10月14日よりテレビ朝日系にて2クールにわたって放送されてきた、沢口靖子主演の木曜ミステリー「科捜研の女 season21」(毎週木曜夜8:00-8:54 ※最終話は夜8:00-9:48)が4月7日(木)に最終話を迎える。同シリーズは、京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の法医研究員・榊マリコ(沢口)を中心とした、ひと癖もふた癖もある研究員たちが、法医、物理、化学、文書鑑定などの専門技術を武器に事件の真相解明に挑む姿を描くミステリードラマ。

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1999年のスタート時から根強い人気を誇り、現行のテレビドラマでは最も長く続いている長寿シリーズで、2021年には初の劇場版も公開された。

WEBザテレビジョンでは、沢口、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、斉藤暁、渡部秀山本ひかる、石井一彰にインタビューを行い、撮影を終えての感想や、作品への思い、沢口の印象、収録現場でのエピソードなどを聞いた。

■特別な気持ちで取り組んだ撮影期間

――まずは、「season21」の撮影を終えての率直な感想を教えてください。

沢口:2021年から、初の劇場版のプロモーションやイベントをはさんで、長期間の撮影でした。コロナ禍の真っただ中でしたので、撮影が中断することなくクランクアップを無事に迎えることができてほっとしました。23年分の思いを込めて、特別な気持ちで取り組ませていただきました。

内藤:撮影自体は2021年の6月から始まり、そして秋に映画公開ということで、ほぼ1年「科捜研の女」に浸りきった幸せな日々でした。このシーズンに関して言うと、映画で佐々木蔵之介演じる加賀野亘という科学者との対決からスタートして、最終話も“科学者対科学者”ということで、非常にいい形で一つの縁が閉じた気がします。最終話を楽しみにしていていただきたいと思います。いいシーズンでした。

若村:映画に引き続き「season 21」ということでしたが、最終話が余りにも集大成な作品すぎて、寂しくなってしまっています。自分自身も出演していますが、視聴者の一人としてこの作品にハマり、毎回すごく楽しみに見ていました。

というのも、私は「まいど!」と共有スペースに行くときと、解剖室にいるときがほとんどで、実際には見ていないシーンがたくさんあるんですね。もちろん台本では読んでいますが、編集され、音楽が入って、いろいろなスタッフさんの努力の結晶が見られるのが毎回とても楽しみでしたし、「みんなこんなことしてる」「こんな表情してる」と、台本以上に膨らんでいる皆さんの演技を見るのも楽しみでした。なので、科捜研ファンとして、寂しい気持ちでいます。

今の世の中に通じる問題に直面

風間:今はAIで人間と同レベルの知能を作ることもできると思いますが、「じゃあ本来の人間とAIの違いはなんなんだろう?」といったことを、科学の面からも人としての倫理の面からも語っているような最終話で、科学の究極を突き詰めた話になっているのではないかと思います。ぜひ楽しんでいただきたいです。

斉藤:私は、やはりコロナの影響による緊張感がいまだに忘れられませんね。誰かがもしコロナにかかったら撮影は進まないし、現場でもプロデューサーが巻き尺で役者と役者の間の距離を測ったりしていて、あの緊張感と景色はとても記憶に残っています。

役者同士が近寄ってはいけなかったり、普段どおりにできないというもどかしさやプレッシャーをよくぞ乗り切ったと。最後までやり遂げたということがものすごくうれしいです。

また、これだけ長い間やってきて、脚本家が本当にバラエティー豊かな題材を考えて、これだけ面白い物語を作ってくださっていることが何よりとてもすてきなことだと思います。そんな作品に関われたということが、私の役者人生の中で大きな財産になりました。

渡部:僕の中では、「season 21」は一番濃いシーズンになりました。第16話で、僕が演じる呂太の回を描いていただいたこともそうですし、斉藤さんがおっしゃったように、コロナ禍で撮影をしていくということで、いろいろと気を付けなくてはいけないこともありました。

世界中が逼迫(ひっぱく)している中で、ウイルスというテーマに切り込んでいったり、AIという最新科学をテーマにしたりと、今の世の中に通じる問題にこの作品を通して直面させていただいたということが、とても貴重なシーズンだったなと思います。

科捜研の女」シリーズはずっと進化し続けていると思うのですが、恐らく、それに比例して犯罪もどんどん高度になっていると思うんですよね。その集大成が、今回の最終話で描かれるAIなのかなというふうに思います。

山本:「season 21」を終えての率直な感想は、「終わってしまった~!!」という感じです。その一言に尽きます。

石井:全く同じですね。「終わってしまった」と。また、「season 21」を通してより関係が深まったと感じています。最終話でいうと、いつも強気なマリコさんがちょっと弱気になってしまうシーンがあって、そんなとき、いつもマリコさんに引っ張ってもらっていた周りの人間はどう行動するのか、ということを考えた回でした。その結果、一人一人の思いが明確になって、結束がまた強くなった「season 21」だったんじゃないかなと思います。

■“白衣のマリコ”vs“黒の優真” 美しき“リケジョ”の最終決戦

――沢口さんに質問です。最終話は、シリーズ最強の敵と評される宮越優真役・美村里江さんとの対決が見ものですが、美村さんとの再共演はいかがでしたか?

