敵な曲なので、ひとりでも多くの方の心に笑顔の花が咲けばいいなと思います。皆さん、たくさん聞いてくださるとうれしいです。


取材・文・撮影:山田健史

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