濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞を受賞、愛する者を傷つけられたウィル・スミスが相手の顔をビンタしたのち「愛情のための船のような存在になりたい」と、『ドリームプラン』で受賞した主演男優賞のスピーチで涙を流すなど、数々のドラマが生まれた第94回アカデミー賞授賞式。レッドカーペットにはそれぞれの個性に合ったきらびやかなドレスに身を包んだセレブリティが集結し、会場を華やかに盛り上げた。女性も男性もカラフルな衣装が多く見受けられた、目にも鮮やかな今年のアカデミー賞ファッションをチェック!

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『タミー・フェイの瞳』で主演女優賞を獲得したジェシカ・チャステインは、グッチのドレスをセレクト。肩から胸元はゴールドに輝き、ウエスト部分からラベンダー色が広がるドレスで、裾に加えられた花びらのようなフリルもなんともエレガント。受賞スピーチでは「絶望を味わっているすべての人へ。ユニークであるあなたは、すばらしい」とメッセージ送り、大きな拍手を浴びていた。

『愛すべき夫妻の秘密』で主演女優賞にノミネートされていたニコールキッドマンは、夫のキース・アーバンと笑顔でレッドカーペットに登場。ウエスト部分のふくらみや長めのバックリボンが個性たっぷりで、さすがの存在感を発揮。背中が大胆に開いたくすみブルーのドレスがとてもよく似合っていた。

レッドのパンツドレスで現れたのが、『ウエスト・サイド・ストーリー』でアニータ役を熱演し、助演女優賞を獲得したアリアナ・デボーズ。ウエスト見せのトップスにセンタープレスのパンツを合わせたスタイルで、ステージでは「アイデンティティに悩んでいる人に約束します。私たちの居場所はある」と力強いスピーチを披露。会場を感動に包んだ。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で助演女優賞にノミネートされていたキルスティン・ダンストも赤のドレスをセレクト。クシュッとしたフリルが美しい肩出しドレスは、大輪の花が咲いたような鮮やかさ。“世界最強のテニスプレーヤー姉妹”と謳われたビーナスセリーナ・ウィリアムズ姉妹の父親を題材とした『ドリームプラン』で若き日のビーナスを演じたサナイヤ・シドニーは、水色地にブルーやピンクの花びらが舞ったような可憐なドレスで笑顔を弾けさせ、溌剌とした魅力をふりまいていた。

主演男優賞を受賞したウィル・スミスと連れ添ったジェイダ・ピンケットもグリーンドレスが艶やか。そして会場にはビーナス&セリーナの姿も。ビーナスは胸元の開いた白のタイトドレス、セリーナは透け感のあるピンクのプリーツドレス姿を披露し、姉妹が“紅白”スタイルで会場を沸かせた。

また今年は、カラフルな衣装を着こなす男性陣の姿も目立った。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で助演男優賞にノミネートされていたコディ・スミット=マクフィーは、タキシード&シューズなど全身アイスブルーでお目見え。ウェズリー・スナイプスボルドーのジャケットハーフパンツタイツ姿のコーデがインパクト大で、歌曲賞のパフォーマンスで優しい歌声を響かせたセバスチャン・ヤトラは淡いピンクのタキシード姿でレッドカーペットを闊歩。

全身から輝きをあふれさせていたのが、『DUNE/デューン 砂の惑星』で主人公を演じたティモシー・シャラメルイ・ヴィトンキラキラとしたジャケットを素肌にはおったセクシーな装いで、見る者の目を奪った。袖口のレースや大振りのネックレスなど、随所にわたってセンスが光っていた。

カラードレスだけでなく、もちろんブラックドレスも人気だ。ビリーアイリッシュフリルたっぷりの黒の超ボリュームドレスに、髪色も黒で統一した装いでレッドーカーペットに到着。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のテーマソング「No Time To Die」で主題歌賞を受賞し、初のオスカーを手にした。『スペンサー ダイアナの決意』でダイアナ元妃を演じて主演女優賞候補となっていたクリステン・スチュワートは、シャネルショートパンツ姿が最高にクール。同じく『Parallel Mothers(英題)』で主演女優賞候補だったペネロペ・クルスは、ネックリボンやフロント部分に小さなボタンの飾られたシックかつキュートなドレスで美オーラを放っていた。

文/成田おり枝

今年はペールトーン多めの華やかな衣装が集結/[c]Michael Baker / Mark Von Holden / A.M.P.A.S.