チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝1stレグ、ベンフィカvsリバプールが、日本時間5日28:00にエスタディオ・ダ・ルスでキックオフされる。ヨーロッパ屈指の名門による、ベスト4進出を懸けた12年ぶりの対戦だ。

ベンフィカはラウンド16でグループステージ全勝のアヤックスと対戦。下馬評では劣勢必至だったが、ホームでの1stレグで2度追いついてのドローに持ち込むと、敵地に乗り込んだ2ndレグではセットプレーから奪ったエースFWダルウィン・ヌニェスの虎の子の1点を最後まで守り抜き、2戦合計3-2のスコアで6シーズンぶりの準々決勝進出を果たした。

その一方で、国内リーグではシーズン途中に監督交代に踏み切った影響もあり、ポルトスポルティング・リスボンのライバル2チームに大きく水をあけられ、3位に甘んじている状況。直近のブラガ戦では2度のビハインドを追いついたものの、最終的に2-3で敗れ公式戦10試合ぶりの黒星を喫した。ただ、2つの国内カップ敗退に加え、今季の3位フィニッシュがほぼ決定的となっており、その現状をプラスに受け取り、今回の対戦に全精力を注ぎ込み番狂わせを狙いたいところだ。

対するリバプールはラウンド16でインテルと対戦。戦前には余裕の突破予想もあった中、敵地での初戦ではセットプレーの流れからの2ゴールによる試合巧者の戦いぶりで2-0の先勝。しかし、圧倒的な強さを誇るアンフィールドでの2ndレグではまさかの0-1の敗戦となり、今大会初黒星を喫することに。また、先制された直後に相手に退場者が出なければ、少なくとも延長戦まで持ち込まれそうな薄氷の勝ち上がりとなった。

それでも、すでにEFLカップを制して史上初のクアドルプルにまい進するチームは、プレミアリーグで驚異の10連勝中。今週末に控える首位マンチェスター・シティとの直接対決を前に、1ポイント差にまで迫っている。

そのシティとはFAカップ準決勝でも対戦が決定しており、ベンフィカとの2試合を挟んでの連戦という形となるが、各ポジションで質の高いターンオーバーが可能ということもあり、今回の対戦で大きなディスアドバンテージとはならないはずだ。

なお、両者は1977-78シーズンのCL前身ヨーロピアン・カップ時代の初対戦から通算10度対戦。初対戦からリバプールが5連勝を飾ったが、その後はベンフィカが4連勝で盛り返すも、直近に行われた2009-10シーズンのヨーロッパリーグ(EL)ではリバプールが4-1の勝利を収め、対戦成績を6勝4敗としている。

ベンフィカ
【4-4-2】
▽予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.

GK:ヴラチョディモス
DF:ジウベルト、オタメンディ、ヴェルトンゲン、グリマルド
MF:ラファシウバ、ターラブト、ヴァイグル、エヴェルトン
FW:ゴンサロ・ラモス、ダルウィン・ヌニェス

負傷者:DFヴェリッシモ、FWロドリゴ・ピーニョ
コロナ陽性者:なし
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関してもセフェロビッチの復帰に伴い、長期離脱2選手を除き全選手が起用可能な状況だ。

スタメンに関してはアヤックス戦で起用したメンバーの継続が濃厚だが、7選手が出場停止にリーチがかかっていることもあり、リスクを分散する目的でターンオーバーを行う可能性はありそうだ。その中でジョアンマリオ、ヤレムチュク、ゴンサウヴェス辺りにチャンスがあるかもしれない。

リバプール
【4-3-3】
▽予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:アリソン
DF:アレクサンダー=アーノルド、コナテ、ファン・ダイクロバートソン
MF:ヘンダーソン、ファビーニョ、チアゴ
FW:サラー、マネ、ルイス・ディアス

負傷者:なし
コロナ陽性者:なし
出場停止者:なし

出場停止者はいない。軽傷を抱えていたナビ・ケイタ、マティプ、カーティス・ジョーンズも遠征メンバー入りし、主力に負傷者もいない。ただ、理由は不明だが、控えGKケレハーが遠征メンバーを外れている。

スタメンに関しては週末に控えるシティ戦を考慮して幾つかのポジションでターンオーバーが見込まれる。ここ最近フル稼働が続くマティプに関しては軽傷を抱えていることもあり、相手のカウンタースタイルを考えると、ここらあたりでコナテの起用を予想。負傷明けのアレクサンダー=アーノルドに関しても、ジョーゴメスワトフォード戦で好パフォーマンスを見せただけに途中投入の可能性もある。

前線に関してはエースのサラー、直近のワトフォード戦で温存されたルイス・ディアスの起用は堅いと思われるが、ジョタ、マネ、フィルミノが入る可能性も十二分にある。

★注目選手
ベンフィカ:FWダルウィン・ヌニェス
Getty Images

来季プレミア行き噂される中での試金石に。スペイン2部アルメリアでのブレイクを経て昨シーズンにベンフィカ入りした22歳のウルグアイ代表FWは、加入2年目の今シーズンに完全覚醒。

ここまで公式戦34試合27ゴールを記録し、プリメイラ・リーガでは21ゴールで得点ランキングトップを独走中。CLの舞台においてもグループステージでバルセロナ相手に2ゴール、バイエルン相手に1ゴールを挙げると、直近のアヤックスとの2ndレグではチームを8強に導く決勝点を挙げるエースの仕事を果たしている。

187cmの恵まれた体躯に加え、スピードとパワーとアスリート能力に長けたムービングストライカーは、ポストワークや動き出しの質はまだまだ及ばないが、同胞カバーニを彷彿とさせるプレースタイル。個での打開力や創造性という部分では若かりし頃の先達を凌駕している印象だ。

今夏の移籍市場では対戦相手であるリバプールアーセナル、ウェストハム、トッテナムといったプレミアリーグの強豪クラブへのステップアップが有力視されており、今回の一戦はその試金石となる。

リバプールの攻撃陣に対して、オタメンディとヴェルトンゲンのセンターバックコンビのスピードを考えれば、普段以上にディフェンスラインを下げて戦う可能性が高い。そうなると、攻撃は必然的にロングカウンター一択となるだけに、ラファシウバ、エヴェルトンの両翼、ゴンサロ・ラモスと共に機動力に長けた若きエースストライカーのパフォーマンスがより重要となる。

リバプール:FWルイス・ディアス
Getty Images

かつての宿敵の本拠地で躍動なるか。タレント揃いのリバプールではほとんどの選手が注目選手と言えるが、対ベンフィカという部分ではポルトの元エースのパフォーマンスに注目したい。

今冬の移籍市場最終盤に総額6000万ユーロと言われる移籍金で、ポルトからリバプール入りしたコロンビア代表FWは、加入からわずか2カ月あまりで世界屈指のアタッカー陣とほぼ同等の指揮官からの信頼を獲得している。

最大の特長であるスプリント能力やドリブルに加え、利他的なプレープレー強度でもポテンシャルの高さを披露。あとはポルト時代のようにゴールやアシストという目に見える結果を残すだけだ。

2019年から2シーズン半に渡ってポルトガルの地でしのぎを削ったベンフィカとの通算対戦成績では、1ゴール1アシストの数字に留まっているが、5勝2分けの7戦無敗と好相性だ。相手の攻略方法はチームの中で最も熟知しているだけに、今回の一戦では主役級の活躍を期待したい。
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