バーチャルYouTuber(VTuber)をはじめとする、“バーチャルタレント”シーンを様々な視点から見ているクリエイター・文化人に話を聞く連載『Talk About Virtual Talent』。第四回には、MonsterZ MATEのコーサカに登場してもらった。

 音楽も発信するVTuberとして、シーンの黎明期から活躍してきたコーサカが、現在のVTuberシーンに思うこととは。「VTuberと音楽」や「VTuberというカルチャー」といったテーマに加え、ここ数年で自分たちの活動に起こった変化などを語ってもらった。(リアルサウンドテック編集部)

kz(livetune)が考える、VTuber文化ならではの魅力「僕らが10年かけたことを、わずか2年でやってる」

・かつてよりも「雰囲気は明るい」。コーサカが現在のVTuberシーンに感じること

ーーMonsterZ MATEとしてデビューして今年で4年経ちますが、普段からVTuberというか、カルチャーの話を誰かとすることはありますか?

コーサカ:しないですね。

ーー普段は同業者や友人とはどんな話をするんですか?

コーサカ:お互いの話をしますね。「これやったんだ」とか「これをやる予定なんだ」とか。コンテンツの話。

ーー活動してる人って、逆に考えないものなんですかね。

コーサカ:どうなんですかね。界隈的には割と活発なイメージですけど。ある程度はミュートにしちゃってるけど、なにかが起きた時にVTuberのみんなが言及していたりして、気づくことが多いですね。

ーーいまと昔の比較でいうと、カルチャーとしてよくなった・悪くなったと感じる部分はありますか?

コーサカ:昔に比べて人が増えたし、「VTuberは」という枕詞を使う人が減ったのはよかったなと思う。2018年とか2019年はみんな言ってたイメージ。自分が見出したいものにそれを照らし合わせるのは、当事者にとって枷にしかならないから。それがない方が、みんなが自分の思うようにやれる環境が生まれると思う。「こうあるべき」をみんなが言うと、流されちゃう人も居るだろうし。

 そういう意味で言うと、やっぱりみんな自由になったのかな。企業勢の人を見ててもやっぱりそう思う。昔よりいまの方がスポンサーとかついたり数字が増えたりして、軋轢はあるとは思うけど、それでも雰囲気は明るい気がする。

 一時期は所属タレントと会社が戦うみたいな図が多かった気がしていて、でもいまは色んな歴史を踏まえて、歩み寄れているように思うし。世界観と素の部分の塩梅とか、お互いの間合を把握できて、以前よりは気軽に付き合ってる気がする。MonsterZ MATEは元々そうなったらいいなと思って活動してたから。いまはVの人とそうじゃない人でコラボ配信も頻繁にするようになったのはすごくよかったなと感じる。

ーー昔はコラボのハードルが高かった気がします。

コーサカ:(やり易くなってるのは)めちゃくちゃいいですよね。でも、逆にうちの会社は忙しくなってるから、昔よりスケジュールを取りづらくなったのがもどかしい(笑)。

ーー実際はもっとコラボしたいんですか?

コーサカ:したい! 単純にワイワイしてる方が好き。もちろん、アンジョーと2人でやるのも超面白いんだけど、みんなとワイワイするのも面白いから。

ーー話を聞いてると、あんまり悪くなったと感じることはなさそうですね。

コーサカ:ないけど、それは俺がカルチャー全体のことを見てないからだと思う。常日頃からカルチャーのことを見てる人は、これってどうなんだろう?と思うことは多分いっぱいあると思うけど。この4年でカルチャーとしての変化がとんでもないから「このカルチャーはこうなんだ」と定義するものでもないよな、とも思う。

ーーMonsterZ MATEの活動のなかで「あの時期が一番良かった」という期間はありますか?

コーサカ:分かりやすく1年ずつ区切るのであれば、毎年違う面白さがあるなと思います。自分の活動で考えていくと、メジャーレーベルと契約したことによって、メジャーの力を借りて紹介してくれた作家さんと出会えたり、昨年はTRPGの界隈と仲良くなって彼らの仕事の手伝いができたり。音楽含め、活動自体毎年違う楽しさがありますね。良い悪いというか、毎年新しい楽しさがある。

ーー逆に行き詰まったり、きつかった時もあるんですか?

