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 中国の湖北省には、世界で最も孤独な動物園がある。そこにいるのは、病気や障がいを抱えた動物たちばかりだ。

 過去30年以上にわたり、そんな動物たちの世話を献身的に続けてきた男性は、現在81歳となった。動物好きな彼は今も動物園を運営し、行き場のない動物たちの世話を続けている。

【画像】 世界一孤独な動物園を30年以上運営するおじいさん

七旬老人开动物园30年,证件过期或停业

 中国の湖北省恩施トゥチャ族ミャオ族自治州フェニックス・マウンテン・フォレスト・パークに、世界で最も孤独な動物園と呼ばれる小さな動物園がある。

 この動物園を運営しているのは、81歳のルオ・インジウさんだ。

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 もともと動物が大好きなルオさんは、路上であらゆる種類の動物たちが、病気を患い障がいを抱えているにもかかわらず売られている姿を見ていて、いつも心を痛めていた。

 そしてある日から、ルオさんはそうした動物たちを購入し、自宅へと連れ帰るようになった。

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 動物たちが健康を取り戻すよう、ルオさんは献身的に世話をした。やがて元気になった動物は野生へと放されたが、回復しない動物たちはそのままルオさんが自宅で世話を続けていた。

 ルオさんの家は、いつの間にか動物たちの避難所になった。すると、噂を聞きつけた地方自治会の職員がルオさんを訪問。多種の動物を家で飼うことは、近所にとって非衛生的となり、問題であると指摘した。

 そこで自治会は、適切な動物保護施設を設立するために、ルオさんに財政援助を申し出てくれた。それが「世界一孤独な動物園」の始まりだった。

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一般公開されるもほとんど来場者は現れず

 1989年7月7日、一般公開された「世界一孤独な動物園」では、尾を切られたトラや完全に毛が抜け落ちてしまったライオンなどの大型動物の他、あらゆる種類のエキゾチックな動物が飼育されていた。

 しかし、動物たちはいずれも年老いており、病気や障がいを抱えていたため、動物園に来場者が訪れることはあまりない。

 今日、ルオさんはたった10元(約180円)の入場料で動物園を運営しており、1日1枚の切符が売れれば幸運といった状況だという。

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おじいさんの年金代のほとんどが動物へ

 どんなに人が来なくなっても、動物たちの餌や薬代を賄うために運営を続けて行かなければならない。

 ルオさんが月に1度もらう年金代3千元(約55000円)のほとんどは、動物の世話に費やされる。

 日々の暮らしもままならないルオさんを見た周りの人は、「動物園を閉鎖して、穏やかな老後を過ごしてはどうか」と勧めるが、ルオさんはそれを拒否し続けてきた。

動物園を閉鎖したら、動物たちはどこへ行くのですか?障がいや病気を持った動物たちは、野生では生き残っていけません。
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献身的な動物への愛で世話を続けるルオさん

 現在、ルオさんの動物園には犬や馬、猿や片足しかないツキノワグマがいる。どんな動物にもルオさんは精いっぱいの愛情を注いで世話をする。

 動物たちが旅立てば、ルオさんは近くの丘にいつも埋めに行く。

 最後の最後まで、動物たちに献身的に尽くしているルオさんは、「これまで世話をしてきた全ての動物の名前を覚えているよ」と笑う。

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 最近になって、この小さな動物園でルオさんが33年間どのように動物たちの世話をしてきたのかということを知ってもらおうと、ルオさんの孫娘は中国の動画共有プラットフォーム「Bilibili」でアカウントを開設し、動物園の紹介を始めた。すると、多くのユーザーらからの反響を呼んだようだ。

 最後にルオさんは、このように語っている。

動物と人間は、平等に生まれてきます。私たち人間は、動物の生存権を尊重しなければなりません。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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病気や障がいをかかえた動物たちを30年以上にわたって世話をするおじいさん「世界一孤独な動物園」