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クボタカイが昨日3月22日に東京・渋谷CLUB QUATTROにてワンマンライブ「シン・クボタ」を開催した。

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自ら制作する聴き心地のよいトラックや文学的な香りをまとったリリックとマッチした、日常を切り取ったかのようなミュージックビデオが好評を博し、adieuやSnow Man、Hey! Say! JUMPらへの楽曲提供でも話題を集めるクボタ。23歳の誕生日当日に行った本公演は、彼にとって初めてのバンド編成のワンマンライブで、木下哲(G / 礼賛)、森谷優里(Key / ポチ)、村田シゲ(B / □□□)、GOTO(Dr / DALLJUB STEP CLUB、礼賛)からなるバンドを従え、未発表曲や3月23日配信の新曲「ナイトイーター」を含む全19曲が披露された。

バンドメンバーに続いてステージインしたクボタは、2019年にリリースした自主制作盤にも入った初期曲「Wakakusa Night.」でライブをスタート。冒頭のアカペラで優れた歌唱力を見せつけ、そこにバンドサウンドが加わると、グルーヴィなアレンジで届けられる楽曲にオーディエンスが色めき立つ。クボタは「渋谷の中で最高な夜にしましょう!」と観客に呼び掛け、アップテンポな「Youth love」で歯切れのいいラップを披露。アンニュイな雰囲気の「春に微熱」やミッドテンポのチルなナンバー「Sunset City」でフロアを酔わせたあとは、東京に冷たい雨が降ったこの日にぴったりな「博多駅は雨」で歌詞にある「博多駅」を「渋谷駅」に変えて歌ってみせた

開放感のある歌のメロディと密度の高いラップが往復する「インサイダー」で観客を踊らせたクボタ。地元である福岡からこのライブのために東京のホテルに向かう中で起きた出来事で会場にひと笑いを起こしたあと、「拝啓(Freestyle)」に乗せて、今の気持ちを得意のフリースタイルラップで届ける。甘く切ない一夜を描いた人気曲「ベッドタイムキャンディー2号」では、木下によるエモーショナルなギターソロがクボタのスイートな歌声を彩った。

創作者としての決意を歌ったファンキーなナンバー「ひらめき」、繊細で個性的な歌詞が聴く者の胸を打つポップなラブソング「ピアス」という2曲の未発表曲を披露したあと、クボタは改めて「23歳になりました。もうおじさん(笑)」と誕生日を迎えた心境を明かす。その横で顔をしかめる43歳の村田に「おいくつ?」と冗談交じりに尋ねつつ、来場者に「23歳以下の人ー?」と問いかけると、半数近くの手が挙がり、その結果にクボタとバンドメンバーも驚いた様子を見せた。森谷がバースデーソングを弾き、観客から拍手でお祝いされたクボタは「23歳も音楽がんばって行くぞー!」と意気込み、その勢いのまま人気曲「TWICE」を披露。さらにダンスチューン「MIDNIGHT DANCING」をたたみかけると、フロアはこの日一番の盛り上がりとなった。パワフルなバンドサウンドに乗せて強烈なリリックを放つ「ナイトイーター」を経て、クボタは人気曲「エックスフレンド」で再び会場にチルな空気をもたらす。新曲「ノンレム」では、深くリバーブのかかったピアノサウンドが浮遊感を演出する中で繊細な歌声を響かせ、観客はその切ないメロディに真摯に耳を傾けた。

「昔も今もこれから先もきっと、自分のことを好きになりきれない。だから好きな自分になるために音楽をしています。みんなと同じように悩んで、裏アカに書くように歌詞を書いたら聴いてくれる人たちがいた。自分を好きになるためにはみんなのことが必要なんです」とファンにメッセージを伝えたクボタは、美しいリリックでリアルな感情をつむいだ、彼の代名詞とも言える楽曲「MENOU」をギターを弾きながら披露。最後は「僕が死んでしまっても」を点滅する照明と激しいバンドサウンドの中で、吠えるように歌い、本編の幕を閉じた。

アンコールでは「アフターパーティー」の弾き語りに加え、ヒット曲「せいかつ」がバンド編成で届けられた。ライブを完走したクボタは名残惜しそうにステージをあとにした。

クボタカイ「シン・クボタ」2022年3月22日 渋谷CLUB QUATTRO セットリスト

01. Wakakusa Night.
02. Youth love
03. 春に微熱
04. Sunset City
05. 博多駅は雨
06. インサイダー
07. 拝啓(Freestyle
08. ベッドタイムキャンディー2号
09. ひらめき(未発表曲)
10. ピアス(未発表曲)
11. TWICE
12. MIDNIGHT DANCING
13. ナイトイーター
14. エックスフレンド
15. ノンレム(未発表曲)
16. MENOU
17. 僕が死んでしまっても
アンコール
18. アフターパーティー
19. せいかつ

クボタカイ(撮影:ヤオタケシ)