南アフリカ運転免許証は、まず道路規則などの知識を問う学科試験を行って仮免許(Learner’s licence)を取得する。その後は実際の道路で訓練を行い、仮免許取得から24か月以内に技能試験に合格すると晴れて免許が取得できる。日本と同様に何度も不合格を経験する人もいるが、モーガンバートンさん(Morgan Barton)は免許取得までなんと14年もかかったという。彼の免許取得までの道のりを南アフリカのメディア『YOU』が伝えている。

南アフリカのケープタウンに住むモーガンさんは現在31歳、免許取得への道がスタートしたのは14年前の2008年だった。しかし学科試験は合格するも、技能試験で不合格となってしまう。モーガンさんはハンドルを握ると、不安や恐怖に押しつぶされてしまうというのだ。技能試験に落ち、仮免許の期限が切れるたびに学科試験を受けて再び技能試験に挑むのだが、やはり合格しない。2015年に技能試験に挑んだ時点で学科試験はすでに4回合格しており、知識はプロ並みのモーガンさんだったが、いざとなると不安に押しつぶされて固まってしまった。当時のことをモーガンさんはこう振り返る。

「震えて汗が出てきました。父の車から降りられないような感じでした。1時間半ほどして、もう無理だと言って帰りました。」
「あの時は、本当にショックでした。何週間も自分を奮い立たせていたのに、それが一瞬で消えてしまった。家まで泣きながら帰りました。役立たずで愚かで、自分が恥ずかしい人間と感じました。」

そして仮免許は失効し、また学科試験に合格しても技能試験に立ち向かうことができずに仮免許が失効するという悪循環に陥ってしまった。

しかしモーガンさんはその恐怖心を克服することを決意した。2019年9月から11月までの6週間、彼はウッドストックにある無料のカウンセリングセンター「The Counselling Hub」で、不安に対処するプログラムを受けることにしたのだ。

セラピーを通じ、また家族や友人のサポートを受けながら、モーガンさんは次第に自信を持つようになったという。

「不安は他の人には理解できない、独特の獣のように感じられました。でも自分の不安を打ち明けられるようになって、ほとんどの人が何らかの形で毎日不安と向き合っていることに初めて気づいたのです。カウンセリングを受けることで、自分は一人ではないこと、同じように不安に苦しんでいる人に寄り添い、そして学ぶことが、不安の束縛から自分を解き放つ鍵だと認識しました。」

そのように明かすモーガンさんは、再び免許取得への意欲を強めた。

モーガンさんの仮免許は2020年に切れる予定だったが、パンデミックにより政府が猶予期間を設定したことで仮免許は2022年3月まで有効になった。「これは先延ばしにせず、思い切って挑戦するチャンス」と、モーガンさんは再び技能試験に臨む覚悟を決めた。そして今年の3月16日に「ギャローズ・ヒル運転免許試験場(Gallows Hill Driving Licence Testing Centre)」に予約を入れ、緊張しながらも冷静に試験を受けた。

「試験が始まるまでは、合格できないのは目に見えている、あと何回かやらなければならないと思っていました。不安に押しつぶされて、自分はダメな人間なんだと自責の念に駆られたものです」とモーガンさん。しかし今回は違った。ハンドルを握った瞬間に「まるで脳のスイッチが入ったかのように、緊張が消えた」という。

14年の年月を経てモーガンさんはついに技能試験に合格し、運転免許証取得とともに恐怖心も克服することができたモーガンさんは「私の体験談が、まだ受験を控えている人たちの励みになってくれればと思います。また無料のカウンセリングサービスを利用することもお勧めします」とアドバイスをしている。

画像は『Morgan Barton 2022年3月17日付Twitter「6 learner’s licences & over 14 years crippling anxiety talked me out of taking the driver’s test.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト