本日、10日にスタートする日曜劇場『マイファミリー』(TBS系/毎週日曜21時)で、金曜ドラマ『山田太郎ものがたり』(TBS系・2007年放送)以来15年ぶりに共演する二宮和也多部未華子。15年前、学園ドラマの主人公とヒロインを演じていた2人が、今回は誘拐された娘を取り返すために奮闘する夫婦に扮する。誘拐事件で試される“家族の絆”を描く本作にちなみ、2人に大事な人とコミュニケーションをとる際に気を付けていることを尋ねると、「自分の価値観や感覚を押し付けない」(二宮)、「嘘をつかない」(多部)との答えが返ってきた。

【写真】二宮和也&多部未華子、15年ぶり共演! 『マイファミリー』第1話をチェック

◆「見てくださる皆さんと一緒に体感できたら」(二宮)

 本作は、 『グランメゾン東京』(2019年)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021年)などを手掛けた黒岩勉のオリジナル脚本。時代の寵児と持て囃されるゲーム会社の社長・鳴沢温人(二宮)とその妻・未知留(多部)が、誘拐された娘の友果(大島美優)を取り返すための唯一の方法として警察を排除することを決意し、たった2人で戦っていくという“ノンストップファミリーエンターテインメント”だ。

 1話では、温人と未知留の生活が一変し、誘拐犯と対峙していく怒涛の展開が繰り広げられるが、多部は1話を見た感想を「まさに“ノンストップ”だなって思いました。1話は最近まで撮っていた感じがして、『これも1話なんだ』って思う、凝縮されているような展開で。本当に目まぐるしく、1分でも目が離せないストーリーになっています」と口にし、「事件を通して家族の形がどう変わっていくのか引っ掛かりの部分なので、ぜひ見てほしいです」とニッコリ。

 二宮は「とにかく見ていただいて楽しめる作品になってると思う」と自信を覗かせ、「『全員、犯人なのかも?』と疑い続けてもらえたらいいなと思っていて。実は主要なストーリーに関わってくるキャスト陣の中でも、犯人を知らない人が多いんです。なので、急に『俺、犯人かもしれない』とか言い出して、ちょっと怪しいお芝居する人も出てくるかも(笑)」とニヤリ

 すると、多部が「私も今後そういう芝居をしたいと思っています! 何かにおわせたくて。どっかにそういうカットを入れてくれないかな」とノリノリで明かすと、二宮は「駄目なんだって(笑)」と温かい表情でつっこみつつ、「もしかして本当に未知留が犯人である可能性もあるから気をつけないといけないんですけど(笑)、こういう感じで現場の人間も一演者でもありつつユーザーとして楽しんでいる部分があるので、見てくださる皆さんと一緒に体感できたらいいなと思っています」と爽やかな笑みで語る。

◆「ずっとしゃべってる…」「そこは『盛り上げてる』でいいのよ(笑)」

 夫婦が協力して誘拐犯と向き合っていく様が描かれるが、お互いのここに助けられたという部分を聞くと、二宮は「多部ちゃんは性格がすごくサバサバしていて分かりやすいし、僕に対しての受け答えもしっかりしてくれるんです。僕は現場でベラベラしゃべるタイプの人間なので、その性格に助けてもらっていますね」と感謝。

 一方、多部は「私は現場でもともと口数が多いタイプではなくて、それはいつも反省するところでもあるんです。ですが、今回は主演の二宮さんが常に盛り上げてくださるというか、ずっとしゃべってるっていうか…」と笑みをこぼすと、すかさず「そこは『盛り上げてる』でいいのよ(笑)」と二宮からつっこみが。

 多部はそれに苦笑いしつつも、「二宮さんにしゃべるきっかけを作っていただいていて、助けられてます」と満面の笑み。だが、その様子を見ていた二宮は「あまり助けられているっていう感じはしませんでしたけど(笑)。勝手にしゃべってるんだなぁっていうのが浮き彫りになったんじゃないですかね(笑)」と返すなど、仲の良い関係性ならではのやりとりを繰り広げていた。

