東京カレンダーWEBサイトで2018年から連載された小説を人気漫画家ふるかわしおりがコミカライズした『恋と友情のあいだで』が、堀田茜と泉澤祐希のW主演でドラマ化。


大学時代に同じゴルフサークルで出会った、ヒロイン・相沢里奈とサークルの人気者・一条廉という、恋と友情のあいだで揺れる2人の人生を「里奈Ver.」「廉Ver.」とそれぞれの視点から描く同作。

10年間、互いを思いながらすれ違い続ける2人を繊細に演じる堀田と泉澤に、本作の魅力や舞台裏、自分たちのターニングポイントとなった出来事などを聞いた。

堀田茜は「正反対な役」 泉澤祐希は「新しい一歩」


──撮影現場はどういった雰囲気でしたか? 


堀田:ベテランのスタッフさんたちがテキパキと動きながら、時に親父ギャグを交えながら楽しく進んでいるような現場で、とても楽しかったです。


泉澤:里奈Ver.、廉Ver.と本が2冊あるんですよね。それをまとめて撮るので複雑なところはあります。モノローグの間の表情なども意識しながら撮るので苦労する部分もあるんですが、現場の雰囲気としては楽しく進められているのではないかなと思います。


──里奈を演じるうえで、どんな工夫をしましたか?

 

堀田:里奈は私とは正反対の役柄なので、 “港区女子”がどんな人物像なのかを、SNSなどでリサーチをしましたね。1人の女性の10年間を描いた作品ということで、里奈がいろいろな経験を経て成長する過程の、その時々で「大事にしていること」も違うんじゃないかなと思いましたので、年代・年齢ごとに、その時々の一番大事に思っていることを想像しながら演じるようにしていました。誰しもがジレンマトラウマにさいなまれて生きているのかな、と感じましたね。


──泉澤さんは今作で廉を演じてみてどんな感想を持ちましたか?


泉澤:こういう恋愛のドラマをやったことはなかったので、今回は新しい一歩を踏み出しているような感覚がありました。やるならとことん、という感じでしたね。そこまでやっちゃえば、もう何も怖いものはないとも思えました。


堀田茜、泉澤祐希は「意外とひょうきんなところもある」


──今回で初共演というお2人ですが、お互いの印象はどうでしたか?


泉澤:僕はどちらかというと、テレビで見ていた堀田さんのイメージ通りでした。気遣いができて、人のことをよく見ていそうな感じがします。スタッフさんがたまに言うギャグとかに笑っているところを見るので、ちょっとした小言もよく聞いているなという印象があります。


堀田:ギャグに関しては、拾わないとその後の空気が心配で(笑)。


泉澤:めちゃめちゃ気遣ってるじゃないですか(笑)。年上の方にすごくモテそうな感じですよね。


──堀田さんはいかがでしょうか。


堀田:泉澤さんには“寡黙な役者さん”というイメージが強かったですね。真面目で、あまりギャグとかは言わなそうなイメージだったのですが、意外とひょうきんなところもあるんですよ。『森のくまさん』を鼻歌で歌ったり、急に意味がわからないことを言い出したり(笑)。突拍子もないようなところにすごく親近感が湧いて「良かった」と思いました。


──泉澤さんもギャグを言うんですね。


泉澤:そんなにギャグマシーンではないですよ(笑)。でも現場を明るくしようとはしています。


堀田:助かっています(笑)。


2人の理想のパートナーとは


──今作では友達以上恋人未満な関係がテーマになっていると思いますが、お2人は男女の友情は成り立つと思いますか?


堀田:永遠のテーマですよね。人によってはある、と思いたいです。お互いが友情を大事にしたいと思い合っているならば成立して行くと思います。でもお互いがそう思っている確率は低いと思いますけどね。


泉澤:相手次第と言っちゃえば、もうそれまでなんですが、僕は成り立つと思っています。ただ、グループでの付き合いから、1対1になると意識しちゃうこともあるのかもしれないですね。


──本作で里奈と廉はすれ違いを続けてしまいますが、お2人にとって理想のパートナーとはどういうものでしょうか? 


堀田:月並みですけど、本当にくだらないことでケラケラ笑い合えるのが一番いいなと思います。小さな幸せを最大限に共有できる人が理想です。例えば、シャケの皮がパリパリにうまく焼けて「普段、シャケの皮はあまり食べないけど、この皮なら食べられるわ」とか。そういう幸せを「美味しいね、幸せだね」と共有できる人がいいですね。


泉澤:言いたいことを言いあえるのが理想ですね。言いたいことを言って、怒ってもいいんです。喧嘩になってもいいんですけど、次の日にはサラッと、何も起きてなかったかのような笑顔でいられるような人がいいですね。


──泉澤さんは感情を持ち越さないタイプですか?


泉澤:気が付いたことがあったら、いつもすぐに言っちゃいます。残しておいたことで、次の日も、その次の日も心の中にずっとあるようなのが嫌なんです。だからその場で解決して次に行くようにしています。


泉澤祐希「辞める側に決断していた時期があった」


──今作では「あの時決断しておけば」という場面が出てきますが、お二人にとって過去の決断で後悔していることや、反対に良かったなと思うターニングポイントのような瞬間はありますか?


