上海証券取引所の科創板への上場を目指す、深セン英集芯科技(688209/上海)が4月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4200万株を発行予定で、公募価格は7日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2014年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。高性能、高品質なデジタル・アナログ混合半導体チップの設計企業として、主に電源管理チップ、急速充電プロトコルチップの開発、販売を手掛けている。製品はモバイル電源、急速充電アダプタ、無線充電器、車載充電器、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)充電機器などに応用される。同社の電源管理チップは、システムに必要な機能をすべて1つのチップに集約させたSoCチップであり、従来は各機能ごとにチップを調達する必要があったモバイル電源管理分野においてワンストップサービスを実現した。
 
 世界の集積回路(IC)市場規模は2015年の3351億6800万米ドルから20年は4390億ドルまで成長、21年は4694億ドルまで増加したと見られ、15〜21年の年平均成長率は5.77%となっている。中でも中国市場は経済全般、そして情報産業の急速な発展に伴って成長が著しく、市場規模は12年の2158億5000万元から20年には8848億元と年平均19.29%のペースで拡大した。また、ICの設計市場も世界、中国いずれにおいても高成長を続けており、特に中国市場は12〜20年に年平均25.3%という猛烈な勢いで拡大し、今後もハイペースな成長が見込まれる。急成長に伴い業界に参入する中国企業も増えており、12年の569社から20年には2218社となり、業界内の競争が一層激しくなっている。
 
 同社が主業務とする電源管理チップ分野はコンシューマーエレクトロニクス、新エネルギー車、5G通信などの発展に伴い、その重要性とニーズが高まり続けている。世界の市場規模は2016年の198億ドルから20年には329億ドルに増え、25年には525億ドルにまで成長する見込みだ。中国市場も年平均8%前後のペースで成長し、20年には781億元の規模に達したとみられるが、中国企業の市場シェアは低く、海外メーカー製品が主流となっている。中国では現在各種分野における国産品置き換えに向けた動きが進んでおり、この分野でも同社を含む中国企業によるシェアの拡大が見込まれる。
 
 同社は優秀な開発チームによる高い研究開発力、デジタル・アナログ混合SoCチップ製品が持つ高い市場競争力、規格が乱立する中で高い互換性を持つ急速充電チップ技術、製品の安定性、信頼性の高さといった強みを持つ一方で、TI(テキサス・インスツルメンツ)などの国際的な大手企業に比べて経営規模がはるかに小さく、人材や技術、製品の応用分野、市場シェアといった面で明らかな差がある。優れた人材の確保、製品開発強化によりハイエンド市場を開拓し、シェアを高めることが同社を含めた中国企業にとっての大きな課題だ。
 
 2021年12月期の売上高は7億8071万元(前期比100.56%増)、純利益は1億5827万元(同154.95%増)。22年1〜3月期の業績予測は、売上高が1億8000万〜2億1000万元(前年同期比3.50〜20.75%増)、純利益が3874万〜5102万元(同2.51〜35.01%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

【上海IPO】電源管理チップ開発の深セン英集芯科技が8日に公募開始、4200万株発行予定