1stアルバム以前より、コアな音楽ファンの間で注目を浴びていたシンガーソングライター・Furui Riho(フルイ リホ)。自身のバックボーンというゴスペルやR&Bをベースにしながらも、キャッチーでクセのあるメロディ、細部までこだわり抜かれた独特のアレンジにより、ジャンルの垣根を超え、幅広い層の感性を刺激するであろうポップチューンばかりを発表し続けている。

活動の拠点とする地元・札幌では、FM NORTH WAVEで自身の冠番組を持つほか、最新デジタルシングル「青信号」が同局のMEGA PLAYに選曲されたり、またSpotifyの公式プレイリストのCoverアーティストに選ばれるなど、すでにインディーズとは思えぬほどの抜きんでた評価を獲得している。

すでにFurui Rihoの音楽にハマっている人にとっては待望の作品であり、また、まだ知らない人にとっては彼女を知るきっかけになるであろう、1stアルバム『Green Light』がリリースされた。全曲シングルカットできるような名曲ばかりが収録されており、これまでのFurui Rihoの魅力が詰まった1枚と言えそうだが、今回は本作にかけた思い、これまでの活動や今後の展望などについて本人に聞いた。

小学生の頃にゴスペルに出会い、高校生で作詞・作曲をスタート

――Furui Rihoさんが音楽にハマり、本格的に活動を始めた経緯からお聞かせください。

Furui Riho(以下、Riho) 小学生の頃、母に地元・札幌のとあるキリスト教の教会に連れていってもらったんですが、そこでは自分と同世代の子供たちがゴスペルを歌っていました。すごい楽しそうだし、羨ましいし、家に帰った後、母に「私もゴスペルやりたい」とねだって、それから毎週日曜日は教会に通い、ゴスペルを歌うようになりました。音楽を意識するようになったのは、このゴスペルが最初でした。

また、幼稚園から小学校低学年の頃にピアノをほんのちょろっとだけ習っていたこともあり、高校生の頃にこっそり作詞・作曲などもしていました。学校の音楽の先生の目を盗んで、勝手にピアノのある部屋に行ったりして(笑)。

さらに、ゴスペルで知り合ったボイストレーナーの先生がいました。その先生のスクールに通っていたわけではなかったのですが、私が大学生の頃、「今度、うちのスクールで発表会があるから、特別に出てみないか」と言っていただき、初めてソロで歌い「ひとりで歌う喜び」みたいなものを強く感じ、そこからシンガーソングライターとして本格的に活動を始めることにしました。

他人からみて劣ることがあったとしても「自分にしかできないことがある」

――Furui Riho名義としては、当初からオリジナルの楽曲だったんですか?

Riho いえ最初はマライア・キャリーミニー・リパートンなどのカバーをやっていました。最初は「歌をうまく歌いたい」「カッコ良く見られたい」ということだけで満足だったのですが、カバーではなくオリジナルじゃないとダメだと思って、オリジナルの曲作りにシフトチェンジしていきました。

ただ、一時は「自分には価値がないんじゃないか」と思って、音楽そのものをヤメようかと思うこともありました。しかし、どれだけ他人から劣ることがあったとしても「自分にしかできないことがある」「コンプレックスに思うようなことも表現すべきだ」と思い、以降はできるだけリアルに自分のことを歌詞にするように心掛けています。

――1stアルバム『Green Light』にも収録されている「嫌い」「I’m free」は特に、そのリアルな感じが顕著です。ただ、この歌詞に至るまでは、相当自分と向き合わないといけないようにも思います。

Riho そう。それが結構しんどいんです。さらに、聴いてくれる人にも伝わりやすいように言葉を紡いでいくので、正直「苦しいなぁ」「なんでこんな辛いことをやってんだろ?」と思うこともあります。でも1曲が仕上がったときの喜びがヤメられなくて。なので、「苦しんでは喜び、苦しんでは喜び」の繰り返しで音楽を作っています。

あと、私が音楽をやるベースにあるのは、「自分を成長させたい」ということなんです。死ぬときに「私は音楽を創ることで大人になれた、いい人間になれた」と思えたら良いなっていう。絵を描く人とかもきっとそうだと思いますけど、自分の作品を作りながら成長して、さらにいろんな人と出会い、いろんな人から愛をもらい、愛をあげてゴールできたら良いなと思っています。

「もう無理だ」というところまで作り込む楽曲制作

――しかし、音楽そのものは決して重いものではなく、ポップで、どんな人にも受け入れやすいものです。音は聴きやすくカッコ良いのに、歌詞はすごいリアル……といった点から、これまでの日本の女性R&Bシンガーの作品とはまったく違う印象も受けました。
どの曲も、仮にアレンジやレイヤーなどを加えず弾き語りなどでやっても、そのすごさを実感できるであろう曲ばかりですし。