コーサカ:毎年きついです(笑)。2019年は「辞めたいな」とすら思ってた。

ーーでも、「透明な日曜日」は2019年でしたよね。

コーサカ:そうなんですよ。めちゃくちゃ嫌な時期に、「透明な日曜日」みたいな日があったら、やっぱり楽しいなって。毎日が本当に嫌だったから、なおさら。それでもやっぱり、金銭面を含めた運用はキツかったし、ほかのVTuberたちからも相談を受けることがすごく増えて。

ーーそうなんですね。それでも2019年はかなりの楽曲数をリリースしていて、一見順調なようにも見えました。

コーサカ:それは怒りがモチベーションになっていたんだと思います。なにかを作ってないとやってられなかった。でもやることが多いという状況自体は別に嫌いではないというか、むしろ楽しいはずなんだけど、トータルで見たらやっぱりキツかったな……。

ーー外から見てると全然わからないものですね。

コーサカ:まあ出さないようにしてたし。そういうのを露骨に見せるのはダサい、と思っているところはあるのかも。

・「“思考停止”なカバーはしない」MonsterZ MATEの音楽活動における“信念”

ーーVTuberの音楽シーン全体を見たうえではどうでしょう? 2018年~19年は音楽をやっているVTuberはいまほど多くなくて、2020年から急に増えてきたと思うんですが、それに伴う変化などを感じた部分はありますか。

コーサカ:これまで歌をやってない友達がやり始めたなという印象はすごく強いけど、俺の知っている範囲だと、みんなもともと音楽活動をやりたいと思っていたところにシーンがついてきたから、タイミングが良かったのかなあ?

 言い方がすごく難しいんだけど、流行ってないことをやっていると流行ってない人に見られちゃうじゃないですか? その風潮自体がダサいんだけど。そんな人たちの目線からみても、音楽をやっても違和感のないシーンになったから、頭のいい人たちが、いまなら問題ないなと飛び込んできたところもあると思う。

ーー2018年ごろは、もう少しコアな音楽だったというか、一部のトラックメーカーやその周辺のすごい人たちが集まっていて、それがVTuberの音楽として認識されていたと思うんです。

コーサカ:あのころは、いまよりも音楽そのものにフォーカスが当たっていた気がします。もともとインターネットカルチャーが好きな界隈の人たちが、大人になって自分が一番触れてたものを自分たちでコントロールできる時期にVTuberのカルチャーが盛り上がり出して、しっかり噛み合ったことで生まれた盛り上がりなんだと思う。

 でも、いまはもっとパーソナルなものになったというか、自分のフィールドの中でやるものとして嗜むようになったけど、あのころはプレイヤーも少なくて、誇張した表現だけれど、全員が全部の動画を見てたから、シーンに対してみんなアプローチをかけていたような気がする。いまは物理的に全部見る・聴くが難しくなったからこそ、多様化しているところもあると思う。

ーーMonsterZ MATEで活動していくうえで、誰がどんな音楽をやっていて、どんな音楽が流行っているのか、というのは気にするんですか?

コーサカ:全然気にしない。ただ、タイムラインに流れてきてたまたま聴いたらめちゃくちゃよかった、ということはたくさんある。それがJ-POPだろうとHIPHOPだろうとそう感じる。YouTubeでおすすめに出てきたやつを聴いてみたら良かった、というのと一緒ですね。

ーーそれは音楽をやっていくうえで正しいことだと思いますか。

コーサカ:MonsterZ MATEの知名度や売上を考えたら正しくないのかも(笑)。

ーーでは、いまVTuberとなって音楽をやる場合は、流行やいろんなVTuberの音楽を追っていく方が良いと思いますか?

コーサカ:それはVTuberに限らずやった方がいい! だって絶対にまずは聴いてくれる人の分母を増やさなきゃいけないから。ニッチに見えても、流行った人ってよく見てみたら絶対最大公約数を取ることをしている気がします。ニッチな話題をすごく大衆的なものと結びつけるということは絶対やってるから。オリジナル曲だけじゃなく、カバーも交えて。多くのリスナーに聴かれた後もそれを続けるとか。

ーーこれだけはやらないというか、やらない方がいいことってありますか?

