阪急京都線千里線淡路駅で行われている高架化事業。着手から14年が経過しましたが、現在の工事の進捗はどうなっているのでしょうか。

京都線と千里線を一気に高架化 平面交差の解消図る

大阪市東淀川区の阪急京都線千里線淡路駅周辺で、高架化の工事が続けられています。1997(平成9)年に事業認可し、高架建設工事に着手したのが2008(平成20)年。14年目を迎える現在、どこまで進んでいるのでしょうか。

淡路駅周辺の高架化事業は、主に「開かずの踏切」状態になっている踏切を除却し、線路の南北地域の移動利便性を高めるものです。高架化で誕生する新たな淡路駅は、上下線が別の階層に分けられ、交差している京都線千里線の線路が分離されます。

淡路駅は、大阪市中心部から北へ向かう千里線と、十三駅から東の京都方面へ向かう京都線が交差する駅です。互いに同一ホーム上で乗り換えられる構造になっていますが、駅前後で両線が平面交差しているため、互いの列車の通過を待つために線路上で停車することも頻繁に見られます。

2路線の線路にかかる駅西側の踏切は、ただでさえ通過列車が多いのに加え、この列車通過待ちの停車や低速運転により、遮断時間の長大化に拍車がかかっています。高架化により、この「開かずの踏切」と、ダイヤボトルネック状態の解消を図ります。京都線は3.3km、千里線は3.8kmが高架化され、淡路駅をはじめ崇禅寺駅、柴島駅、下新庄駅も高架化。全部で17か所の踏切が除却されます。

完成予定は、当初は「高架切替が2017年度末、全体完成2020年度末」となっていましたが、2015(平成27)年にそれが7年延期に。工期の大幅な遅れの原因について、大阪市は「用地確保の問題」としています。現在は「高架切替が2024年度末、全体完成2027年度末」となっています。今後、計画どおり進めば、あと3年弱で淡路駅の「慌ただしい」平面交差の風景は過去のものになります。

まさに要塞 2つの工法で車窓も大きく異なる

高架化される新たな淡路駅の駅舎は、1月にはまだ足場で覆われていましたが、4月に入って外壁の一部があらわになっています。

JRおおさか東線や道路を跨ぐ部分など一部で、まだ高架桁が架かっていないところもありますが、淡路駅周辺ではおおむね高架ができています。隣駅である千里線の柴島駅では、一部の未施工部をのぞいて高架がほぼ完成。京都線崇禅寺駅では、駅西側に高架の一部が形になっているものの、その他はまだ橋脚の一部が施工中という状態です。

淡路駅の東側に位置する千里線おおさか東線との交差部、西側に位置する京都線と道路(予定地)の交差部では、トラス橋が架設済み。30m近い高さの位置に中間橋脚なしで一跨ぎしているため、思わず見上げる光景となっています。

この連続立体事業は、大部分が「別線施工」、つまり既存の線路で営業を続けながら、隣に高架を建設していく方式ですが、京都線の淡路~崇禅寺間は、営業線路を順番にずらし、元の線路の場所に高架を設置していく「仮線施工」を採用しています。そのため、現在この区間では、線路が足場に覆われてトンネルのような状態になっています。

ラッシュ時の7時台から9時台。列車はひっきりなしに「平面交差」を行き来します。千里線の列車は京都線の線路を何本も跨いでホームへ進入。それと並行するように京都線の列車もホームに進入します。それが終わると、反対側の列車が発車。「慌ただしい」この風景は、上下線を完全分離する高架駅の完成によって、見納めとなります。

高架化工事が進む阪急淡路駅(乗りものニュース編集部撮影)。