Riho そう言っていただけるとうれしいですね。私はかなりこだわりが強いみたいで、たぶん誰かが聴いても「そんなこと、どうだって良いだろう」みたいなこと……例えば、ハイハットの音の3つめをほんの少しだけ下げるみたいな曲作りをしています。そういったことが1曲ごとに何個もあるので、これもまたしんどいのですが、でもやっちゃうんです。

――「これで完成」となる線引きはどういったところなのでしょうか。

Riho それはだいたいいつも「時間」です(笑)。時間的な制限のあるところまで突き詰めていって、「もう無理だ」という時間になったところで完成になることが多いです。

札幌と東京を行き来しての活動で、心のバランスが取れる

――現在も札幌を拠点に活動をされていますね。

Riho シンプルに「北海道が好き」っていう理由ですけど、ただ、ここ数年でちょくちょく東京に来るようにもなりました。この2拠点での活動は、すごいバランスが取れて良いなと思っています。完全に都会を拠点にすると、私は疲弊しちゃうような気がするのですが、東京と札幌を行き来することで、心のバランスが取れているように思います。

――ライブも熱心にされていますが、札幌・東京で違いを感じることはありますか?

Riho 東京でのライブのお客さんは、メチャクチャ温かい人が多い印象です。演奏にすぐ盛り上がってくれるし、楽しんでくれます。一方、札幌はシャイな人が多いのか、一見静かな人が多いんですよ。でも、胸に秘めるアツい思いを感じたりもして、きっとマスクの下ではすごい笑顔でライブを楽しんでくれているんだろうなって思っています。どちらもうれしいですけど、こうやって札幌・東京で反応の違いを感じられるのも面白いなと思っています。

「青信号(=『Green Light』)」でさらなる前へ!

――『Green Light』は、「青信号」という意味のようですが、このタイトルに込めた思いはなんだったのですか?

Riho 過去3年間の活動を全部詰め込んだアルバムですが、ただ過去を振り返るだけでなく、このアルバムからどんどん前に進んでいくぞ! っていう意味を込めて「青信号(=『Green Light』)」にしました。今はやっと青に変わって動き出せるってところです。

さっき言った通り、自分が音楽をやる意味は「自分を成長させるため」ですけど、一方で聴いてくれる人がいて初めて成り立つものでもあります。私以外の誰かにとって、私の音楽が人生のプラスになってくれるのだとしたら本当にうれしいし、音楽をやる意味にもなります。ですので『Green Light』はひとりでも多くの人に聴いていただけるとうれしいですね。

Text:松田義人 Photo:吉田圭子 / tatsuki nakata

<リリース情報>
Furui Riho 1stアルバム『Green Light』

Now On Sale
価格:2,530円(税込)

Furui Riho『Green Light』ジャケット

【収録内容】
1. Purpose
2. I'm free
3. Sins
4. 青信号
5. Candle Light
6. でこぼこ
7. 嫌い
8. ABCでガッチャン
9. Rebirth

<ライブ情報>
『Furui Riho 1st album “Green Light” release tour』

※終了分は割愛
3月25日(金) 大阪CONPASS
開場 18:00 / 開演 19:00
料金:3,500円

3月27日(日) 札幌PENNYLANE24
開場 17:00 / 開演 18:00
料金:3,500円

INTERSECTION

4月28日(木) GRIT at Shibuya
開場 18:30 / 開演 19:00
料金:前売3,500円 / 当日4,000円
出演:Furui Riho / Foi / Sala

※各公演の詳細はこちら:
http://www.riho-music.com/schedule/

プロフィール

Furui Riho
自身のルーツであるゴスペルから生まれた、ソウルフルな力強さそして透明感のある歌声を武器に、自身で作詞・作曲・編曲に携わる表現者。グルービーなサウンドだけではなく、心に訴えかけるそのリリックは彼女の人生そのものである。
2019年に発表した配信Single「Floating feat. K-over」は2020年開催の北海道を舞台にした、コンベンション“No Maps”テーマソングに起用。2020年7月にリリースした「I’m free」はラジオ局パワープレイや、各所サブスクリプションサービスで多数のプレイリストにリスインするとたちまちリスナーは拡大し、リリースから間も無く10万回を突破。 同年12月には名だたるアーティストのプロデュースを手がける若きトラックメイカー“maeshima soshi”が参加したRemixをリリース。拠点を地元北海道に置きFM NORTH WAVEでは初のレギュラーラジオ「ななめに、ラブい。」がスタートと、2020年は飛躍の年となった。2021年にはフジテレビ“Tune”では2021年NEXT BREAK ARTISTとして紹介、更に全国ラジオ局5局が加盟するJFLセレクトする“MUSIC FOR THE NEXT”に選出され、2度のライブツアーを成功させる。
2022年にいよいよフルアルバム『Green Light』をリリースし、飛躍の契機となった「I’m free」がリリースから時を経て、じぶんクリニックのブランドムービーCMソングに起用されるなど、人気爆発寸前の大注目シンガーソングライター。


関連リンク

オフィシャルサイト:
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Furui Riho