コーサカ:えー……別に好きにやったらいいと思います。人の事は知らんので。うちでやらない事だと、“思考停止”なカバーはしないようにしてます。リスペクトはないけど数字取れるからただの作業になってるパターンのやつ。戦略としてはアリなのかもしれないけど。なにをやるにしても、なにか自分たちらしさは乗せたい。たとえそれが見てくれる人と軋轢を生んでも『らしさ』は残したい。

ーー流行を追いすぎるのもダメなんですかね。

コーサカ:この感情って妬みだと思いますけどね。俺が音楽で毎月1000万円の収入があったら、そんなこと一切思わないだろうし。これまでもこれからも、シーンに対する発言は正解がこうだと思って言っているんじゃなくて、全部自分の好き嫌いでしかないから。だから、カルチャーについて話すのが嫌なんだと思う(笑)。

ーー最近の活動の中で、印象的な変化はありますか?

コーサカ:個人的なことだと、大人の人と話すことが増えたのはかなり印象深い。大人の人っていうのは、いわゆる年齢が大人の人ではなくて、タレントを扱う企業の人や裏方の人。いままでの人生ではほとんどなかったけど、VTuberを始めてから何かを作るときに、根本から打ち合わせを一緒にして、いろんな人と会って、とにかく大人と喋ることがめちゃくちゃ増えた。(マネージャーの)藤木もそうだし、(ホロライブのスタッフである)シノヴみたいな。

ーーそれは、テクニカルな要素がVTuber活動に置いて必要不可欠だからということも大きいのでしょうか?

コーサカ:というより、木戸さん(元MonsterZ MATE プロデューサー)がいなくなったから、自分たちでやるしかなくて、そのタイミングで爆発的に増えました。担当俺しか居ねーぞ、みたいな。色んな人と話して、自分が思ってるよりも不誠実な人も誠実な人もたくさんいるんだなとわかったことは大きい。

ーーリアルとVTuberの見せ方は、昔よりも多様化してきているように見えるのですが、そのあたりはどう思いますか? たとえば、ライブの時は生身の体で出演したりと、状況によって生身を出したりバーチャルで活動したりという使い分けをしている人たちが増えているように感じます。

コーサカ:そういう形態が増えてるんだ! それはめちゃくちゃいいなと思う。でもそれは進化としていいという意味じゃなくて、一つのスタイルとしていいじゃんって感じ。

 生身の姿を出してることがいいんじゃなくて、たとえば、「スクリーンがないライブハウスのイベントでライブ来て欲しいんです、あなたの音楽が好きなので」というリクエストにも応えられる。これは普通にいいことじゃん。もちろん出るためにスクリーンを持っていって、オペレーションスタッフも帯同させることで得られるものとかもたくさんあると思うけど、やっぱそこの過程を飛ばしても音楽を届けられるのは、おおよそ全員ハッピーじゃん。単純にできることが増えるからいいなと思う。

ーー多様性が広がってる反面、MonsterZ MATEのような最初から中身を隠さない活動スタイルはあまり増えてない印象です。

コーサカ:でもそれはそれでいいんじゃない? MonsterZ MATEがもともとこのスタイルで行こうと思ったのは、まず自分たちがストレスレスに活動できるかどうか、というのがあるんだよね。それと、これまで話したことなかったけど、俺らの活動を見て「これでもいいじゃん」と思う人が増えたらいいなっていうのがあって。それはどちらかというと見てる人にではなくて、やってる人たちに対して。オリジナル曲をバンバン出すのも、音楽やりたいと感じてくれる人がもっと増えたらいいなという考えはあるし、一緒にやれる人が増えたらいいなという思いは間違いなくあったね。

 そんな中でBOOGEY VOXXのFraさんが以前「お前らが耕してくれてたおかげ」って言ってくれたのは嬉しかったですね。

ーー口に出さないだけで、思ってる人はたくさんいると思いますよ。

コーサカ:シュークリームMonsterZ MATEの名物企画「誰が持ってるか王選手権」シリーズにおける“ロシアシュークリーム”)の動画もそういうモチベーションでやっているところはあって。そこに参加したいから3Dになりたいと思ってもらえれば、遊べる人が増えるなと。でも、それは俺らに数字がついてこないと意味がないんだけど、ありがたいことに「ロシアシュークリームやりたいです!」と言ってくれる人は増えていて、「3Dになったら真っ先に行きたい」と言われたときはすげー嬉しかった。

ーーあの企画は、最初に始める時点でそういう意図があったんですか?

