イギリス政府がチェルシーに対して発行している「特別ライセンス」を変更したことで、一部チケット販売が可能となったようだ。23日、イギリスメディア『BBC』や『スカイスポーツ』などが伝えている。

 イギリス政府は今月10日、ウクライナ侵攻を行うロシアウラジーミル・プーチン大統領との関係が深いとして、チェルシーオーナーを務めるロマン・アブラモヴィッチ氏ら7名のオリガルヒに制裁を科した。アブラモヴィッチ氏が資産を凍結された影響で、チェルシーはチケット販売、グッズ販売、選手獲得、新契約の締結などの営業活動が禁止されている。

 それでも、英国政府はチェルシーに対して「特別ライセンス」を発行し、同クラブの活動続行を許可。これにより、シーズンチケットを持つ人、すでにチケットを購入していた人のみ試合観戦が可能に。また、給与の支払いのほか、納税やメンテナンス、警備、飲食提供などの一部出費が認められていた。

 今回、この「特別ライセンス」が変更され、チェルシーファンはアウェイゲーム、カップ戦、女子チームの試合のチケットを購入できることとなった。なお、チケット販売で得られる収益は直接プレミアリーグに送られ、その後関係者に分配されることになるという。

 ただし、ホーム開催のプレミアリーグでは制限があり、これまで通りシーズンチケットを持つ人、すでにチケットを購入していた人のみ観戦が可能に。一方で、チェルシーの本拠地を訪れるアウェイサポーターはチケットを購入することが可能となるが、すべての収益はプレミアリーグに送られる。

 スポーツ大臣を務めるナイジェル・ハドルストン氏は「政府は本日、チェルシーのライセンスを変更し、ファンがアウェイゲーム、カップゲーム、女子チームの試合チケットを購入できるようにした」と言及し、次のように続けた。

「これを可能にするためにサッカー当局と協力してきた間のファンの忍耐には感謝したい。ロマン・アブラモヴィッチがウラジーミル・プーチンとの繋がりで英国の制裁リストに追加されて以来、制裁体制が引き続き実施されるようにしながら、クラブがサッカーを続けられるように幅広く取り組んできた」

 また、プレミアリーグのスポークスマンは「チェルシーが要請し、プレミアリーグもこの収益がウクライナでの戦争の犠牲者に利益をもたらすために慈善団体に寄付されることで合意した。受益者となる慈善団体はクラブと協議した後、発表される」とチケット収入から得られた追加収入はウクライナの難民などを支援する慈善団体に寄付されることを明らかにしている。

 これにより、今後FAカップやチャンピオンズリーグ(CL)などの試合でファンはチケットを購入することが可能に。ただ、現在の制裁に準拠し続けるため、収益はプレミアリーグを経由してチェルシーではなく、関連する大会主催者またはホームクラブ(試合開催地のクラブ)に送られることになるようだ。

一部チケット販売が可能となったチェルシー [写真]=Getty Images