泉澤:この仕事を続けてよかったな、と思っています。以前、仕事を辞めるか辞めないか本気で悩んで、どちらかというと辞める側に決断していた時期があったんですが、ある仕事を通して今の業界でやっていこうと決めることができました。もしそのオーディションに参加していなかったら、たぶん今ここにはいないですね。


──ある仕事、とは?


泉澤:NHKの『東京が戦場になった日』というドラマです。オーディションで主演をいただいたんですが、もし受かっていなかったとしたら、もしかしたら辞めていたかもしれません。役者って難しいお仕事だと思うんですよ。でもその作品では演じることを「楽しい」と思えたんですよね。そこから「この仕事を続けていったら面白いかもな」と思うようになりました。この仕事でなかったらこれ以上の緊張感とか刺激を味わうことはないだろうなと思えたので、今も続けることができています。


堀田茜「絶対にできると信じてやまなかった」


──堀田さんはいかがでしょうか。


堀田: 16歳から事務所には所属していたのですが、20歳くらいの頃に芸能界でちゃんと仕事ができるようになりたいと思って、本格的にお仕事をするようになったんです。いろんなオーディションに行ったり、いろんな雑誌社に行ったりして、門前払いを食らうようなこともたくさんありました。それでも諦めずに挑戦を続けて、やっとレギュラーや雑誌が決まったんです。そこから続いて今の場所にたどり着いたので、その時の自分の辛抱強さ、雑草魂のようなものに感謝していますね。


──当時は、諦めてしまおうと思うことはなかったんですか? 


堀田:思わなかったですね。その時は根拠のない自信がすごくありましたね。今は全くないんですけど(笑)。若気の至りだと思うのですが、若さがゆえに「絶対にできる」と信じてやまなかったです。今は反対に臆病になってきているので、もう一度、若さゆえのあの根拠の無い自信がほしいなと思います(笑)。


「めちゃくちゃせっかち」「何に対しても“ごま塩”」2人の意外な一面


──本音が言えずにすれ違ってしまう里奈と廉のように、お2人が普段は口にしない秘密のようなものがあれば教えてください


堀田:私は、とてもせっかちなんです。仕事が終わったら衣装を脱ぎはじめるぐらいの勢いで、全部同時進行したいんですよ。歯磨きをしながら片付けをしたり、着替えたりするぐらい。無駄な時間が生まれていないことに、すごく達成感を覚えるんです。


泉澤:僕は、あまり人との会話が得意ではないです。普段は、そんなに人の話を聞いてないので...。


堀田:聞いてもらっていいですか?(笑)


泉澤:聞いてますよ(笑)。仕事の時はもちろん聞いていますけど、適当な返しばかりしちゃうんです。突拍子もないことしか言ってないですね。


──突拍子もないこととは?


泉澤:何に対しても「ごま塩」って答えたり。そういうことです。


──ごま塩...。あまりピンときません(笑)。


泉澤:説明してもピンとこないんですよ(笑)。僕は役柄のせいか、「暗い人だと思ってた」とよく言われるんです。でも実は全然そうじゃなくて、ワイワイすることも好きなほうだし、どちらかというと盛り上げるタイプ。カラオケでも率先して歌うタイプです。


──盛り上げるタイプだけど、人との関わりは得意ではないということですか?


泉澤:得意では無いですね。だからこういう取材なんかもすごく苦手です。うまくしゃべることができているか、すごく気にしちゃうんですよ。聞かれていることに対してちゃんとした受け答えになっているのかな、とか。いつものように適当なことばかり言えればいいんですけど、お仕事なので言えないじゃないですか(笑)。


──「ごま塩」とは答えられないですよね。


泉澤:「あー、それはごま塩です」とか言っても、「え?」って言われますよね(笑)。


堀田:ある意味、話題になりそう(笑)。


──では最後に、今作で注目してほしいポイントを教えてください。


泉澤:里奈といる時と美月(美山加恋)といる時の廉の違いに注目してほしいです。今回のドラマは全部心情を語っているから「何を考えているかわからない」ってことがあまりないんです。そこもわかりやすくて面白いなと思います。その一方で、だからこそちょっとだけわからない部分を混ぜてみたいなという気持ちもあります(笑)。


堀田:学生生活から始まる1人の女性の10年間を描いていますが、その10年で里奈も変わっていくと思うんです。撮影は時系列の通りに進むわけではないので、その時々で、10代後半の里奈が大事にしていること、20代前半の里奈が大事にしていることはなんだろう、と考えながら演じるようにしていました。表情の変化などにも注目してもらえたら嬉しいです。


──ありがとうございました。


【画像】撮りおろしカットもっと見る(全21枚)


FOD配信情報】
2022年4月8日(金)0時より『恋と友情のあいだで』<里奈Ver.>を配信スタート
以降、毎週金曜0時より1話ずつ全5話を配信。 


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【クレジット】

取材・文・撮影:山田健史

ヘアメイク:最知明日香

堀田茜

スタイリスト:小川未久

ワンピース(エボニー…info@ebony00.com)

アクセサリー(ジャスティーヌ クランケ/ザ・ウォール ショールーム…03-5774-4001)

靴/スタイリスト私物

◇泉澤祐希

スタイリスト:吉田あかね

ブーツ/アール

【問い合わせ先】

アール

070-5371-9336

〒103-0025

東京都中央区日本橋茅場町2-6-8

大湯ビル404

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