コーサカ:最初は銀河アリスを呼んだ時に、2人じゃなくても面白いし、わかりやすいパッケージができたな、とは思いました。初めてうちを見に来るリスナーさんにとっても良い企画なんだろうなと思うと、(大量のからしやわさびを食べたくないという意味で)マジでやりたくないけど、続けてて良かったなと感じます。

ーーVTuberのいままでにない一面をさらけ出させるための企画だと思ってました。

コーサカ:それもあります。MonsterZ MATEの所ならそうなるのも仕方ないかって思ってもらえる。新しい面をリスナーさんが見れたり、やる側も「こんな一面出しても大丈夫なんだ」と思ってもらえれば最高。自分のとこではできないしやらないけど、MonsterZ MATEだったら許される、みたいな。

ーー自分の推しに変なことさせるな、みたいな苦情もほとんど見たことないですもんね。

コーサカ:みんな優しいから見逃してくれてるのかも……。でも、シンプルに言えば俺らは友達を誘って遊んでるだけであって、単純に3Dの身体で遊んでるのを見て「すげー楽しそう」と思ってもらえればそれだけでいいんだよな。

ーーコーサカさんから見て、立ち振る舞いや活動に尊敬の念を感じる人は誰ですか?

コーサカ:(天開)司、(歌衣)メイカ、ぽこピー(甲賀流忍者ぽんぽこピーナッツくん)、おめシスおめがシスターズ)とかかな。

ーーなにか共通点があったりするんですか?

コーサカ:いや、全然リスペクトの種類は違いますね。それぞれ好きな部分、尊敬している部分があります。

・「俺は俺が思っているよりも、この世界が好きなのかも」

ーー未来の話になってしまうんですけど、VTuberのカルチャー全体は今後どうなっていくと思いますか。

コーサカ:知らねぇ~~~~~(笑)。でもカルチャー自体はもっと広まっていって欲しいなとは思う。それは単純に自分のいる分野の分母が増えていってほしいだけなんだけど、人が増えればできることも増えるし、お金が増えればやれることは増えるし、それってハッピーになる人が増えるから。そんな爆然としたことぐらいですかね。

ーー“メタバース”がバズワードになったりと、バーチャルの世界はどんどん社会的に広がっていってますよね。VRChatなどを含め、それらのカルチャーはチェックしているんですか?

コーサカ:VRChatは数回行ったことあるけど、めちゃくちゃ楽しい! ただ、楽しすぎて時間を使いすぎると確信したので、いまではまったく行ってないです。本当はもっと行きたい。俺は「ちょっとだけやる」みたいなことができないんですよ。「ゲームは1時間だけね」という環境で育ってないから、VRChatはやらないということで、なんとか自分の生活を保ってる(笑)。

ーーVRC内の音楽性についてはどう思いますか?

コーサカ:めちゃくちゃいいと思う。だって建築法を考えないでステージ作れたり、なにも気にせず炎を出せたりするじゃん。俺もなんかすごい事したい。

ーーこれからのシーンに危惧することはありますか。

コーサカ:ないない(笑)。そもそも危惧してることがわかってるなら、俺らは売れてるでしょ。でも、悪くなっていくことはないんじゃないですか。

ーーコーサカさん自身はカルチャーを見ていないというものの、TwitterではVTuberについて誰かが語ってる記事や動画コンテンツを拡散しているところを見ます。今日のお話を聞いて、どういう思いでそれらを広めているのかが気になりました。