美村さんは、声がとてもきれいでした。そして、とても落ち着いていらっしゃいました。今回も全身黒の衣装を身にまとっていらしたのですが、小悪魔的な魅力を感じました。“白衣のマリコ”と“黒の優真”との対決をぜひ楽しみにしていてほしいです。

――内藤さん、石井さんへ質問です。いつも捜査現場に同行し、粘り強く真実を追及していくマリコですが、お二人が思う沢口さんの強さを教えてください。

内藤:皆さんがご覧になっているとおりです。榊マリコはほぼ沢口靖子です。例えば、納得しなかったらそのせりふは絶対に言わない。でもこれは、「とりあえずこのせりふを言えばいいや」という人では絶対にないということなんです。

もう一つ、しんどいとかそういった愚痴を絶対に言わないし、そういう顔をしない。気候にやられたりとか寝不足だとか、誰にだってあると思うのですが、そういうことを絶対に周りに見せないです。

石井:とにかくブレないですね。それはマリコさんも靖子さんご本人もそうですが、そのブレない強さがあるから、僕らは引っ張られていくのかなと。

内藤:ブレないから、俺たちもガッとついていけるんだよね。

石井:はい。ブレない姿がかっこいいです。

――若村さんに質問です。最終話では、心ここにあらずの状態のマリコに、早月が優しくも力強く発破をかけるシーンがあります。マリコが弱気な姿を見せることはとても珍しいように感じますが、若村さんだけが知っている沢口さんの弱点があれば教えてください。

若村:弱点?んん~…(しばらく悩んで)、寝ないと駄目なところでしょうか?沢口さんが以前、私にこっそり「私は寝ないと駄目なんです」と教えてくださったんです。でも、あれだけの膨大な量のせりふを覚える時間も取らなくてはいけないし、寝る時間も取らなくてはいけないし、撮影は朝から夜まであるしで、「どういう暮らしをしていらっしゃるんだろう?」と思います(笑)。当たっていますか?

沢口:当たっています(笑)。

内藤:弱点はそれだけ?

沢口:いえ、実は寒がりです。

若村:でも、寒がりなことは最近はあまりおっしゃらないですよね。最初の頃は「寒い、寒い」って言っていた記憶があるのですが、ある時期からあまりおっしゃらなくなりました。

内藤:ほんとだね。昔はカイロを30枚くらい貼っていたもんね。今は8枚くらいに減ったかな?

沢口:そうですね…今は一番多い時で8枚くらいです(笑)。でも30枚はちょっと盛り過ぎです!

■機械の値段を知り愕然(がくぜん)!

――風間さん、斉藤さん、渡部さん、山本さんへ質問です。最終話で再び登場する最先端AIの性能には見る度驚かされますが、皆さんがこれまでのシリーズ内で一番驚いた「最新科学技術アイテム」は何ですか?

風間:僕が演じる宇佐見の部屋には、すごい機械がたくさん入っているのですが、高度過ぎちゃって「これ何に使うのかな?」というものがたくさんあるんです。使い方を教えてもらって演技はするのですが、もうちょっと使いこなしたいなというふうに思っていました。

また、最初の方は知識がなかったので、機械の上にコーヒーのカップとかを置いていたんです。ある日「この機械、1億円くらいするんです」と言われたときには驚きました。それからはすごく気を付けるようになりました(笑)。でも、僕はその1億円の機械の良さをまだ知らないので、もっと知らなくてはいけないなと思います。

斉藤:私は役柄的にもそうなのですが、作中に出てくる最新の科学技術は実はいつもあまり分かっていないんですよ。なので、その分かっていない感じが自然に演技にも生かせていると思います。あとは、「指紋ってあんなに簡単にスキャンできて、あんなにすぐに分かるんだ」という素朴な疑問を今でも持っています。

渡部:ドローンですね。恐らく一昔前までは、ドローンを捜査で使うことなんてなかったと思うんです。呂太は、初登場のシーンでもドローンを使ってマリコさんと一緒に捜査をしたりしました。ドローンの操作は呂太が担当することが多く、第15話でも使ったので、特に「season 21」では、事件の捜査や災害現場でもドローンが活躍する時代がきているのだなと、科学の進歩を感じました。

山本:私が演じる亜美が使っている機械ではないのですが、斉藤さん演じる所長が使っている“箱の中に衣類を入れて衣類に付いた掌紋を浮かび上がらせる”機械があるのですが、あれはすごいなと思いますね。

斉藤:普通の機械じゃないんだよね。

山本:所長のお手伝いとしてその機械を使ったときに「こんなのがあるんだ!?」とびっくりしました。

――最後に、沢口さんに伺います。最終話はネットの世論が操られることによる犯行といった、現代ならではのテーマがポイントになってきますが、最終話を通して伝えたいメッセージを教えてください。

今回は、ネット上のフェイクニュースに大衆が誘導されることによって犯罪まで起きてしまうといった物語が描かれています。本当に今はネットの時代で、情報にあふれ、言葉にあふれています。決して言葉に踊らされず、自分の確かな目で真実を見極めることの大切さがメッセージとして含まれていると思います。ぜひ楽しんでご覧ください。

「科捜研の女 season21」最終話放送を目前に控え、出演者にインタビューを実施/ (C)テレビ朝日