日本映画界の祭典「第45回日本アカデミー賞」の授賞式が3月11日(金)に開催。作品賞をはじめ、監督、俳優、スタッフなどを表彰する各部門の優秀賞受賞作品の中から、それぞれ最優秀賞が発表される。

【写真を見る】沢田研二と菅田将暉がダブル主演を務めた山田洋次監督作品「キネマの神様」

■大切な誰かを思う…切なく温かい気持ちを抱かせる作品がそろう

優秀作品賞は5作品。未だ続くコロナ禍で、家族、恋人、友人といった大切な誰かに改めて思いを馳せることも多くなった。そんな世情もあってか、大切に思うからこそ生まれる切なさや、思い合うことで共有できる心の温かさを描いた作品が、多く優秀作品賞に名を連ねた。

まず、村上春樹の短編小説を映画化、西島秀俊が主演した「ドライブ・マイ・カー」(2021年)。本作は、国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞を受賞。それを皮切りに全米の主要な賞を席巻し、第79回ゴールデングローブ賞でも非英語映画賞を日本映画として62年ぶりに戴冠。さらに、オスカーと親和性の高い第56回全米批評家協会賞で作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4部門を制す。今、日本映画界の期待を背負っていると言っても過言ではない。

次に、松竹映画100周年記念作品で、日本映画界の巨匠・山田洋次監督がメガホンをとった「キネマの神様」(2021年)。山田監督が完成披露試写会で「公開までこんなに長く時間が掛かったのは、僕の映画人生でも初めて」と語るほど、志村けんの逝去や緊急事態宣言による撮影中断など、公開まで長い道のりをたどった。そんな本作について、ダブル主演の1人、菅田将暉は「俳優として財産となった映画」と熱く語っている。

さらには、主演・松坂桃李や“悪役”鈴木亮平の熱演が話題となった「孤狼の血 LEVEL2」(2021年)、西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ「すばらしき世界」(2021年)、瀬々敬久監督が中山七里の同名小説を映画化し佐藤健が主演を務めた「護られなかった者たちへ」(2021年)と、2021年の日本映画界をにぎわせたタイトルが並ぶ。

■成熟をみせる人気若手俳優から、確かな実力の往年俳優までずらり!

優秀主演男優賞を受賞したのは、佐藤健菅田将暉西島秀俊松坂桃李役所広司。優秀主演女優賞は、天海祐希、有村架純永野芽郁松岡茉優、吉永小百合が受賞。今の日本映画に欠かせないスターたちが名を連ねる。

若手実力派俳優たちはもちろんだが、大御所俳優たちの活躍も見逃せない。なんといっても注目は、役所広司だ。今回、最優秀賞を受賞すれば、「Shall We ダンス?」(1996年)、「うなぎ」(1997年)、「孤狼の血」(2018年)に続く、4度目の受賞となる。名実ともに日本映画界のトップ俳優として君臨する、その圧倒的な演技力に果たして4度目の栄誉は輝くのだろうか。

一方、主演女優賞で最優秀賞を受賞すれば歴代記録を更新するのが、吉永小百合だ。今回の「いのちの停車場」で最優秀賞を獲得すれば5度目の受賞となる。その立ち姿だけでも独特の雰囲気を醸し出す、彼女ならではの演技にはやはり一目置かざるをえないだろう。主演女優賞でも、若手と大御所、甲乙つけ難いその演技力のどちらに軍配があがるのか見ものだ。

■優秀アニメーション作品賞や優秀外国作品賞も話題作ぞろい

優秀アニメーション作品賞と優秀音楽賞を受賞した細田守監督最新作「竜とそばかすの姫」(2021年)は、細田監督作品史上最高の興行収入を記録。主人公の声を担当した中村佳穂が、ともに主題歌に参加したmillennium paradeと披露した、第72回NHK紅白歌合戦でのパフォーマンスも記憶に新しい。

優秀外国作品賞に選ばれた「ノマドランド」(2021年)は、第93回米・アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞を受賞。「アベンジャーズ」シリーズに続く最新ヒーロー超大作エターナルズ」(2021年)の監督にも抜擢されたクロエ・ジャオがメガホンを取った、最優秀賞有力候補作品のひとつだ。

果たしてどんな作品、キャスト、スタッフ陣が最優秀賞に輝くのか。3月11日の「第45回日本アカデミー賞」で発表される。

3月11日(金)「第45回日本アカデミー賞」受賞式開催/(C) 2021「キネマの神様」製作委員会(C) 2021「キネマの神様」製作委員会(C) 2021「キネマの神様」製作委員会(C) 2021「キネマの神様」製作委員会