代替テキスト

昨年から続く“値上げラッシュ”は、この4月からがいよいよ本番。身近な日用品から嗜好品、公共料金まで……値上がり品目を事前に把握して、家計の防衛策をしっかり立てておこう――!

「これから、私たちの生活に関わる多くの商品の値段がじわじわと上がってきます。しかも、この値上げラッシュは今年で収まるどころか、数年にわたって続くことが考えられますので、今までどおりのお金の使い方をしていますと、家計がもたなくなってしまう恐れが出てきます。’22年は、抜本的な生活の見直しが必要になってくるでしょう」

そう警鐘を鳴らすのは、世界の経済事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。値上げは生活必需品にとどまらず、光熱費地下鉄などの運賃、民間保険の保険料にも及ぶという。

家計を預かる主婦にとって“値上げ”は頭が痛いが、「できることはあります」と言うのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。

「まず、食費の予算は1カ月に1人あたり2万円が理想。外食費を交際費や遊興費に組み入れる家庭もありますが、それでは支出は抑えられません。“貯め体質”の家計をつくるためには、食費の中に外食費を含めてやりくりをしましょう。もちろん買いすぎにも注意が必要。買い物の頻度を3日に1度にして、食材は使い切ることをおすすめします」(丸山さん・以下同)

どうしても「お酒が飲みたい」「スイーツが食べたい」というときは、家族各自のお小遣いから捻出してもらうようにするのがコツ。

「お菓子はなるべく買わないようにしましょう。わが家のおやつの定番は大学いもで、作り方も簡単です。カットしたさつまいもオリーブオイルをかけて、オーブンでチンするだけ。特に、シニア世代は“必要かもしれない”消費をやめること。たとえば『孫が遊びに来たときに食べたいと思うかもしれない』と、お菓子やスイーツを買い込む傾向があります。今、必要ではない食べ物は買わないことを徹底しましょう」

外出時の飲み物も、家で入れたお茶を持参するように。ペットボトルのドリンクやテークアウトのコーヒーは買わないのが基本。

また、レシートはとっておいて、買った食材を使い切ったかどうか必ずチェックしよう。使い切れなかった、消費が遅いものは次に買わない目安になる。米や肉、季節の果物などは「ふるさと納税」の返礼品を活用する手もある。

さらに、調理の際のちょっとした工夫も節約につながる。

「野菜やお肉を小分けにして冷凍保存すれば調理も簡単です。たとえば、鶏むね肉は、下味をつけて200グラムぐらいずつ小分けにしたものをラップで包み冷凍保存。使うときにきのこやブロッコリーと炒めます。豚こま肉も130グラムぐらいずつ小分けにしたものにチーズや塩昆布を入れて丸めておけばすぐに調理できます。豚ひき肉も同様に保存しておけば、ハンバーグやキーマカレーを作るときに大活躍です」

■値上げを乗り切るための「節約」To Doリスト10

【1】お米中心の食生活に切り替える

パンなどに比べて1食あたりの価格が安いお米をフル活用。

「わが家では圧力鍋で1回に7合炊いて、1膳分ずつ小分けにして冷蔵庫に。食べるたびに電子レンジで温めれば、食べすぎを抑えられるだけでなく、保温する必要がなくなり、電気代の節約にもなりますよ」(丸山さん・以下同)

【2】魚のアラや野菜くずは出汁に活用

魚のアラや野菜のくずは捨てずに、もう一度煮込むと出汁が取れる。

「それを料理に使えば、調味料の節約にもなりますし、体にもいいので一石二鳥です」

【3】カレーの後はスープで鍋を“掃除”

カレーの後の鍋は洗うのが大変だが、野菜と水、調味料を入れてもう一度煮込めば、鍋にこびりついたカレーがきれいに取れてスープに変身。後片付けも簡単に!

【4】お肉は3日に1度のまとめ買い

毎日買い物に行くとお金を使ってしまうので、丸山家では3日に1度のまとめ買いが基本。

「一度に買うのは鶏むね肉2キロ、豚こま切れ肉1.3キロ、豚ひき肉約1キロ(2人分)。小分けにしてラップに包み冷凍保存。そのまま炒め物や鍋料理に使えるので便利です」

【5】昼ごはんの菓子パンはNG

丸山さんは1個100円でも菓子パンは買わない主義。

「100円の6枚切り食パンを買って、1枚ずつシュガーバターなどでアレンジして食べれば、菓子パン5個分が浮く計算になります。菓子パンから食パンアレンジへ!」

【6】冷凍食品は保存袋で自家製しよう

冷凍食品も値段が上がってきているので、買わないで自分で作ろう。

ブロッコリーほうれん草は洗浄後、カットして、ジップロックなどの保存袋に入れて冷凍保存すれば2週間ぐらいはもちます。冷凍食品は買わずに手作りにしたほうが断然安上がりです」

【7】迷ったら野菜はもやしチョイス

低価格でも栄養価の高いもやしは、節約の味方。

「野菜も燃料費の高騰で値上がりしているので、高い野菜は無理に買わず、その時々の安い野菜を買います。もやしは一年中安いので副菜におすすめです!」

【8】ふるさと納税で切り落とし肉を

丸山家では牛肉や野菜は「ふるさと納税」の返礼品を活用しているという。

「牛肉はロースではなく、たくさん入っている切り落としを選びます。また、野菜は市場価格も意識しながら、なるべく量が多くもらえる返礼品を選んでいます」

【9】コインランドリーを活用する

燃料費の高騰でクリーニング店も値上げが続いている。

「セーターやダウンも手洗いが基本です。洋服を買うときには手洗いできるか確認しましょう。羽毛ふとんも対応する洗濯機のあるコインランドリーで洗ったほうが安く上がります」

【10】電気・ガスの一本化で光熱費を圧縮

節約はしたいが、冷暖房を適切に使わないとかえって体調を崩すことも。

「エアコンをこまめに切るよりも、電気・ガスをまとめて契約したほうが、料金の節約につながります」。

ネットで簡単に比較できるので活用しよう。

おいしく食べれば「節約」という意識が消えて楽しくなる。できることから少しずつ、エンジョイしながら変えていこう!

PROFILE

加谷珪一

経済評論家東北大学卒業後、日経BP社、投資ファンド運用会社を経て現職。『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』(幻冬舎新書)など多くの著書がある

丸山晴美

節約アドバイザー。頭金を貯めて20代でマンションを購入した経験を生かして節約アドバイザーに。FP、消費生活アドバイザー、調理師などの資格を持つ。『節約家計ノート2022』(東京新聞)など著書多数