◆「性格がすてきな方が集まっている現場」(多部)

 温人&未知留と同じアパートで学生時代を過ごし、事件に関わっていく親友役を演じる賀来賢人と濱田岳をはじめ、高橋メアリージュン松本幸四郎、富澤たけしサンドウィッチマン)、玉木宏ら豪華役者陣が集結する本作。シリアスな展開が繰り広げられる撮影に対し、合間は会話が絶えず和気あいあいとしているという。2人は現場で温かい雰囲気を作るために何か心がけていることはあるのだろうか。

 二宮は「これは心がけてることではないですけど、僕自身、そこは強制するものではないし、頑張るところではないと思っていて。作品の質をどこまで高められるかというために集まっていると考えているので、現場が明るくないなら明るくないで、仲が悪いなら悪いで構わないんです」と言い、「けど僕自身、殺伐とした雰囲気の現場は一回も経験がないし、今回もみんなで楽しくやれていて。多部ちゃんが女の子1人で、他は男の子3人という構図が多いですが、そういった中でも割とフランクにみんなでしゃべっている感じですね。自然とそうなるのは、皆さんのバイタリティのすごさだと思いますし、そういうのに毎日感謝しながら現場にいます」と感慨深い様子でコメント。

 それを受けて多部も「重たいシーンが多いですが、現場自体は男性のキャストの方が本当によくしゃべっているので、全く暗い雰囲気になることもなくて。誰がそうしてるっていうのもない状態なので、きっと性格がすてきな方が集まっている現場なのかなと思います。ムードメーカーはやっぱり二宮さんですね」とほほ笑む。

◆「“家族の絆”は、みんながいろいろ思う分、答えがある」(二宮)

 また、関係が近い人や大事な人とのコミュニケーションをとる際に気を付けていることを問うと、二宮は「僕はコミュニケーションをとる上で、自分の価値観や感覚みたいなものを押し付けることはあんまりしないようにしていますね」と答え、「いろんな意見を聞きたいと思っている人間なので、相手とお話をさせてもらう中で、あまり否定的なことは言わないかもしれないです。『あーなるほど』みたいな、そういうスタンスでのやり取りが多くて。意見を求められたら言いますが、あまり僕に意見を求める人が少ないので、基本的には聞く専門です」と打ち明ける。

 一方、多部は「ウソをつかないこと」と返答し、「一回嘘をついちゃうと、また次の嘘をつかないといけなくなり、自分で自分の首を絞めることにもなると思うんです。私自身、相手に嘘をつかないで自分と向き合ってほしいと思うので、人にやられて嫌なことは自分もしないようにしています」と理由を。現場では基本的にはしゃべるタイプではない多部だが、プライベートでは基本的にすぐに話を聞いてほしいと思うタイプだそうで、「家に帰ってきてから話せばいいことを、すぐに電話して『ちょっと聞いて』と話しちゃいます(笑)。自分のことを聞いて欲しいタイプなんです」と苦笑い。最近、大切な人との絆を感じたエピソードを聞くと、「自分の母親とはほぼ毎日連絡をとってて、自分の近況や心境をいつも聞いてもらって助けられていますね。家族をはじめ、絆を感じることは多いです」と柔らかい表情で明かしてくれた。

 二宮が「僕は基本、家族に関しての作品に携わることが多いのですが、その度に思うのは本当に二つとして同じ家族はいないということ。“家族の絆”は、みんながいろいろ思う分、答えがあると思っているので、それを僕は疑似的に楽しませてもらっていますね」と明かすように、今作でも温人と未知留、友果という唯一無二の家族の関係性や絆が描かれ、温人らは誘拐事件に巻き込まれたからこそ、大切なものが見えてくる。本作は、二宮と多部の2人が生きる夫婦の姿を通し、“自分にとって一番大切な何か”を感じるキッカケになるはずだ。(取材・文:高山美穂)

 日曜劇場『マイファミリー』は、TBS系にて4月10日より毎週日曜21時放送(初回25分拡大)。

ドラマ『マイファミリー』第1話より (左から)多部未華子、二宮和也 (C)TBS