アニメ『リーンの翼』のオリジナルサウンドトラックが本日より配信開始となった。

1983年富野由悠季監督自らが発表した同タイトルの小説をベースに2005年に配信された本作。音楽を担当したのは樋口康雄。オーケストラサウンドによる雄弁で壮大な楽曲群が異世界を描く 本作の世界観をよりダイナミックに彩っている。 今回の配信開始に対して監督・富野由悠季、音楽・樋口康雄からのコメントも到着している。

<富野由悠季監督コメント>

リーンの翼』の幸せ 原作・総監督 富野由悠季 

リーンの翼』の劇伴の音楽が樋口康雄氏という天賦の才能に恵ま れた作曲家の手になったことが唯一の幸せだった。 

自分にとっての思いの丈だけで執筆し制作した作品だったために、 人気が得られなかったのだが、この楽曲のおかげで、再見する気にさ せてもらえる幸せを手に入れられているからである。 

三十年以上の時が過ぎながらも、メディア環境の変化もあって、再会 できる幸せは、視聴してくださる方々がいらっしゃってくださるからでも あるので、心から感謝している。 

<樋口康雄さんコメント>

音楽打合せの思い出 

17 年前のことを思い出しながら書いてみる。富野監督との音楽打 合せということで、どこぞの私鉄に乗って駅から商店街を歩いて着い たところがサンライズの会社だったのであろう。大きな部屋に続く小 さな部屋があってそこで打合せをするという。 

監督は大きな部屋から入ってきた。ドアは開けっ放し。監督いわく 「ボクがこの部屋に入ってドアを閉めちゃうと向こうにいる人たちは監 督が何か秘密のことでも話してるんじゃないかと心配するのでドアは 開けてあるの」と。みんなが不安にならないようにいつもそうしている んだと。作曲の委嘱は「そういう気遣いのある音楽を書いて欲しい」 と一言。あとは雑談で肝心な音楽打合せはこれだけ。「うーん、なぞ なぞで来たな」と思ったけど「それならこちらもなぞなぞで」と覚悟を 決めた。ストーリーボードにあった作画の数枚のコピーをもらってき たのでその中から俯瞰ショットの一枚を選んで壁に貼った。今でいうドローンからの見た目みたいなバイ ストンウェルの絵。私は世界観が決まるといくらでも書けるタイプ。その絵に触発されてなぞなぞ音楽を速 攻で 36 曲書いた。 

レコーディング当日には富野監督も来て、なんとコントロールルームの床に正座して聞いていた。いつ もそうしているのかどうかわからないがニコニコして聞いていたので、私がなぞなぞなぞなぞで返したことをそんなに気にしてない風に見えた。気に食わなかったらさっさと帰ったに違いない。あぁ怒られなくてよ かった。 

人気作品のサウンドトラック、必聴だ。

アニメ『リーンの翼』サウンドトラック