世界各地でレジ袋の禁止や有料化が進んでいる。その狙いは、プラスチックゴミを削減することだ。
だが米ジョージア大学の最新の分析によれば、この試みは裏目に出るかもしれないという。それまでレジ袋をゴミ袋として使っていた消費者が、自分で購入するようになるためだ。
この研究は『Environmental and Resource Economics』(2022年1月27日付)に掲載された。
そもそもレジ袋はたった一度しか使わないものではない。家庭のゴミ箱にセットされるなど、ゴミ袋として再利用されている。便利なレジ袋をスーパーでもらえなくなったら、消費者は自分でゴミ袋を購入するかもしれない。
「レジ袋には需要があります。もしそれが禁止されたら、ゴミ袋は消えるのでしょうか? それともお金をかけてそれを手に入れようとするでしょうか?」と、アメリカ・ジョージア大学のポスドク研究員ファン・ユカイ氏は述べる。
そこでファン氏は、レジ袋削減政策がゴミ袋全体に与える影響を確かめるための研究を行った。
レジ袋禁止がゴミ袋の消費に与える影響が検証されたことは以前にもあったが、禁止と有料化を合わせた効果は検証されていない。
環境経済学者であるファン氏は、住人の所得や人口密度(どちらもゴミの発生量に関係)といった要素を考慮しつつ、新しい方法でレジ袋禁止・有料化の効果を算出した。
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レジ袋禁止・有料化でゴミ袋の売り上げが増加
今回の調査では、レジ袋禁止・有料化が実施された郡とされていない郡のゴミ袋の売り上げが比較されている。なお、調査対象になった郡は、付近の住人の行き来がない離れた地域が選ばれた。
その結果、カリフォルニア州では、レジ袋削減政策が実施されると、15リットル袋の販売数が55~77%増加、30リットル袋では87~110%増加することが判明。過去の研究で示されたのと同じく、ゴミ袋の売り上げが増えることが確かめられた。
その一方で、49リットルの大型ゴミ袋(主に家庭のキッチンで使われる)の販売数にはそれほど変化は見られなかったという。
レジ袋で代用できる小型ゴミ袋にだけ変化があったということは、レジ袋が実際に再利用されていることを裏付けている。
「ゴミ袋削減政策が実施される前、レジ袋はその大きさにちょうどいいゴミ袋として再利用されていた。政策実施後、ゴミ袋の需要は規制対象となったプラスチック製袋から非対象のプラスチック製袋に切り替わった」と、研究論文で述べられている。
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こうした予期せぬ販売の増加は、重量にも表れている。重量換算した場合、15リットル袋なら店舗あたり毎月13.6~61.2キロ、30リットル袋なら16.7~101.6キロ販売が増加したことになる。
全体的な影響の見極めが大切
しかしレジ袋禁止・有料化によって、お店から出るプラスチック廃棄物は減るかもしれない。仮に1日に326枚のレジ袋が出るのだとすると、月にすれば9769枚になる。その分、ゴミ処理場に送られるプラスチックゴミは減ることになる。
政策を立案するには、レジ袋禁止・有料化による意図せぬ結果をきちんと理解することが大切だと、ファン氏は主張する。もしも家庭で再利用されているのなら、それは使用量全体に影響する。
「はっきりした答えはありません。ですが、無料のレジ袋が家庭で再利用されているかどうかは、レジ袋関連政策の全体的な効果を左右する重要な要因です」とのことだ。
References:Plastic bag bans may unintentionally drive other bag sales / written by hiroching / edited by / parumo
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