コーサカ:それに関しては2種類あって、ひとつは単純に読み物として面白かったもの。もうひとつは自分の気持ちが代弁されているもの。拡散に関しては、ほとんどRTだけで引用はしない。気になるワードがあれば読むし、VTuberのカルチャーについて掘り下げるものだと、最近の人は知らない可能性があるから、それを知って欲しいと思って拡散するかな。カルチャーの1番の足枷は“勉強すること”だと思ってて。歴史を知る上で座学をしなければいけないのってめちゃくちゃ重いじゃないですか。VTuberは漫画やアニメと同じカルチャーだと思うし、音楽的に見たら割とHIPHOPな文化があって。音楽をやってると、絶対に自分の生活が出るし、自分のキャラクター性と人間性をベースにした曲を出している人しかいないと思っていて。

 この連載だと、kz(livetune)さんが音楽としてこの分野に初期から携わってきたからこその視点とか、何をやってきたかを踏まえた上での発言があって、知ってる方が面白いことが多いと思ったんです。そういうのを大まかでも知れるものは拡散した方が、俺が書いてるリリックが刺さることも増えるだろうし。

ーー認めたくないかもしれないですけど、それってカルチャーへの愛だと思います。

コーサカ:そういう意味でいうと、俺はカルチャーに興味はないし、俺がやることとか、俺自身に起きたことしか書いてないけど、結果カルチャーの曲になってるのか……。「Up-to-date」とか、まさにそうだし。興味はないけど、思考的なものはカルチャーと絡み合ってる。

 ……よく考えたら俺ってカルチャーの中にいるのか。さっきの危惧してることはないかという質問に「ない」と答えたのも、自分がその中にいたり、当事者じゃない立場で何かを言うことが「ずるい」と思ったからかもしれない。だから、できるだけ自分に合ったこと、自分に起きたこと、自分が思ってることや経験してきたことを共有できる人たちの範囲でくらいはやっておかないと、中身がなくなっちゃうし、浮き足立ってしまう。結果的に、あとで自分が追い詰められる気がします。

 これは全然関係ないことかもしれないけど、少し前に「マシュマロ」(質問サービス)をやっていたことがあって。自分が配信をしていない分、みんなの話を聞くタイミングがないから設けてたんだけど、なんか変に注目を集め始めて。その時に「俺の考えや意見って、こんな簡単に刺さるんだ。これはやばいな」と。たった50文字くらいをパッと書いただけでこんなに人に見られるのは怖いし、ちょっと頭使ったらもっと数字が集められるなと思ったんですけど、それって何にも自分のためにならなくて。むしろ足枷になると考えたから、すぐにマシュマロをやめて、時間をかけて何かを作ることを意識し始めた。時間をかけて作ったものって、受け取り側も時間をかけて理解してくれるから。これがカルチャーに対する自分の芯なのかも。

ーー自分が作ったものが間違って伝わっても広がればいいと思う人と、理解されずに広まっていくことにストレスを感じる人っていると思うんですけど、コーサカさんは後者ですよね。

コーサカ:俺は理解されずに広まっていくことに耐える根性はないかもしれない。いいものができたという手応えと、それに時間をかけることができたことと、それでお金をたくさんもらえるという3種類のうち、ひとつでも満たしていればクリエイティブは割と楽しくなるというのがわかっていて。この3つのどれもない時期があって、それを絶対起こさない、せめてひとつでも確保できるようにと意識していると、今日話したことを徹底するしかなかったんだよね。超頑張ると3つのうち2つを確保出来る最高な時もある!

ーークリエイティブな判断基準は、ちゃんと経験を積んだからこそのものなんだなと思いました。

コーサカ:毎回仕事の話をいただいた時に藤木とも話すけど、その3つのうちのどれかを奪われそうな気がすると「今回はやめとこう」と。

 ……あー、わかった! 突然最初に言ったことに戻るんだけど、自分が作ってるものと、その人が作ってるものの話しかしないっていうのは、シーンとカルチャーの話だ。

ーーそうですよね。VTuberのカルチャーに興味がないと言ってましたけど、その場で咄嗟にここまで語れるのは、どこかで考えてたり、体現してるからだと思いますよ。

コーサカ:今日、もしかしたら何も中身のあることは話せないかもしれないと思ったんだけど、沢山話して自分も知らない自分の考えとかもまとまって良かったですね。俺は俺が思っているよりも、この世界が好きなのかも。(森山ド・ロ)

MonsterZ MATE コーサカ。(C)Balus