映画「大怪獣のあとしまつ」で企画・プロデュースを担当した須藤泰司氏と、同作プロデューサー・中居雄太氏が、「ORICON NEWS」の取材に応じ、賛否両論が巻き起こった同作について言及している。

「この死体、どうする?」をキャッチコピーに、“巨大怪獣が死んだ後の後処理”にスポットを当てた同作。2月4日の公開後、ネットやSNSには「#大怪獣のあとしまつ」とハッシュタグを付けた様々な感想が飛び交うと、主演のHey! Say! JUMP山田涼介も「思わずツッコミを入れてしまった」というエンディングには厳しい声が寄せられた。

 映画サイト「映画.com」では417件のレビューにおいて、「2.4」という点数が付され、「Yahoo!映画」にも、1479件のレビューが集まり、5点中、2.2点と低い評価が下されている。

 こうした映画ファンたちの辛口な声に対し、中居氏は、「予想外でした」と驚くと、山田涼介演じるアラタ、ユキノ(土屋太鳳)、雨音(濱田岳)による三角関係への反応を期待したが、同作の特撮部分やギャグ要素が大きな比重を占め、「伝えたかった三角関係の部分が伝わっておらず、そこが予想外でした」と語っている。

 須藤氏も、ラストの巨大ヒーローによる問題解決のオチの真意が「ほとんど通じておらず驚きました」とコメント。また、「本作の風刺的な要素に関しては、新聞世代(昭和世代)には概ね理解されて楽しんでもらえたようなのですが、特に、若い人々に伝わっていないことが発見でした」とも述べた。“怪獣のあとしまつ”を描くという「着眼点のよさを生かしきれなかった?」との質問には、中居氏は、「テーマに対する着眼点をもとに、三木聡監督にしか作れない作品になったと自負しております」としつつ、やはり、「三角関係が伝わらなかったために、『期待外れ』が生まれてしまったとも思います」と回答した。さらに、「事前の宣伝から予想した内容と実際が違いすぎる」との意見が見られることについて、須藤氏は、同作に「シン・ゴジラ」のような、真面目でシリアスな作風を期待する人が多かったと言及。「本作は『時効警察』の三木聡監督作品、さらに、タイトルが平仮名で『あとしまつ』と表記していたり、大怪獣“希望”が片足を上げてユーモアな死に際になっているあたりから、完全にシリアスな作品ではなくコメディ要素もあることが観客に伝わると考えていましたが、これまた予想以上に伝わりませんでした」と語った。

「同作を視聴した人の感想には、コメディ要素が想像以上に多くを占めていたことに驚く声や、タイトルにも含まれる『あとしまつ』までの具体的なプロセスを、より“真面目に”描いてほしかった、などといったものも見られました。そうした声に対し、両氏は事前の予告編や宣伝などで作品の雰囲気を上手く伝えることができず、風刺的なストーリーについても、とりわけ若い世代に伝わっていなかったことが発見だったと表現しています。

 この2人の説明に対し、ネットでは、『なんか評価が低いことを、映画を観る側に問題があるような言い方に聞こえてしまう。もしくはただの負け惜しみ。伏線や考察は確かに重要な要素ですが、解く楽しさが伴わないと、ただ解りにくく作れば秀作というのは大きな間違い』『観客が理解力ないみたいなコメントはどうかと思います』『三角関係とかじゃなく、PR通り、ちゃんとした大怪獣のあとしまつを観たかったんです。時効警察の人だからとか、あとしまつがひらがなだからとか、そんなもので映画の内容は縛られないのに、察してほしいとか、客のせいにしてしまうのも違うと思いました』『そもそも伝えるための技術とセンスがあまりにも足りなかった』などと疑問視する声が大半に。まるで観客側の理解が追い付いていないことが原因だとするような見解となったことにも、強い反発が集まっています」(テレビ誌ライター)

 なお、ネットでは、同作に殺到した大量のブーイングの“あとしまつ”のほうが怪獣よりも大変だと揶揄する声もあり、良くも悪くも、大きな注目が集まる作品だったと言えそうだ。

アサジョ