23日に開幕したドバイカップU-23に、日本はパリ五輪を目指すU-21代表を送り込んでいる。3人の“高校3年生”も飛び級でエントリーしている。そのうち、現状のJ1リーグにおける実績で頭一つ抜けているのは、MF松木玖生FC東京)だ。

 青森山田高校から青赤軍団へ加入した万能型レフティーは、年代別日本代表の常連だった…という選手では実はない。代表チームの海外遠征に帯同するのは、「中3のフランス遠征以来」と本人が語るように、U-15日本代表に“DFとして”選ばれたとき以来である。

 高校3年生になってからはU-22日本代表に飛び級招集されるような評価を受けるようになったが、当時はコロナ禍の真っ最中。個人としてドイツフランスの欧州クラブへ練習参加するなど国際経験は積み上げてきているが、「日本代表として」戦う国際試合にはまた違った思いもある。

 あらためて新鮮な感触もあるようだ。

「(ドバイカップ第1戦で)クロアチアとやってみて、やっぱり日本とは身体的にまるで違うと感じた。日本とはだいぶサッカーが変わってくる。どれだけ吸収して次に取り組めるかだと思う」

 クロアチア戦は0-0の状況から後半途中に投入され、「前への意識を持って、ポケットへの進入のところやゴール前の人数が求められていたのでそこは増やしていこうと思っていた」と持ち前のアグレッシブプレーで流れを変える仕事を担った。定評のあるヘディングで跳ね返すプレーなども見せたが、あらためて「日本とはだいぶサッカーが変わってくる」相手の特徴や戦術、あるいは国際試合ならではの空気感などを感じつつ、「どれだけ吸収して次に取り組めるかだと思う」と刺激を受けた様子だった。

「まだこれからカタール戦があるので、僕はこの試合で離脱するので良い結果を求めていきたい」

 次戦の相手であるカタールは若年層の代表に大きな投資を行い、強化を図っているアジアのライバル。松木は第3戦を待たずにこの試合で離脱する関係もあり、ここで先発する可能性は高そうだ。久々の国際試合を1戦こなした上で臨むこのゲームで何を見せてくれるか。

 W杯開催国が相手ということで、予選突破を決めたA代表についても水を向けてみると、こんな答えが返ってきた。

「自分も常に高みを目指していますし、U-21代表に選ばれたからといって天狗になるタイプではないので。この遠征で得た基準を自分のチームに持ち帰って、そこからまた成長していければと思っている」

 松木の持つ最大の武器は、成長への貪欲さ。久々に代表のユニフォームに袖を通して臨むアウェイの国際試合もまた、飛躍への糧とするに違いない。

取材・文=川端暁彦

クロアチア戦では後半途中から出場した松木 [写真]=川端暁彦