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 1992年、無為に終わった数十年にわたる捜索の末に、ついに2300光年離れたパルサーの周囲で初の太陽系外惑星が発見された(それも2個も!)。

 それから20年経った今、5000個を超える太陽系外惑星が見つかったことが、NASAから正式に発表となった。

 NASA太陽系外惑星アーカイブによって新たに発見されたのは、60個の系外惑星だ。さらにほかの天文台でも5個発見されており、これで人類が知る太陽系の外にある惑星は合計5005個になった。

 こんなにたくさん発見されたということは、その中に生命を宿す惑星が含まれているのではないかと期待してしまう。

【画像】 スーパーアースとミニ・ネプチューン

 これらの惑星の多くは、地球より大きく海王星より小さい、『スーパーアース』と『ミニ・ネプチューン』で、岩石と揮発性物質が豊富な惑星だ。

 スーパーアースとは、太陽系外惑星のうち地球の数倍程度の質量を持ち、かつ主成分が岩石や金属などの固体成分と推定された惑星のこと。

 ミニ・ネプチューンとは、スーパーアースから海王星程度以下の質量を持つ惑星で、水素とヘリウムのからなる厚い大気を持ち、氷や岩石による厚い層を持つか、あるいは深い海を持っていると推測されているものだ。

 NASA太陽系外惑星アーカイブの研究者ジェシークリスチャンセン氏はプレスリリースでこう語っている。

[もっと知りたい!→]夜の空から鉄の雨が降る。灼熱の太陽系外惑星が観測される(スイス研究)

いくつか木星サイズの惑星も見つかっており、木星の4倍の質量を持つ系外惑星『スーパー・ジュピター』すら1つ発見されました

 NASA太陽系外惑星発見5000突破を記念して、動画を作成した。

5,000 Exoplanets: Listen to the Sounds of Discovery (NASA Data Sonification)

生命を宿す惑星はあるか?

 今回発見された太陽系外惑星の中で、ひときわ好奇心をそそるのが、「K2-384」という恒星に属する5つの系外惑星だ。

 主星は薄暗く、惑星は岩石質で、生命発見の最有力候補とされる「TRAPPIST-1」と比較されることになる。

 以前からK2-384には2個の惑星があることが知られていた。そのうちの1つ、「K2-384 b」は地球よりわずかに大きい程度だが、現時点で生命が存在できるとは考えられていない。

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[もっと知りたい!→]地球外生命体を探し方。太陽系外惑星の反射光に隠された”コード”から居住可能性を判断する方法(米研究)

image credit:K2-384 b / NASA

 一方、その兄弟である「K2-384 f」は地球の2倍ほど。

 その大きさと主星との距離のおかげで、兄弟惑星の前を通過したときに大気の構成を観察できるのではと期待されている。

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image credit:K2-384 f / NASA

太陽系外惑星の見つけ方

 1992年太陽系外惑星が2個発見されて以来、いくつもの検出方法が考案され、その発見を加速させていった。

 というのも、それ以前に行われていた恒星の微かなふらつきを検出するやり方「アストロメトリ法」では、ほとんど成果が上がらなかったからだ。

 1980年代までに、公転する惑星によって引き起こされる恒星のふらつきは、光のスペクトルによっても探されるようになった。

 「ドップラー法」はアストロメトリ法の改良版のようなもので、恒星の空間的な位置ではなく、光を解析して、その変化から恒星のふらつきを知るのだ。

 1988年、この方法によって「ケフェウス座ガンマ星A b」が発見されたが、これは後に撤回されている。

 この方法ではっきりと存在が確認された最初の系外惑星は、1995年の「ペガスス座51番星b」だ。太陽に似た恒星を公転する系外惑星として、初めて発見されたものでもある。

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ペガスス座51番星b image credit:NASA

 1999年には「HD 209458」という星が注目された。木星大の系外惑星が1個あることで知られている星だ。

 だがこのときはスペクトルを解析するのではなく、恒星と地球の間を惑星が通過したときの、星の光のかげりを検出するべく試みられた。

 この実験は成功し、「トランジット法」と呼ばれるこの方法は、2000年代後半から2010年代にかけて一気に開花。その後、数千もの惑星発見につながった。

 ほかにも、星を虫眼鏡がわりにしてその背後にある惑星を検出したり、星が惑星に反射した光を探したりと、いろいろな方法がある。

 だが、これまでに発見された系外惑星の76.8%はトランジット法によるものだ(2番目はドップラー分光法で18.3%)。NASAのケプラー宇宙望遠鏡やTESS(トランジット系外惑星探索衛星)は、この方法で数多くの系外惑星を発見してきた。

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太陽系の外には膨大な数の惑星が存在

 太陽系の外に無数の惑星が存在するだろうことはわかっているが、それがどのくらいあるのかは不明だ。大気の詳細・水の有無・生命存在の可能性といったこともほとんどわからない。

 これまで発見された系外惑星のうち、主星との距離や大きさから生命が存在できるだろうと考えられるものは、21個だけ。ただし、地球の常識に照らしての話だ。また、条件は悪いが、やはり生命が存在できる可能性がある惑星はほかにもある。

生命体が存在する可能性があると言われている21個の惑星

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image credit:Planetary Habitability Lab at University of Puerto Rico Arecibo

 これらの惑星は、暑すぎも寒すぎもせず、おそらく大きすぎもしないため、生命捜索の最有力ターゲットである。

 これまで、こうした惑星を調査することは難しかった。しかし最近打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ならば、恒星の前を通過する系外惑星を観察できると期待されている。

 大気の存在を明らかにし、その特徴を分析するなど、ハッブル宇宙望遠鏡では無理だったことができるようになるのだ。

 先述したTRAPPIST-1を公転する7個の惑星は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にとって最優先の観察ターゲットである。

ames Webb Space Telescope will study Trappist-1's potentially habitable planets

まだまだ未発見の惑星がいっぱい

 なお、これまでの発見は、驚くべき統計データをもたらしている。

 「5000個の系外惑星のうち、4900個が地球から数千光年以内にあります」とクリスチャンセン氏は語る。

銀河の中心まで3万光年あることを考えてみてください。これまで見つかった系外惑星がごく狭い範囲に集中していることを考えると、この銀河には未発見の惑星がまだまだたくさんあるのでしょう。1000億から2000億個と推定されるのですから、とんでもないことです

 いつの日か、5005という数字が大したものに思えなくなる日も来るだろう。だが、今日のところは、祝杯を上げよう。

NASA confirms 5,000 Planets – and Counting

References:Cosmic Milestone: NASA Confirms 5,000 Exoplanets / Exoplanet Count Tops 5,000 | www.caltech.edu / written by hiroching / edited by parumo

 
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5000を超える太陽系外惑星が発見されていた。NASAが報告